大地真央 コシノ三姉妹の母役で映画初主演「コシノアヤコさんの生涯には人生のヒントが詰まっている」『ゴッドマザー~コシノアヤコの生涯~』【インタビュー】

2025年5月22日 / 12:00

(C)「ゴッドマザー〜コシノアヤコの生涯〜」製作委員会

-演じてみて、アヤコさんがコシノ三姉妹を育てられた理由を、どのように感じましたか。

 「自分で考え、やりたいことは好きにやりなさい」というアヤコさんの教育が、三姉妹の皆さんの根底にある気がします。「私は何もしていません」とほったらかしているように見えて、実は三姉妹それぞれの個性に合わせた教育をしている。そういう奥深い愛情も感じました。そんなアヤコさんの後ろ姿を見て育ったからこそ、三姉妹の皆さんはあれほどの実績を残せたのではないでしょうか。しかも皆さん、とにかくお元気なんです。80代にもかかわらず、会話や歩くときのテンポなど、全てがお若くて。やっぱり、アヤコさんあっての三姉妹なんだなと。

-アヤコさんは、コシノ三姉妹を育てただけでなく、戦争で夫を亡くされるなど、波乱の人生を歩んできました。その点についてはどんな印象を受けましたか。

 私の祖母も40歳で夫を亡くし、子ども5人を1人で育てましたが、戦争を経験していらっしゃる方は皆さん強いですよね。アヤコさんも、開戦を告げるラジオ報道を聞いても、動じることなく食事をしていたそうですから。おなかの中にミチコさんがいたとはいえ、みんなが手を止めて心配しているのに、「こんなときやからよって、食べやんと」と言って。そんなご苦労を乗り越えた末、「なにかを始めるのに、遅すぎる事なんてあるかいな」と、70代でファッションブランドを立ち上げて。そのバイタリティーとタフさには、驚くばかりです。

-大地さんご自身も初舞台から50年を超えるキャリアをお持ちですが、アヤコさんの人生から刺激を受ける部分はありましたか。

 もちろんです。私の同い年の友人も最近、ジャズダンスとクラシックバレエを始めましたし、私もいろんな挑戦をしてきましたが、これからもアヤコさんを見習い、臆することなく挑戦を続けていきたいと思います。

-アヤコさんは、大地さんのご両親くらいの世代だと思いますが、この作品を通じて、ご家族に思いをはせることはありましたか。

 アヤコさんは大正2年生まれで、私の父が大正3年、母が大正7年生まれなので、ほぼ同世代です。実は今回、アヤコさんのお気に入りの福島の郡山にあるおまんじゅう屋さんが、私の母方の遠縁に当たることが分かったんです。アヤコさんのお誕生日祝いに、特製のおまんじゅうを作ったこともあるらしくて。だから、このお役をやらせていただくことも必然かな、とご縁を感じました。

-それでは最後に、映画の公開を楽しみに待つ観客の皆さんへメッセージをお願いします。

 アヤコさんはまさに「ゴッドマザー」と呼ぶにふさわしい方で、劇中にはお父様が遺された「向こう岸、見ているだけでは渡れない」や、アヤコさんの「なにかを始めるのに、遅すぎる事なんてあるかいな」という名言も登場します。最後までその言葉通りの生き方を貫かれた方なので、アヤコさんの生涯にはさまざまな人生のヒントが詰まっています。ぜひ劇場に足をお運びいただいて、笑って泣いて、いろんなメッセージを受け取ってください。

(取材・文・写真/井上健一)

(C)「ゴッドマザー〜コシノアヤコの生涯〜」製作委員会

 

  • 1
  • 2
 

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

河合優実「少しでも戦争について考えるきっかけになれば」戦争で大切な人を失った蘭子役への思い 連続テレビ小説「あんぱん」【インタビュー】

ドラマ2025年5月21日

-河合さんご自身もこれまで、りりしい孤高の人物を演じる印象が強く、蘭子のように温かな家族に囲まれている役は、見ていて新鮮に感じます。演じる上で、今までと違いはありますか。  お芝居についての基本的な考えは変わりません。さまざまなシーンがある … 続きを読む

稲垣吾郎、ハリー・ポッター役で「新しい風が吹かせられれば」 舞台「ハリー・ポッターと呪いの子」【インタビュー】

舞台・ミュージカル2025年5月21日

-舞台に出演するときには、心や体をキープするためにどんなことを心がけていますか。  さまざまなお仕事をさせていただいている中で、舞台というのは心も体も自分にすごくフィットしていると思います。ストレスを感じることがないんですよ。自分のリズムに … 続きを読む

二宮和也「子どもたちの映画館デビューに持ってこいの作品です」『シナぷしゅ THE MOVIE ぷしゅほっぺダンシングPARTY』【インタビュー】

映画2025年5月17日

-役作りをする上で気を付けたことはありましたか。  気を付けたことで言うと、子どもたちがメインで見るので、物語の展開もそうですけど、スピード感みたいなものは割と気を付けていました。あとは、「こうやって言ったら分かるよね」というような、押し付 … 続きを読む

【週末映画コラム】異色ホラーを2本 デミ・ムーアがそこまでやるか…『サブスタンス』/現代性を持った古典の映画化『ノスフェラトゥ』

映画2025年5月16日

『ノスフェラトゥ』(5月16日公開)  1838年。不動産業者のトーマス・ハッター(ニコラス・ホルト)は、自身の城を売却しようとしているオルロック伯爵(ビル・スカルスガルド)のもとへ向かう。  トーマスの不在中、彼の新妻エレン(リリー=ロー … 続きを読む

新原泰佑、世界初ミュージカル化「梨泰院クラス」に挑む「これは1つの総合芸術」【インタビュー】

舞台・ミュージカル2025年5月16日

-ドラマ化が大ヒットを記録したこの作品をミュージカル化することにはどのような思いがありますか。  この作品をミュージカルにするのは、すごくハードルが高いのではないかと思ったので、驚きました。ストレートプレーで上演した方が、もっとダイレクトに … 続きを読む

Willfriends

page top