【2.5次元】ライブ・ビューイングが作り出す新たなマーケット「観客が『どう見るか』を決め、選ぶ」時代に ライブ・ビューイング・ジャパン・小谷浩樹代表取締役インタビュー

2019年1月22日 / 12:00

 ジャパン・カルチャーの一つとして、年間223万人の観客動員を記録する「2.5次元ミュージカル」(以下、2.5D)。その上演作品数や動員数の伸びに比例するかのように、ライブ・ビューイングでの上映数も右肩上がりに増えている。そもそも、ライブ・ビューイングとは、音楽ライブや演劇公演、スポーツ大会などを全国に配信、映画館などのサテライト会場で鑑賞するというもの。今や、2.5Dの数多くのタイトルで、ライブ・ビューイングが行われている。今回は、2.5Dにおけるライブ・ビューイングというマーケットについて、株式会社ライブ・ビューイング・ジャパンの小谷浩樹代表取締役に話を聞いた。

ミュージカル『テニスの王子様』3rdシーズン 青学(せいがく)vs四天宝寺 (C)許斐 剛/集英社・NAS・新テニスの王子様プロジェクト (C)許斐 剛/集英社・テニミュ製作委員会

-日本ではライブ・ビューイングはいつ頃からスタートしたのでしょうか。

 映画館のデジタル化が進み出したことに合わせてスタートしたもので、日本では、2004〜05年のゲキ×シネ(劇団☆新感線の公演映像を映画館で鑑賞できる企画)やシネマ歌舞伎(歌舞伎の公演を映画館で鑑賞できる企画)が最初でした。その後、06年にメトロポリタンオペラの中継が初めて行われ、宝塚歌劇団の公演やL’Arc~en~Cielのパリ公演の中継があって徐々に増えていったと感じています。

 そもそもライブ・ビューイングは、映画館のデジタル化に伴って広がったマーケットです。それ以前は、フィルムで撮影した作品しか上映できませんでしたが、デジタルプロジェクターやサーバーが普及したこと、SDからHDのハイビジョンに変わったことで、いわゆるビデオで撮影した映像が上映できるようになりました。それが、ライブ・ビューイングがスタートしたきっかけでもあります。また、コンテンツを制作する側も、自分たちのコンテンツを広く見せるための新たな方法を模索していましたし、一方でデジタル化を推し進める、デジタルプロジェクターの関連会社なども、機材が高額であることから、映画以外の収入を得るために、ほかのコンテンツを映画館で上映することを考えていました。さまざまなビジネスがうまく合致してマーケットが広がっていったのだと思います。

-現在、配信されているコンテンツは中継と収録ではどちらが多いのですか。

  圧倒的に生中継です。舞台の場合は、千秋楽の中継が多いです。

-音楽、舞台、映画やイベントなどさまざまなジャンルを配信されていますが、それぞれのジャンルはどれぐらいの割合で配信されているのですか。

 音楽が最も多く、全体の7~8割程度。2.5Dや宝塚などを含め、舞台関連が1割強、それ以外がスポーツやお笑い、声優さんのイベントなどさまざまなコンテンツになります。

-2.5Dはいつ頃から配信をスタートしたのですか。

 2009年のミュージカル『テニスの王子様』(以下、テニミュ)が中継を行ったのが最初だと思います。テニミュが中継を続けたことで2.5Dファンの方にも認知されるようになりました。

-2.5Dのライブ・ビューイングが増えた理由は、どういったことだとお考えですか。

 2.5Dの作品自体が増えたから、自動的にライブ・ビューイングが増えたと認識しています。作品が増えたことで、同時に小屋(会場)問題も出てきますし、地方では公演ができない作品も増えてくる。そうすると、必然的に地方の方や、多くの方に見ていただくためにライブ・ビューイングを活用しようと、お考えいただけるのだと思います。

-公演を収録したDVDやブルーレイとお客さんがバッティングすることはないのでしょうか。

 ないと考えています。DVDやブルーレイは、公演を見た記念に買うという方が非常に多いんです。ですから、「見た」という経験をした方を増やすために、より広く見せることでパッケージの売り上げも伸びます。また、例えば、ネットでの配信というような、形態が似たサービスとも、ほぼ食い合うことはありません。お客さまが、それぞれの作品を「どう見るか」を決め、それに合わせてネット配信やライブ・ビューイングを選ぶので、お客さまがかぶらないんです。

 
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