竈門炭治郎を演じる阪本奨悟が語る、舞台「鬼滅の刃」の魅力 「生身の人間が演じているからこそ、リアルに共感できる」【インタビュー】

2025年3月28日 / 08:03

阪本奨悟 (C)エンタメOVO

-炭治郎のどんなところに魅力を感じていますか。

 優しいところです。言葉にするとすごく薄っぺらく感じますが、僕だったら自分の家族が殺されたら恨み殺してやると思ってしまうかもしれません。心が歪んでしまってもおかしくない状況なのに、炭治郎は純粋で真っすぐなままでいられる。もちろん葛藤もあったとは思いますが、それを乗り越えて前を見ることができる炭治郎を尊敬しています。自分もそうありたいと思わせてくれるところが僕は大好きです。

-阪本さんは本作以外にも、ミュージカル『刀剣乱舞』や演劇調異譚「xxxHOLiC」など原作人気の高い舞台作品に数々出演し、人気キャラクターを演じていますが、そうしたキャラクターを演じる楽しみはどんなところにありますか。

 演じていて1番楽しいなと思う瞬間は、やっぱりお客さまから拍手をいただいたときです。それまでは苦しいことももちろんあります。舞台化されるときには、原作漫画に根強いファンがたくさんいますし、すでにアニメが放送されていることも多いので、そのキャラクターの人物像がすでに完成されていることが多いんです。完成されているキャラクターを演じるというのは、それだけですでにハードルがあって、なんとかそれを越えようという稽古場では必死に努力をしています。なので、いざ本番を迎えて拍手をいただけたり、お客さんが納得してくれたんだという思いが伝わってくるとすごくやりがいを感じます。お客さんの気持ちって、本当に伝わってくるんです。

-そうした原作のある作品での役作りは、原作に何度も立ち返りながら作り上げていくという形なのですか。

 迷ったときはそうします。稽古場に漫画を置いていただいている場合は、それを読み返して、家に帰ったら自分の漫画をまた読み返して。こう動いているのではないか、こういう表情をしているのではないかと考えて、いわゆる“行間を埋める”作業をしていきます。アニメになっている作品は、アニメも見ます。そこに“答え”があるので。オリジナルキャラクターを演じるとなったら、そうしたプロセスはまた変わると思いますが、原作がある作品に関してはそこに立ち返り、向き合う時間を僕はすごく大事にしています。

-シリーズ5作目で、最新作となる襲撃 刀鍛冶の里」では、新たな刀を求めた炭治郎が、刀鍛冶の里を訪れ、そこで鬼の襲撃を受けます。本作の見どころや注目してほしいポイントを教えてください。

 今回は善逸と伊之助がいない戦いになります。それは舞台「鬼滅の刃」では初めてのことなので、これまでとはまた違った魅力が生まれると思います。今回は、不死川玄弥や柱の二人、甘露寺蜜璃さん、時透無一郎と共闘するという新しい戦いの構図になっているので、そこで生まれるその人間関係やその関係性が深まっていくさまが見どころの一つになるのかなと僕は思っています。玄弥と炭治郎は真逆の性格をした人物ですが、その二人が共闘する中で、お互いのことを認め合っていく姿にも注目していただけたらと思います。

(取材・文・写真/嶋田真己)

 舞台「鬼滅の刃」其ノ伍 襲撃 刀鍛冶の里は、4月11日~20日に都内・天王洲 銀河劇場、4月25日~27日に兵庫・AiiA 2.5 Theater Kobeで上演。

舞台「鬼滅の刃」其ノ伍 襲撃 刀鍛冶の里 (C)吾峠呼世晴/集英社 (C)舞台「鬼滅の刃」製作委員会

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