竈門炭治郎を演じる阪本奨悟が語る、舞台「鬼滅の刃」の魅力 「生身の人間が演じているからこそ、リアルに共感できる」【インタビュー】

2025年3月28日 / 08:03

 「週刊少年ジャンプ」で2020年5月まで連載していた吾峠呼世晴による大ヒット漫画『鬼滅の刃』。2020年に初めて舞台化されて以降、シリーズを重ね、4月11日からはシリーズ5作目となる、舞台「鬼滅の刃」其ノ伍 襲撃 刀鍛冶の里が上演される。シリーズ4作目「遊郭潜入」から竈門炭治郎を演じる阪本奨悟に舞台の魅力や炭治郎役への思いなどを聞いた。

舞台「鬼滅の刃」竃門炭治郎役の阪本奨悟 (C)吾峠呼世晴/集英社 (C)舞台「鬼滅の刃」製作委員会

-原作漫画はもちろん、アニメ、劇場版と大ヒットを重ねてきた「鬼滅の刃」。阪本さんは「鬼滅の刃」という作品のどんなところに魅力を感じていますか。

 分かりやすい勧善懲悪という枠にとどまらないところが魅力なのかなと思います。「悪いやつは悪い。だから倒す」ではなく、なぜ悪になったのかまでをひもといて描き出しているんです。なので、悪だと思われる側にも感情移入ができますし、その悪が生まれるプロセスにもリアリティーを感じます。大正時代を舞台にしたお話ですが、大正というのも日本人にとってはリアリティーを感じられる時代なのかなと思いますし、刀を振るって戦う姿にも引かれてました。

-舞台「鬼滅の刃」ならではの面白さはどんなところにあると思いますか。

 僕はシリーズ4作目からの参加になりますので、それ以前の作品は映像で見ましたが、そのときに感じたのはやはり生身の人間が演じているということが最大の魅力だと感じました。『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』は映画館に一人で見に行くくらい大好きだったのですが、舞台で矢崎広さんが演じている煉獄(杏寿郎)さんを見て、実際にこの世界に煉獄さんが生きていたらこういう姿だったんじゃないかと思いました。舞台を見てもっとそれぞれのキャラクターのことを好きになったのを覚えています。生身の人間が演じているからこそ、リアルに共感できるのだと思います。それから、何日間も公演が続いていくので、当然、役者たちも疲弊はしていきますが、その過程も鬼殺隊とリンクしていると感じました。鬼殺隊も生身の体で戦っていて、そういう意味でも舞台との親和性を感じたのかもしれません。舞台「鬼滅の刃」其ノ参 無限夢列車では、無音の中、身を削って殺陣をするシーンがあったのですが、本当に息が詰まるほどの緊張感で、これを実際に目の前で見たらまばたきもできない空気感だったんだろうと感じ取れました。生身の人間がやるからこそ生まれるものをこの舞台ではすごく感じました。

※煉獄の「煉」は、正しくは “「火」へんに「東」”

-炭治郎は、子どもから大人まで広く知られているキャラクターです。そうした誰もが知っているキャラクターを演じる際に意識していることはありますか。

 本当に誰もが知っているキャラクターですから、演じる前はプレッシャーが大きかったです。僕も原作を読んだときに一番好きなキャラクターは炭治郎だったんです。だからこそ自分が演じるとなると本当にプレッシャーでした。そうした中、実際に演じてみて一番大切にしなくてはいけないと思ったのは、「全世界の誰よりも自分が炭治郎のことを1番好きなんだ。愛しているんだ」という気持ちです。その気持ちを持って挑むというのは、今回も同じです。昨年、5月にはニューヨークで行われた「Japan Parade 2024」に舞台「鬼滅の刃」のキャストとして参加させていただきましたが、そのときによりそう感じました。大人から子どもまでニューヨークの方々が「炭治郎、炭治郎」と大きな声援を送ってくれたことに感動し、より責任感を持って頑張ろうと思えるようになりました。

 
  • 1
  • 2

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

前田旺志郎「世の中に関心を持つ大切さに気付いた」窪塚愛流「止まっていた時間が動き出した」初共演の2人が福島原発事故を題材にした映画で感じたこと『こんな事があった』【インタビュー】

映画2025年9月16日

 東日本大震災から10年後の福島を舞台に、原発事故で引き裂かれた家族と青春を奪われた若者たちの姿を描いた『こんな事があった』が9月13日から全国順次公開中だ。監督・脚本は、『追悼のざわめき』(88)などで日本のみならず世界の映画ファンから支 … 続きを読む

グイ・ルンメイ、真利子哲也監督「お互いが思い合うからこそすれ違う。でもそこには愛があるという家族の形を描きたかった」『Dear Stranger/ディア・ストレンジャー』【インタビュー】

映画2025年9月12日

 ニューヨーク・ブルックリンで暮らすアジア人夫婦を主人公に、息子の誘拐事件をきっかけに夫婦の秘密が浮き彫りとなり家族が崩壊していく姿を、全編NYロケで描いた『Dear Stranger/ディア・ストレンジャー』が、9月12日から全国公開され … 続きを読む

【物語りの遺伝子 “忍者”を広めた講談・玉田家ストーリー】(3)無鉄砲小僧、恐れを知らぬ行動力

舞台・ミュージカル2025年9月12日

 YouTubeもNetflixもない時代、人々を夢中にさせた“物語り”の芸があった——。“たまたま”講談界に入った四代目・玉田玉秀斎(たまだ・ぎょくしゅうさい)が、知られざる一門の歴史物語をたどります。 ▼無鉄砲小僧、恐れを知らぬ行動力 … 続きを読む

北村匠海 連続テレビ小説「あんぱん」は「とても大きな財産になりました」【インタビュー】

ドラマ2025年9月12日

 NHKで好評放送中の連続テレビ小説「あんぱん」。『アンパンマン』を生み出したやなせたかしと妻・暢の夫婦をモデルにした柳井のぶ(今田美桜)と嵩(北村匠海)夫婦の戦前から戦後に至る波乱万丈の物語は、ついに『アンパンマン』の誕生にたどり着いた。 … 続きを読む

中山優馬「僕にとっての“希望”」 舞台「大誘拐」~四人で大スペクタクル~の再始動で見せるきらめき【インタビュー】

舞台・ミュージカル2025年9月11日

 中山優馬が主演する舞台「大誘拐」~四人で大スペクタクル~が10月10日に再始動する。本作は、天藤真の小説「大誘拐」を原作とした舞台で、2024年に舞台化。82歳の小柄な老婆が国家権力とマスコミを手玉に取り、百億円を略取した大事件を描く。今 … 続きを読む

Willfriends

page top