綾野剛「新宿は楽園」に異論 「なかなか激しい街だと思います」

2019年10月8日 / 19:42

容疑者役の綾野剛

 映画『楽園』×『犯罪小説集』書店イベントが8日、東京都新宿区の書店で行われ、出演者の綾野剛、佐藤浩市、瀬々敬久監督と原作者の吉田修一氏が登壇した。

 吉田氏の『犯罪小説集』を映画化した本作は、ある地方都市で起きた少女失踪事件をきっかけに交錯する人々の姿を描いたサスペンス劇。事件の容疑者として追い詰められていく青年を綾野、集落内で孤立を深め壊れていく男を佐藤が演じた。

 観客の黄色い歓声に迎えられた綾野は、書店と映画のコラボイベントについて「とてもうれしいです」と語ったが、司会者から「東京の楽園といえば、新宿ですよね?」と聞かれると、「へえ、そうですか…」と微妙な表情を浮かべた。

 綾野は「新宿はそれこそ『新宿スワン』(15年)という作品をやってるときに、通行中の危なそうな人に髪の毛をつかまれた覚えしかない。なかなか激しい街だと思いますけど。まあ天国も地獄も表裏一体ですから」とまとめて笑わせた。

 佐藤も、新宿には苦い思い出がある様子。「夜、歌舞伎町で撮影をやるといろいろ大変なんです。ここではお話できないエピソードがいっぱいある。(自分には)そっちのほうが印象深いかな」と苦笑交じりに語った。

 また、映画の見どころを語る中で綾野は「この作品に出てくる人で、心が乏しい人は誰一人いないと思っている。心が貧困している訳ではなく、状況、環境が生み出してしまう魔力がある。多分皆さんの近くにも、実はそういう人がたくさんいて、僕たちは、そういう人たちにもっと気付いていかなければ、もっと抱きしめてあげなきゃいけない人が世の中にはたくさんいるということを、この作品を通して伝えていけたら」と力説した。

 佐藤も「何をもって楽園とするのか、どう思われるのか、人によって受け止め方が違うと思う。僕にとってはアイロニカルな意味合いも込められていると思うし、いろんなことを考えてもらえる映画。お客さまが劇場を出たときに、いい意味での後味の悪さを感じてもらえたら」と語った。

 映画は10月18日から全国ロードショー。

(左から)吉田修一氏、佐藤浩市、綾野剛、瀬々敬久監督


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