浦井健治&小池徹平、ベストセラー小説のミュージカル化に寄せる思い 「色彩豊か」な楽曲に彩られた新作ミュージカル「ある男」【インタビュー】

2025年7月29日 / 08:00

 読売文学賞を受賞し、映画化もされて話題を呼んだ平野啓一郎による長編小説『ある男』がミュージカル化され、浦井健治と小池徹平の共演で8月4日から上演される。物語は、弁護士の城戸章良が、かつての依頼者である谷口里枝から「ある男」についての奇妙な相談を受けたことから始まる。愛していた男性が全くの別人だったというのだ。城戸は仮に“X”と呼ぶことにした「ある男」の人生をたどる。城戸を演じる浦井、そしてある男・X役の小池に意気込みやそれぞれの役柄への思いを聞いた。

浦井健治(左)と小池徹平【ヘアメーク:山崎順子(浦井)、関谷美世(小池)/スタイリスト:飯田恵理子】 (C)エンタメOVO

-重厚なベストセラー小説をどうミュージカル化するのか、期待が高まります。作曲は、ブロードウェイでも活躍するジェイソン・ハウランドが担当しますが、本作の楽曲の印象を教えてください。

浦井 まだ(取材当時は)試行錯誤の最中のところもありますが、ジェイソンさんならではの楽曲の力があることを感じています。ロック調の曲もあれば、それぞれの役に寄り添った楽曲があり、色彩豊かな印象があります。

小池 僕は当初、考えていたよりも楽曲数が多い印象です。ジェイソンと(演出の)瀬戸山(美咲)さんがディスカッションを重ねる中で増えているということもあるようです。ちょっとした音もリプライズとして楽曲になっていることもあり、思っていたよりもミュージカル感が強いなと感じているところです。

-演出の瀬戸山さんとは初めてだそうですが、現在の稽古場の雰囲気は?

浦井 僕は別の作品があり、(取材当時)まだ稽古にほとんど参加できていないのですが、参加させていただいたときは、体がびっくりするほどのスピードでした(笑)。スタッフさんたちも照明プランなどをどのようにするのかディスカッションをし続けていますが、僕もとりあえず全部詰め込もうという段階です。きっと瀬戸山さんも頭をフル回転されているのだと思います。創作をする時間の豊かさや初演の作品だからこそのクリエーティブな面があり、それがすばらしいなと思う反面、全てを統括するのは大変だろうなと感じています。

小池 原作がとても濃厚な物語でそれをリスペクトしているからこそ、(瀬戸山は)やりたいことがあったり、ミュージカルの中に詰め込まなくてはいけない要素、省かなくてはいけない要素があって、それらを模索していらっしゃるんだろうなとお見受けします。なので、今はまず、こういうふうにやりたいと周りから固めていっている印象です。僕から「こうしたい」とお話をさせていただくこともあり、とりあえず形を作ってみるという稽古をしています。これから、健ちゃん(浦井)が合流して、一通りの枠組みができてから、しっかりと芯の部分を作っていこうとされているのかなと思います。

-現時点で、お二人はそれぞれの役柄をどのように理解して、どういったことを大切に演じようと考えていますか。

浦井 城戸は、ある依頼から「ある男」を調べ始め、そうすることで自分を見つめ直し、人生観が変わり、愛に気付いていきます。城戸は恵まれた環境にいますが、家族や環境、もしくは職種といったものが削ぎ落とされたときに、何が幸せで、何が美しく見えるのか。そうしたことをXから学んでいきます。この作品では、彼の変化が肝かなと思います。

小池 僕は、原作でも描かれている、「城戸が追い求めてきたXという人物像」を大事に、丁寧に描きたいという思いが強いです。ただ、ミュージカルなので曲の中で時間経過があったり、曲の中での表現があったりするので、その短い時間の中で「城戸が追い求めてきたのはこういう人だったんだ」というのを印象的に、そして納得できるような表現がまだ自分の中で探しきれていません。今回の脚本の中では、楽曲に頼るべきなのかなと今、見いだしてきているところですが、これからの稽古でよりブラッシュアップして表現していけたらと思います。

 
  • 1
  • 2

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

23歳の大西流星「大人になってきたなと実感」 若手事務官役で“ザ・さわやか公務員”に【インタビュー】

ドラマ2025年7月31日

 上川隆也が主演するドラマ「能面検事」(テレ東系)が放送中だ。本作は中山七里氏の小説「能面検事」シリーズをドラマ化。大阪地検きってのエース検察官で、全くの無表情で歯に衣着せぬ物言いをする“能面検事”不破俊太郎(上川)が、権力者による圧力や組 … 続きを読む

野呂佳代「宇宙という壮大な、キラキラした、カラフルな世界の中で、アドベンチャーを繰り広げていく感じがとてもいいと思いました」『星つなぎのエリオ』【インタビュー】

映画2025年7月31日

 『トイ・ストーリー』『リメンバー・ミー』『インサイド・ヘッド』など、イマジネーションにあふれた作品を送り出してきたディズニー&ピクサーによる長編アニメーションの最新作『星つなぎのエリオ』が、8月1日から全国公開される。何光年も離れた“星々 … 続きを読む

島崎遥香&ISSEI「きっと共感していただける人がたくさんいる」 ドラマ「もしも世界に『レンアイ』がなかったら」で初共演【インタビュー】

ドラマ2025年7月31日

 島崎遥香が主演し、共演にISSEIを迎えて贈るドラマ「もしも世界に『レンアイ』がなかったら」が7月31日からCBCテレビほかで放送スタートする。本作は、 “恋愛することが普通じゃない”という独自の世界観で描かれる物語が共感を呼んだコミック … 続きを読む

森崎ウィン、再び挑むロイド・フォージャー役「この2年の間にいろいろなところで学び、培った経験がきっと生かせる」 ミュージカル「SPY×FAMILY」【インタビュー】

舞台・ミュージカル2025年7月30日

 2023年に舞台化され、話題を呼んだミュージカル「SPY×FAMILY」の再演が決定。9月20日から埼玉・ウェスタ川越(プレビュー公演)、10月7日から東京・日生劇場ほかで上演される。本作は、シリーズ累計発行部数3800万部を突破の遠藤達 … 続きを読む

【映画コラム】7月後半公開映画『木の上の軍隊』『ファンタスティック4:ファースト・ステップ』『スタントマン 武替道』

映画2025年7月28日

『木の上の軍隊』(7月25日公開)  1945年の沖縄。宮崎出身の山下一雄少尉と沖縄出身の新兵・安慶名セイジュンは米軍の銃撃に追い詰められ、大きなガジュマルの木の上に身を潜める。やがて戦争は終結するが2人はその事実を知るすべもなく、木の上で … 続きを読む

Willfriends

page top