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おんな城主・直虎がついに誕生。出家して僧侶として井伊家を支えてきた次郎法師だが、度重なる悲劇によって危機にひんする家を守るため、井伊直虎と名を改め、当主の座に就いた。しかし、その行く手は前途多難。果たして直虎は、次々と訪れる危機をどう乗り越えて行くのか。主演の柴咲コウが、城主となった直虎役に懸ける意気込み、撮影の舞台裏などを語った。
やった!という感じです(笑)。私は普段から何かをコントロールしたい、プロデュースしたいと思っていて、物事を客観的に見たいという意識があるので、あの席はすごくいいです(笑)。
そんなことはありませんが、実際に座ってみたら、見える景色が思い描いていたものとは全然違うと感じました。座る前は、自分がそこに君臨して、他の人を下に見るような意識になるのかなと思っていました。でも実際はそうではなく、いろいろな人の気持ちをくんでバランスを取りながら、探ったり、調整したりする席だということが分かりました。直虎も、最初は怒りを爆発させたりして、自分の気持ちが出過ぎるのですが、徐々に当主の座にふさわしい人物に成長していくといいですね。
直親(三浦春馬)の死を大きな転換期と捉えて、生まれ変わったつもりで演じています。それと、これは皆さん同じだと思うのですが、意識していなくても、装いによって振る舞いが変わるところはあります。次郎法師の時代は、墨染めの身で僧侶の格好をしていました。そのため、修行期間中という感じで、人のために奔走したり、言いたいことをきちんと言うような、核となる部分は変わらないものの、自分の中で考え込んだり、物事を静観することが多かった気がします。城主になった後は、はかま姿で政(まつりごと)を動かしたり、会議に出るようになったりするので、キリッとした気持ちが出てきます。
無言の帰宅をした直親と対面しても立場上、さめざめと泣くこともできず、独りぼっちでそれをかみ締めざるを得ないという状況でした。ワンシーンで終わる場面ではなかったのですが、人を亡くすという大きな悲しみは他に代え難いものがあるので、場面ごとに気持ちを込めて向き合いました。そこに、怒りというか、なぜこんなことになってしまったんだという憤りが加わって奮起していくのですが、私の中ではすごく納得しながら演じていました。
立場は違いますが、今の自分とすごくリンクします。今まで私は、誰かの相手役のような立ち位置が多く、どう自分がなじんでいくか、どう自分のやるべきことを全うするかというように、自分に重きを置いていたところがあります。でも今は、物語が新たな展開を迎えるに当たって、私自身が出演者やスタッフみんなを盛り上げたいという気持ちが芽生えています。とはいえ、一人っ子気質が出てしまって、どうしたらいいのかと悩んでいるところです(笑)。
直虎も、何も分からない状態で「さて、何をすればいいのじゃ?」と聞くようなところから始まります。とはいえ、一から丁寧に教えてくれるお世話係がいるわけではないので、少しずつ模索していくことになります。みんなのテンションを高めて、楽しくやっていくように先導できればいいですね。
未熟な直虎は、賢い政次に付け入られて「なぜそれを先に言ってくれないのか」というようなことが続きますが、次第に上手だと認めざるを得なくなります。そういったことを重ねて直虎が成長していく一方、政次も拭い去れない宿命を背負って独りで生きている。でも、少したつと2人の関係が大きな変化を迎えることになります。そこは、政次役の高橋一生さんと、魂をぶつけ合って体当たりのお芝居ができたと思うので、楽しみにしてほしいです。
あっという間でした。始まる前は、1年という今まで体験したことのない期間で作品に取り組むことに心配はあったのですが、本当に楽しく、和気あいあいとやっています。それが画面からも伝わるといいですね。
長期間やっていると、中だるみとまではいかなくとも、どうしても自分の中で慣れが生じる部分があります。でも、新しい人が来ると新しい風を運んできてくれるので、また新しい緊張感が生まれます。そうすると、また私もいろいろ表現したいなと感化されるので、いい感じになっています。
まだまだ未熟ですが、ただやみくもに突き進む人ではなく、その中でひらめきや打開策を見いだす力はある人なので、少しずつ冷静さや客観性を身に着けて成長していく姿を見てほしいです。それと、直親の現身(うつしみ)として、井伊のため、みんなのために生きるんだという思い。最初から変わらないその気持ちを貫いていくところでしょうか。
(取材・文/井上健一)
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