小芝風花 “伝説の花魁”を演じる覚悟「最初で最後のつもりで」【「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」インタビュー】

2025年3月9日 / 20:45

(C)NHK

-というと?

 花魁道中で行う“外八文字”の歩き方は、花の井のときは上半身を動かさず、足だけで八の字を描いていましたが、瀬川の道中は貫禄やすごみを増すために、上半身も少しひねるようにしました。歩いているときの表情も、花の井のときは「こうほほ笑んだら見ているお客さんが落ちるな」と周りを意識していましたが、瀬川を襲名した後は、簡単には手を出せない風格と“瀬川”の名を背負う覚悟が見えるように変えています。声の出し方も、瀬川のときは、格が上がった感じを出すために、さらに気高く聞こえるように心がけました。気高くあればあるほど、華やかであればあるほど、実際の勤めとの落差や残酷さが際立ってくると思うので。

-瀬川にとって大切な存在である蔦重役の横浜流星さんの印象を教えてください。

 流星くんは、その場の空気感やその場で起こっていることなど、そのとき感じたことを、大事にされる印象です。だから、監督のリクエストにも柔軟に応えることができるのかなと。私も流星くんとは、シーンごとに2人の感情を確認しながらお芝居をすることが多いです。例えば、第9回で“足抜け”を試みようとしたときも、「2人とも幼い頃から吉原にいるから、本当に成功するとは思っていないけど、それでも夢見てしまう感情ですよね」という話を流星くんがしてくれましたし。そんなふうに、監督を交えてシーンごとに細かくお互いの感情を確認しながら演じています。

-放送開始以来、「今までの小芝さんとは別人のよう」「いい意味でギャップがある」といった視聴者の好意的な反響が多く見られますが、どのように受け止めていますか。

 すごくうれしいです。今までは、「元気で明るくて真っすぐないい子」といった役が多く、色気や大人っぽさ、みたいなものに自分でも苦手意識があり、課題だったんです。大河ドラマでそういう大きな課題にチャレンジさせていただけることにプレッシャーと不安を感じつつも、少しでもご期待に応えられるようにと、頑張って演じました。だから、皆さんが本当に細かいところまで、瀬川の感情をくみ取ってくださる様子を拝見し、「こだわってよかった」、「伝わってうれしい」という気持ちでいっぱいです。

(取材・文/井上健一)

 

 

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

【映画コラム】映画は原作を超えたか 沖縄の現代史を背景に描いた力作『宝島』/純文学風ミステリーの趣『遠い山なみの光』

映画2025年9月18日

『遠い山なみの光』(9月5日公開)  1980年代のイギリス。日本人の母とイギリス人の父との間に生まれロンドンで暮らすニキ(カミラ・アイコ)は、大学を中退し作家を目指している。ある日、彼女は執筆のため、異父姉の景子が亡くなって以来疎遠になっ … 続きを読む

【Kカルチャーの視点】レジェンドたちの「朝鮮の旅」たどった写真家の藤本巧さん

2025年9月18日

▼30年代の記録と響き合う  藤本さんの渡韓の直接的な発端は、1963年に録音された河井寛次郎のインタビューテープだった。  「染織家の岡村吉右衛門さんが、民藝を調査した人たちの言葉を録音して後世に残そうとされ、そのダビングを父に頼みにこら … 続きを読む

エマニュエル・クールコル監督「社会的な環境や文化的な背景が違っても、音楽を通して通じ合える領域があるのです」『ファンファーレ!ふたつの音』【インタビュー】

映画2025年9月18日

-劇中に流れるさまざまな曲は、全て監督のチョイスですか。  音楽は全て私のチョイスです。こういうシーン、こういう状況だったらこの音楽は意味があるかなと考えながら一つ一つ選んでいきましたが、いろんな人たちの意見も聞きましたし、私自身もたくさん … 続きを読む

前田旺志郎「世の中に関心を持つ大切さに気付いた」窪塚愛流「止まっていた時間が動き出した」初共演の2人が福島原発事故を題材にした映画で感じたこと『こんな事があった』【インタビュー】

映画2025年9月16日

-お芝居に悩んだり、難しさを感じたりすることはありませんでしたか。 前田 たくさんあります。でもその都度、松井監督と相談しながら進めていきました。迷ったときは、松井監督を信じればいい、という信頼関係が出来上がっていたので。 窪塚 松井監督は … 続きを読む

グイ・ルンメイ、真利子哲也監督「お互いが思い合うからこそすれ違う。でもそこには愛があるという家族の形を描きたかった」『Dear Stranger/ディア・ストレンジャー』【インタビュー】

映画2025年9月12日

-ルンメイさん、夫・賢治役の西島秀俊さんの印象はいかがでしたか。 ルンメイ 今回西島さんと一緒にお仕事ができたことはとても光栄でした。西島さんは経験豊かな方なので、私は現場でとても安心して演技をすることができました。西島さんがいろんなエネル … 続きを読む

Willfriends

page top