ひょうろく「一瞬ドッキリを疑ったんですけど、渡辺謙さんがいらっしゃったので、やっぱり本当だったのかと」 【大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」インタビュー】

2025年6月22日 / 19:59

-何か撮影中のエピソードがあれば。

 周りは本当にすごい方たちばかりで、最初の撮影の時は緊張でまばたきが止まらなかったんです。演出の方から「ちょっとまばたきが多いですね」と言われて、「気を付けます」って言ったんですけど、止めようと思っても止まらないんです。ところがほかの皆さんは、絶対にまばたきをしないんです。それが当たり前というか。ただ見ている分には気付かないけど、多分心掛けていらっしゃることがとても多いんだと思いました。一緒にやらせていただいてすごく勉強になりました。何が分かっていないのも分からないということが分かりました(笑)。

-誰袖花魁役の福原遥さんとの撮影の感想を。

 ドキドキしないければいけないシーンではあったんですけど、本当にドキドキしてすごく緊張しました。実際に手を握られるシーンもかなりドキドキしました。福原さんは、言葉遣いも含めてすごく色っぽかったのですが、「花魁の言葉遣いが難しいんですよ」っておっしゃっていたので、福原さんでもそういう悩みがあるんだと思いました。

-大河ドラマに出たことで、俳優という仕事に対する思いは変わりましたか。

 作品を見た方に楽しんでもらえる一部になりたいです。これ面白かったねというところに一要素として入れたらいいなと思います。ほかの皆さんを見ていると、すごい重厚感がある方もいれば、ひょうひょうとしている方もいる。それぞれの味や良さがあります。僕にも何かそういうものがあればいいのにというのはすごく感じました。

-キセルを吸うシーンなど、所作もかなり苦労したのでは。

 本当に難しかったです。キセルを見てはいけないんだと思いながらも、見ないと距離感が分からなくて。一発で口のところに持ってくるのが難しかったです。それで2回ぐらいやり直させてもらいました。

-バラエティーと演技の違いは?

 バラエティーの方面は、準備できない怖さというか、もう本当にまっさらな状態。考えても結局自分の思い通りになりません。これからどうなっていくんだろう、これは一体何なんだろうという怖さがあります。演技の方は、逆にやることがきっちりと決まっていて、その通りにしないといけない。バラエティーだと失敗したことが逆に良さになったりもしますが、演技の仕事は、失敗はただの失敗で、本当にすいませんとなります。だから極力失敗しないようにしなければなりません。やることが決まっている分、その通りにしないといけない難しさがあります。

-演技で大切なことは?

 自分がどこまで楽しんでやれるかが大事なのかなと思います。今回は準備不足もあって楽しむ余裕がありませんでした。廣年さんってどんな人なのかということをもっと考えてやればよかったのかなと。もう1回最初からやり直したい気分です。

-廣年との共通点はありますか。

 誰袖花魁から色仕掛けを食らっちゃうんですけど、やっぱりそうなっちゃうよなって思いました。演じながら自分でも情報を流しちゃいそうだなと思っていました。ストーリーや誰袖さんの意図は、台本上知っているので、すごく悲しくなりました。それでも、いやもしかしたら本心なんじゃないかなと思ってしまうところは、自分と似ているかもしれません。

-大河ドラマに出た自分をどんなふうに思いますか。

 もちろんすごく緊張もしましたが、いまだによく分かっていないというか、すごいことなんだと思いながらも客観視できていません。何か台風の中にいた感じです。外から見たらめちゃくちゃ大きな台風なんだけど、その渦中にいるとあまり実感がないというか。もう1人の僕がいたら、「えーっ」てなっていると思います。

(取材・文/田中雄二)

誰袖花魁役の福原遥(左)と松前廣年役のひょうろく (C)NHK

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