【インタビュー】浦井健治「20th Anniversary Concert~Piece~」俳優生活20周年を迎え「もう一回ゼロからやり直そうと思えた」

2021年4月18日 / 08:00

 浦井健治が、俳優生活20周年を記念したオリジナルソロアルバム『Piece』をリリースした。さらに、4月20日には、「20th Anniversary Concert~Piece~」と題したコンサートを、東京国際フォーラム・ホールAで開催する。浦井にアルバムに込めた思いやコンサートへの意気込みを聞いた。

浦井健治

-ミュージカルからカバー、オリジナルナンバーまで入った豪華なアルバムとなっていますね。どういった思いから選曲したのですか。

 コロナ禍で、悲しいことがあったり、人となかなか会えずに後ろ向きな気持ちになってしまうことが多いかもしれませんが、そんなときにこのアルバムを聞いて、希望を見いだしたり、リフレッシュしてもらいたいという思いからスタートしました。それで、オリジナル曲でできませんかというお願いをしたところ、デモを数十曲くださって、そのうちの3曲を歌わせていただくことになりました。K-POP、シティーポップ、そしてバラードと、曲調の違うオリジナル曲ですが、いずれもこのコロナ禍でも前を向いて元気を出そうというメッセージを伝えられるのではないかと思います。

 それから、ミュージカルやカバー曲の選曲や曲順も、スタッフさんたちと話し合って決めました。タイトルにある『Piece』という言葉には、楽曲の一つ一つが「平和やそれを願うかけらたち」であり、その思いを放っていこうという気持ちが込められています。ですので、そういった観点から曲も選びました。今回、20周年を記念したアルバムなので、20年前のJ-POPのヒット曲の中からチョイスをさせていただいた2曲と、僕が20年間でお世話になった方々に学んだことや、歌唱を含めた技術を込めた楽曲を集めたアルバムになっています。

-3月24日にリリースされましたが、すでにファンの方からの声は届いていますか。

 はい。たくさんの方から感想を頂いて、伝えたかったメッセージが届いていることを実感しています。僕は、演劇をやっていますが、ありがたいことにコロナ禍でもステージに立つことができています。ですが、演劇を観劇することを自粛するという選択をせざるを得ないファンの方から、「このアルバムを聞いてうれしくて涙が出た」となんて言っていただくと、改めてエンターテインメントや歌の力は偉大だと感じられました。

-浦井さんご自身は、今改めて振り返って、コロナ禍での1年をどう感じていますか。

 僕自身は、「天保12年のシェイクスピア」の東京千秋楽と大阪公演が中止、それからその次のブロードウェーミュージカル「ウエスト・サイド・ストーリー」が全公演中止になってしまいましたが、それ以降は全ての出演作が中止になることなく千秋楽を迎えられているんです。これは世界的に見ても奇跡だと思います。そもそも、現在(取材当時)、これだけの演劇を公演し続けることができているのは、すごくまれですよね。それは本当にすごいことで、スタッフさんをはじめとして、関わっている方、皆さんの感染対策の徹底などの努力でつかみ取ったものだと思います。もちろん、お客さまも感染対策を徹底し、制限が多い中でも見にきてくださっている。何が正解なのかは分かりませんし、今後どうなるかもまだ分かりませんが、医療関係者の皆さまに本当に感謝しながら、なんとか乗り越えていければと思っています。

-では、アルバム『Piece』の楽曲にまつわるエピソードを聞かせてください。

 どれも思い入れが深い曲ばかりですが、ミュージカル「ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ」の「The Origin Of Love」を。僕は、もともとはパンクやロックが大好きな人間なんです。でも、今はミュージカルの舞台で歌い続けているので、ミュージカルでの歌唱法というものが身についています。そういう人間がロックミュージカルをやるとなると、その歌唱方法の壁にぶち当たるんです。もちろん、ミュージカル歌唱は、長い年月をかけて培っていく素晴らしいものだと思います。ですが、「ヘドウィグ~」のような楽曲にはそぐわない。それで、僕が「ヘドウィグ~」に出演したときに、(共演していた)女王蜂のアヴちゃんやメタル界の大御所の冠(徹弥)さんがロックの歌唱法を教えてくれたんです。ですが、いざ本番が始まっても、自分がロックを歌えているのか、自信が持てないままでした。

 そんな時、僕が大ファンの劇団☆新感線の演出家、いのうえひでのりさんが見にいらして、「健治がロックを歌っていた」とおっしゃってくださった。しかも、いのうえさんのお薦めの演劇にも挙げていただいた。それはもう、僕にとっては人生の表彰状でした。ロックの歌唱法とミュージカルの歌唱法は真逆なもので、両方を得ることは難しいと思いますが、僕はそれをかなえたいという思いがあります。そして、このアルバムの中では、「The Origin Of Love」はロックな歌唱法で歌っているので、そこも意識して聞いてみてほしいです。

 
  • 1
  • 2

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

「光る君へ」第十六回「華の影」まひろと道長の再会から窺える物語展開の緻密さ【大河ドラマコラム】

ドラマ2024年4月27日

 NHKで好評放送中の大河ドラマ「光る君へ」。4月21日に放送された第十六回「華の影」では、藤原道隆(井浦新)率いる藤原一族の隆盛と都に疫病がまん延する様子、その中での主人公まひろ(吉高由里子)と藤原道長(柄本佑)の再会が描かれた。  この … 続きを読む

宮藤官九郎「人間らしく生きる、それだけでいいんじゃないか」 渡辺大知「ドラマに出てくる人たち、みんなを好きになってもらえたら」 ドラマ「季節のない街」【インタビュー】

ドラマ2024年4月26日

 宮藤官九郎が企画・監督・脚本を手掛けたドラマ「季節のない街」が、毎週金曜深夜24時42分からテレ東系で放送中だ。本作は、山本周五郎の同名小説をベースに、舞台となる“街”を12年前に起きた災害を経て建てられた仮設住宅のある“街”へと置き換え … 続きを読む

【週末映画コラム】全く予測がつかない展開を見せる『悪は存在しない』/“反面教師映画”『ゴジラ×コング 新たなる帝国』

映画2024年4月26日

『悪は存在しない』(4月26日公開)  自然豊かな高原に位置する長野県水挽町は、東京からもそう遠くないため移住者が増加し、緩やかに発展している。代々その地に暮らす巧(大美賀均)は、娘の花(西川玲)と共に自然のサイクルに合わせたつつましい生活 … 続きを読む

志田音々「仮面ライダーギーツ」から『THE 仮面ライダー展』埼玉スペシャルアンバサダーに「埼玉県出身者として誇りに思います」【インタビュー】

イベント2024年4月25日

 埼玉県所沢市の「ところざわサクラタウン」内「角川武蔵野ミュージアム」3Fの EJアニメミュージアムで、半世紀を超える「仮面ライダー」の魅力と歴史を紹介する展覧会『THE 仮面ライダー展』が開催中だ。その埼玉スペシャルアンバサダーを務めるの … 続きを読む

岩田剛典 花岡の謝罪は「すべてが集約された大事なシーン」初の朝ドラで主人公・寅子の同級生・花岡悟を熱演 連続テレビ小説「虎に翼」【インタビュー】

ドラマ2024年4月25日

 NHKで好評放送中の連続テレビ小説「虎に翼」。明律大学女子部を卒業した主人公・猪爪寅子(伊藤沙莉)は、同級生たちと共に法学部へ進学。男子学生と一緒に法律を学び始めた。そんな寅子の前に現れたのが、同級生の花岡悟だ。これから寅子と関わっていく … 続きを読む

Willfriends

page top