森崎ウィン、再び挑むロイド・フォージャー役「この2年の間にいろいろなところで学び、培った経験がきっと生かせる」 ミュージカル「SPY×FAMILY」【インタビュー】

2025年7月30日 / 08:00

 2023年に舞台化され、話題を呼んだミュージカル「SPY×FAMILY」の再演が決定。9月20日から埼玉・ウェスタ川越(プレビュー公演)、10月7日から東京・日生劇場ほかで上演される。本作は、シリーズ累計発行部数3800万部を突破の遠藤達哉による大ヒット漫画を原作にしたミュージカル。「スパイ&超能力者&殺し屋が互いの秘密を抱えたままかりそめの家族になる」というユニークな設定とスタイリッシュなキャラクターたち、シリアスとコメディーが絶妙にブレンドされた世界観で唯一無二の魅力を持つ。初演に続き、主人公のロイド・フォージャー役を演じる森崎ウィンに初演の思い出や再演への意気込みを聞いた。

森崎ウィン【ヘアメーク:宇田川恵司/スタイリスト:森田晃嘉】 (C)エンタメOVO

- 初演から約2年という短いスパンで再演が決定しました。改めて再演が決まったお気持ちを聞かせてください。

 すごくうれしいです。僕の舞台人生で、初演に出演し、再演にも出演するという経験は今回初めてなので、自分がどう変化しているのか、そして再演ならではの魅力をこれから見つけることが楽しみです。

-初演時に印象に残っている出来事は?

  初演というのは本当に難しいもので…どうしても初日は決まっているので、時間との勝負でもあります。幕が開くまでは本当に大変でしたが、幕が開いてお客さまと対峙(たいじ)したときは、頑張って良かったと疲れが吹き飛びました。大きな達成感と喜びと、ここから始まるんだという覚悟を改めて感じて…いろいろな感情が交錯したのを覚えています。

-大変だったというのは、やはりやることが多かったからですか。

 それもありますし、舞台上で本番通りに行う通し稽古ができなかったということもありました。裏にはけてすぐに着替えて出るシーンなどのタイミングを合わせてみることができなかったので、いろいろな不安があったんです。そうした意味での大変さでしたね。

-では、手応えを感じたのはどんな瞬間でしたか。

 初演での手応えとは少し違いますが、「SPY×FAMILY」のすごさを最初に感じたのは、初演の製作発表を終えてテレビ番組の収録でイギリスに行ったときです。イギリスでミャンマー人から「ウィンだよね?」と声をかけられたんです。僕はミャンマーでありがたいことに知名度が高いので、ウィンだと気付いてもらえることはあるのですが、二言目に「『SPY×FAMILY』やるんでしょう?」って。そこまで情報が届いていると思わなかったので、改めて原作の力のすごさを感じました。同業者の方も初演はたくさん見に来てくださって、お声をかけていただくことも多かったので、注目度の高さを感じましたし、同業者にも響くだけの説得力があるものを作れて、そのチームの1人として携われたのは本当にうれしかったです。

-ロイドという役を作り上げていく上では、原作はかなり意識されましたか。

 遠藤先生が一コマ一コマに思いを込めて描かれているので、その絵をきちんと再現することは大切にしました。左手でこうやって抱えている。ここは帽子をかぶっていると、要所要所で漫画やアニメの動きをお芝居に取り入れています。それから、アニメではロイド役は江口(拓也)さんが演じられているので、江口さんの声のイメージがすでに皆さんにあると思います。でも、僕は江口さんの声にはなれないので、僕が思うロイドをイメージしながら作っていました。キャラクターについては台本を信じて、G2さんの演出の元で深掘りしていきました。

-ロイドを演じる上で1番ポイントにしていたところは?

 声です。僕は普段、声が高いんです。舞台では声が高いとどうしても若く見え過ぎてしまい、ロイドの持つ貫禄や経験値の高さが出ないので、あえて声を低くするように意識していました。今回、2年ぶりのロイド役になりますが、きっとロイドは年齢を重ねれば重ねるほど合うキャラクターだと思います。なので、初演のときから、もう1回演じたいとずっと思っていました。この2年の間にいろいろなところで学び、培った経験がきっと生かせると思います。

-演出のG2さんからはお稽古場などでどのような演出がありましたか。

 原作がこれだけ世の中で知られていて、キャラクターもしっかりと認知されているだけに、その印象が強く、ミュージカルとしての説得力が必要になる作品なのだと思います。そのためにも絶対的な技術が必要で、そうした場に呼んでいただいたことへの責任はしっかりと持たなければいけないと思っていました。G2さんは原作を大事にしながらも、ミュージカルにするために大胆にシーンを取捨選択し、すごく分かりやすく演出をされていると思います。「ここでかっこよく登場してきて」とか「ここはこうした心情で作って」と明確に演出をつけてくださるので、すごく信頼しています。いい意味で厳しい人でもあるので、ピリッとする瞬間もあるし、メリハリもしっかりとされていて、ものづくりをする上で苦しみを乗り越えなくてはいけないことも提示してくれる。なので、僕はG2さんの稽古場が大好きです。

 
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