中村橋之助「中山晋平さんを知らない人たちにとっては、晋平さんのことを改めて深く知ることができる楽しさがあると思います」『シンペイ 歌こそすべて』【インタビュー】

2025年1月9日 / 08:00

-大ベテランの神山監督の演出はいかがでしたか。

 最初に監督とお会いした時は、髪も紫だし、サングラスをかけているのでめちゃめちゃ怖いおじいちゃんだと思ったんです(笑)。でも、本当に自由に演じさせてくださいました。まず僕が思う芝居をさせてから、監督の中で違うと思ったら何かおっしゃるんですけど、基本的には伸び伸びと、僕が作ってきたことをやらせてくださいました。演技指導というよりも、セッティングの間に「ここはこういう意図で書いているから」とお話してくださるという形でした。それを自分の中で消化して、ヒントにしてお芝居ができたという感じです。

-晋平の曲の魅力についてはどう思いましたか。

 僕は音楽的なことはよく分からないんですけど、フィーリングとしては、晋平さんの曲は1曲まるまるちゃんと聴いて作品になる曲だと感じました。最近の曲だと、出だしの何秒かが勝負だったりしますけど、晋平さんの曲は全部聞いてこそ、“中山晋平の曲だ”というのを感じました。

-映画を経験してみて感じたことは。

 これからは意欲的に映像の方もやっていきたいと思うようになりました。お芝居の方は慣れているので、歌舞伎以外の舞台もどんどんやっていきたいと思っていましたが、映像の方は果たして僕で大丈夫なのかという気持ちがすごくありました。でも、この約2か月間の撮影を通して、本当に真っ白な状態で入っていって、いろんな人からいろんなことを学んで、納得して自分の引き出しにしていけるのが楽しかったので、これからも意欲的に映画やドラマにも挑戦したいと思いました。歌舞伎には瞬発力が必要です。映画も「用意スタート」からの瞬発力がすごく大事なんだというのを感じて、気持ちがポンって入る感覚というのは、歌舞伎でも歌舞伎以外でも、引き出しの一つとして生かせると思いました。

-今回の映画出演についてご両親は何か言っていましたか。

 両親は、歌舞伎の時もそうですけど、あまり細かいことは言いません。母(三田寛子)は「映像は5倍も10倍も太って見えるから痩せなさい」と。父からは「自分も映像で育ててもらったから、意欲的にやっていくことはとてもいいことだと思う」と言われました。

-最後に、観客や読者に向けて映画のアピールをお願いします。

 中山晋平さんをご存じの方は、名曲の誕生秘話を楽しみながら、晋平さんの人生をご自分と重ね合わせてご覧になっていただけると思います。ただの伝記物ではなくて、エンターテインメントとして見られますし、すごくテンポがいい割にはしっかりと句読点が付いた作品になっていますので、楽しんでいただけると思います。僕と同世代で「東京音頭」や「シャボン玉」だけを知っている人や、晋平さんを知らない人たちにとっては、晋平さんのことを改めて深く知ることができる楽しさがあると思います。

(取材・文・写真/田中雄二)

(C)「シンペイ」製作委員会 2024

  • 1
  • 2
 

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

草なぎ剛「やっぱりすごい…。心からリスペクトしています」 風吹ジュン「学ぶことも多く、新しい意識が生まれるドラマ」「終幕のロンド」【対談インタビュー】

ドラマ2025年10月27日

-お二人は、娘の真琴(中村ゆり)に余命を伝えないと決めたこはるの生き方に共感できますか。 風吹 こはるは愛に生きる人なので、会えばけんかばかりしてしまう娘でも、そこには母親としての愛情しかなくて、それが彼女の決意、引いては“死にざま”につな … 続きを読む

沢村一樹「勝負は“確認作業”」 孤高の馬主が見つめる“真の競馬”とは 「ザ・ロイヤルファミリー」【インタビュー】

ドラマ2025年10月27日

-感情を表に出さない冷静な椎名を、どのように意識して演技に臨んでいますか。  椎名にとって、レースは「確認作業」なんです。それが正しかったか、正しくなかったか。もし勝ったら「これが正しかったんだ」という確認ができて、逆に負けたら「何を変えた … 続きを読む

長尾謙杜&山田杏奈&石原慎也(Saucy Dog)が話題の映画でタッグ!「主題歌が主人公たちの気持ちを表している」『恋に至る病』【インタビュー】

映画2025年10月24日

-そうやってお2人が繰り広げる物語がドラマチックな分、エンディングに流れる「奇跡を待ってたって」が心に染み入ってきます。 石原 映画の内容をきちんと踏まえた曲にしたかったので、エンディングが始まって何秒で風景が変わり…といったことを細かく計 … 続きを読む

市毛良枝「現代の家族のいろんな姿を見ていただけると思うし、その中で少しでもホッとしていただけたらいいなと思います」『富士山と、コーヒーと、しあわせの数式』【インタビュー】

映画2025年10月23日

-文子が生涯学習の講座に行きますが、生涯学習についてはどう思いますか。  実は、以前、静岡県の生涯学習の委員をやっていました。それから最初に出した『山なんて嫌いだった』という本の後書きに「いつか少し時間ができたら大学に行って勉強してみたい」 … 続きを読む

林裕太「北村匠海さんや綾野剛さんとのつながりを感じました」期待の若手俳優が先輩2人と作り上げた迫真のサスペンス『愚か者の身分』【インタビュー】

映画2025年10月22日

-その場でとっさに反応したように見える迫真のお芝居でした。では、マモルにとってもう一つ大事な要素である北村さん演じるタクヤとのバディ感は、どのように作っていったのでしょうか。  北村さんと一緒に現場で作っていった感じです。僕が最初、緊張して … 続きを読む

Willfriends

page top