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花魁道中で行う“外八文字”の歩き方は、花の井のときは上半身を動かさず、足だけで八の字を描いていましたが、瀬川の道中は貫禄やすごみを増すために、上半身も少しひねるようにしました。歩いているときの表情も、花の井のときは「こう微笑んだら見ているお客さんが落ちるな」と周りを意識していましたが、瀬川を襲名した後は、簡単には手を出せない風格と“瀬川”の名を背負う覚悟が見えるように変えています。声の出し方も、瀬川のときは、格が上がった感じを出すために、さらに気高く聞こえるように心がけました。気高くあればあるほど、華やかであればあるほど、実際の勤めとの落差や残酷さが際立ってくると思うので。
流星くんは、その場の空気感やその場で起こっていることなど、そのとき感じたことを、大事にされる印象です。だから、監督のリクエストにも柔軟に応えることができるのかなと。私も流星くんとは、シーンごとに2人の感情を確認しながらお芝居をすることが多いです。例えば、第9回で“足抜け”を試みようとしたときも、「2人とも幼い頃から吉原にいるから、本当に成功するとは思っていないけど、それでも夢見てしまう感情ですよね」という話を流星くんがしてくれましたし。そんなふうに、監督を交えてシーンごとに細かくお互いの感情を確認しながら演じています。
すごくうれしいです。今までは、「元気で明るくて真っすぐないい子」といった役が多く、色気や大人っぽさ、みたいなものに自分でも苦手意識があり、課題だったんです。大河ドラマでそういう大きな課題にチャレンジさせていただけることにプレッシャーと不安を感じつつも、少しでもご期待に応えられるようにと、頑張って演じました。だから、皆さんが本当に細かいところまで、瀬川の感情をくみ取ってくださる様子を拝見し、「こだわってよかった」、「伝わってうれしい」という気持ちでいっぱいです。
(取材・文/井上健一)
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