「キンキーブーツ」甲斐翔真&松下優也、「夢にも思っていなかった」ローラに挑む 【インタビュー】

2025年1月8日 / 08:00

 2016年に日本で初演、2019年、2022年に再演され、チケットは全公演即日ソールドアウトするほど人気を集めるブロードウェイミュージカル「キンキーブーツ」。4月27日に開幕する4回目の公演では、メーンキャストがほぼ一新され、これからの日本のミュージカルシーンを担う実力派が結集した。ドラァグクイーンのローラは、甲斐翔真と松下優也のWキャスト。チャーリー役の東啓介と有澤樟太郎とともに、新たな「キンキーブーツ」を作り上げる。今回は、甲斐と松下に役柄への思いや公演への意気込みを聞いた。

松下優也(ヘアメーク:ASUKA〈a-pro.〉/スタイリスト:村田友哉〈SMB International.〉/左)と甲斐翔真(ヘアメーク:木内真奈美〈オティエ〉/スタイリスト:山本隆司〈style³〉)

新キャストとして出演が決まった心境を教えてください。

松下 僕は日本の公演ではなくロンドン公演を映像で見させていただきましたが、めちゃくちゃショーアップされていて、お客さんも一緒になって盛り上がれる作品だということが伝わってきました。ローラの人間性やユーモアな部分や繊細なところまでしっかりと描き出されていて、それがすてきだなと思いました。

甲斐 僕は、2016年に初めて拝見させていただいたときに、すごく衝撃を受けたことを覚えています。こうして今、この業界を知ったからこそ、あの時期、あの瞬間に「キンキーブーツ」を上演したということは、日本のミュージカル界においてすごく特別で衝撃的なことだったのだろうということを改めて感じます。公演を重ねるごとにどんどんファンの皆さんが増えていく作品に、自分がこうして出演できるということは夢にも思っていなかったので、楽しみです。

初演からご覧になっていて、もし、ご自身が出るとしたら、ローラ役だと思っていましたか。

甲斐 思ってなかったですね。ローラの要素が僕にはないと思っていたので、どちらかといえばチャーリーかなと。可能性が全くないと思っていた役だからこそ、新しい扉を開けないといけない。こんなチャンスに恵まれることはなかなかないことだと思うので、これはやるべきだと強い思いを持ってオーディションを受けさせていただきました。受かったときもまさかと思いましたが、僕はこの作品を見続けてきましたから、日本においてこの作品の在り方を知っているつもりではあるので、皆さんの期待と甲斐翔真に求められていることをうまくミックスしてやれたらいいなと思います。

松下さんはローラを演じることにどんな思いがありましたか。

松下 僕も夢に見たことはなかったので、本当にびっくりしました。自分が演じることがあるなんて思ってもいなかったので、オーディションのお話をいただいた時点で驚きましたが、こうして演じさせていただけることになりとてもうれしかったです。自分がこれまでやってきたことが伝わっているのかなと思いましたし、オーディションを受ける時点でおそらく選ばれてお声をかけていただいたのだと思うので。

ビジュアル撮影で、実際にローラの扮装(ふんそう)をしてみてどのように感じましたか。

松下 細かいディテールまで作り込んでくださったので、なろうとしなくても自然とスイッチが入る感覚がありました。自分なんだけど自分じゃないような、自分から離れていく感じでした。

甲斐 人生で初めての経験でした。ここまで人の手を借りて、自分を生まれ変わらせるような体験はなかなかできないと思います。メークをするとか、よりきれいにするといった比じゃない(笑)。撮影の日は、鏡を見て100回くらい「これ、誰?」って言っていました(笑)。それくらい、まるっきり違う人になれるという経験をしました。なので、オーディションのときに抱いていた「大丈夫かな、できるかな」という不安はクリアしたように思います。逆に、無限大の可能性があることを感じましたし、自分を一旦、置いておいて、自分以外の何かで表現できるのではないかなと思います。

 
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