「中村勘九郎さんとは絶対に一緒にやりたかった。幼なじみ役で出演できてうれしいです」勝地涼(美川秀信)【「いだてん~東京オリムピック噺(ばなし)~」インタビュー】

2019年5月12日 / 20:50

 さまざまな困難を乗り越え、一心不乱にマラソンの普及にまい進する金栗四三(中村勘九郎)。これに対して、一緒に東京高等師範学校に進学しながらも、人生の目標が定まらず、悩み続けているのが熊本時代からの幼なじみ・美川秀信だ。第18回では、思いを寄せていた遊女・小梅(橋本愛)の色恋沙汰に巻き込まれ、四三の下宿に転がり込むことに…。四三とは対照的な生きざまを見せる美川を存在感たっぷりに演じる勝地涼が、演技の裏に込めた思いを語ってくれた。

美川秀信役の勝地涼

-第18回、小梅の色恋沙汰に巻き込まれた美川は、四三の下宿に転がり込むことになりました。小梅役の橋本愛さんと共演した感想は?

 とても居心地がいいです。撮影が始まる前、メーク室で会って、何かの拍子に僕がぽろっとせりふを言うと、それに合わせて次のせりふを言ってくれたりする。そういういい雰囲気があって。お芝居も思い切りがいいですし。ビンタをされる場面では、リハーサルのときからひっぱたかれました(笑)。おかげで僕もテンションが上がって、やりやすかったです。

-第18回は、四三の日記を巡るスヤ(綾瀬はるか)とのやりとりも見ものでした。

 綾瀬さんのお芝居が絶妙です。真剣に「見たの!?」と聞いてくれたので、僕も「見ましたよ」と返すことができました。面白いシーンだからといって、それを意識していたら、面白くならなかったと思うんです。そこを綾瀬さんがしっかりと言ってくれた。だから美川としても「そりゃあ、読むでしょう」と。でも、美川くんの中でも「見る」「見ない」の葛藤はあったでしょうね(笑)。で、悩んだ揚げ句…見た。そこが美川くんらしいなと(笑)。

-撮影に入る前は、どんな準備を?

 熊本で実際の美川さんのご親族の方たちにお会いしました。皆さん口をそろえて「変わり者だった」と言うんです。でもそれは、「面白い人」という感じで、愛されていた人なんだろうなと思いました。だから、美川くんも愛されるキャラクターを目指しています。天然パーマ風の髪形は、四三さんの丸刈り頭との差別化を狙ったものですが、放送が始まってみたら「(「あまちゃん」で演じた)“前髪クネ男”じゃなくて“全髪クネ男”」だと言われ、妙に納得してしまいました(笑)。

-演じる上で心掛けていることは?

 ご親族の方たちに「自由にやらせてもらっていいですか」と聞いてみたら、「どうぞ、どうぞ」と言っていただいたので、楽しく演じることを心掛けています。「金栗氏」という呼び方も美川独特のものなので、印象付けられるよう、呼び方にバリエーションをつけています。

-美川は、四三とは熊本時代からの幼なじみで、最も古い友人ですね。

 そうですね。でも、冷静に考えると友人として成立していませんよね(笑)。勘九郎さんも「なぜ美川くんと友だちなんだろう?」とよく言っています。でも、そこが同郷ならではなのかなと。東京の学校で出会っていたら、友だちにはならなかったでしょうね。やっぱり、一緒に赤ゲット(赤い毛布。お上りさんの代名詞)を着て熊本から出てきた経験というのは大きい。2人で「これが格好いいらしいよ」と話しながら上京してきたでしょうから…。その姿を想像すると、かわいいな…と(笑)。

-ただ、マラソン一筋でオリンピックにまで出場した四三と違い、美川は悩める青年という感じで、少し距離も出てきたようですが…。

 美川くんの気持ちはよく分かります。僕も、中学生のときから今の仕事をしていますが、始めた頃に同級生と距離が生まれていった感覚を思い出したりして…。四三さんのことは変わらず応援しているのに…。そこに寂しさを感じているんだと思います。ストックホルムに旅立つ前の壮行会に出ず、寂しそうにしている場面(第8回)もありましたが、コミカルに描いている分、逆に切なさが増しますよね。ただそれも、「美川くんのそういう部分を見せたい」と言ってくれる監督たちのおかげなので、とても感謝しています。

 
  • 1
  • 2

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

「光る君へ」第十六回「華の影」まひろと道長の再会から窺える物語展開の緻密さ【大河ドラマコラム】

ドラマ2024年4月27日

 NHKで好評放送中の大河ドラマ「光る君へ」。4月21日に放送された第十六回「華の影」では、藤原道隆(井浦新)率いる藤原一族の隆盛と都に疫病がまん延する様子、その中での主人公まひろ(吉高由里子)と藤原道長(柄本佑)の再会が描かれた。  この … 続きを読む

宮藤官九郎「人間らしく生きる、それだけでいいんじゃないか」 渡辺大知「ドラマに出てくる人たち、みんなを好きになってもらえたら」 ドラマ「季節のない街」【インタビュー】

ドラマ2024年4月26日

 宮藤官九郎が企画・監督・脚本を手掛けたドラマ「季節のない街」が、毎週金曜深夜24時42分からテレ東系で放送中だ。本作は、山本周五郎の同名小説をベースに、舞台となる“街”を12年前に起きた災害を経て建てられた仮設住宅のある“街”へと置き換え … 続きを読む

【週末映画コラム】全く予測がつかない展開を見せる『悪は存在しない』/“反面教師映画”『ゴジラ×コング 新たなる帝国』

映画2024年4月26日

『悪は存在しない』(4月26日公開)  自然豊かな高原に位置する長野県水挽町は、東京からもそう遠くないため移住者が増加し、緩やかに発展している。代々その地に暮らす巧(大美賀均)は、娘の花(西川玲)と共に自然のサイクルに合わせたつつましい生活 … 続きを読む

志田音々「仮面ライダーギーツ」から『THE 仮面ライダー展』埼玉スペシャルアンバサダーに「埼玉県出身者として誇りに思います」【インタビュー】

イベント2024年4月25日

 埼玉県所沢市の「ところざわサクラタウン」内「角川武蔵野ミュージアム」3Fの EJアニメミュージアムで、半世紀を超える「仮面ライダー」の魅力と歴史を紹介する展覧会『THE 仮面ライダー展』が開催中だ。その埼玉スペシャルアンバサダーを務めるの … 続きを読む

岩田剛典 花岡の謝罪は「すべてが集約された大事なシーン」初の朝ドラで主人公・寅子の同級生・花岡悟を熱演 連続テレビ小説「虎に翼」【インタビュー】

ドラマ2024年4月25日

 NHKで好評放送中の連続テレビ小説「虎に翼」。明律大学女子部を卒業した主人公・猪爪寅子(伊藤沙莉)は、同級生たちと共に法学部へ進学。男子学生と一緒に法律を学び始めた。そんな寅子の前に現れたのが、同級生の花岡悟だ。これから寅子と関わっていく … 続きを読む

Willfriends

page top