田代万里生、「オペラ座の怪人」の後日譚を描いた「ラブ・ネバー・ダイ」 3度目の出演に「また新たな気持ちで向き合える」【インタビュー】

2024年12月5日 / 08:00

-田代さんは、今年、ミュージカルデビュー15周年、さらに40歳を迎えられた節目の一年でした。

 今(取材当時)、デビュー15周年を記念したアルバムをレコーディングしているのですが、10周年から15周年にかけて演じた役柄のソロナンバーを中心に、オリジナル楽曲なども含めてお届けするものになっています。この5年間で演じた役柄は、くせ者ぞろいなんですよ。5年前のアルバムは端正な役柄が多かったのに、今は急に叫んだり、ダミ声になったり、嫉妬に狂ったり、ちょっと様子が変だったり、嫌なパパだったり、コミカルだったり(笑)。本当にいろいろなチャレンジをさせていただいた5年間だったなと思います。

-デビュー当時と現在で、ご自身の中で感じている大きな変化は?

 若いときは、何事も経験だし、やってみないと分からないことも多いと思っていたので、隙間なく、立て続けに舞台に出演をして、経験を積んでいこうと思っていましたし、ありがたいことにそうさせていただいていました。ですが、40代に入ってからは、体ももちろん20代とは違いますし、喉も違いますし、精神的にも違う。日々の過ごし方や理想とする過ごし方、これからの人生をどう過ごして、どう音楽や舞台と向き合いたいかを考えるようになりました。何にでもチャレンジしてみるという考え方から、より慎重に、より一つ一つ丁寧に向き合えるように、インターバルもいただきながら作品を選んだり、役柄を構築していけるように心がけようと考えています。

-それは何かきっかけがあって、変化したのですか。

 コロナ禍があったり、改めて自分の体と向き合う機会ができたことがきっかけだったとは思います。それから、この15年間の中で自分なりのペースがつかめてきたからということももちろんあります。自分が納得する舞台にするためには台本と向き合う時間がどれだけ必要なのか、その役柄や作品を愛するためにはどれだけの勉強が必要なのかが分かってきたので、それからですね。

-今、お仕事をする上で大切にされていることは?

 人間は、馬車馬のように20年も30年も走り続けるのは不可能ですし、アウトプットをし続けるだけではだめだと思います。アウトプットをし続けながらインプットするってなかなか難しいんですよ。なので、インプットする時間とインプットするための気持ち、体力の余裕を持つための休息は、メンタル的にも体力的にも必ず必要です。舞台以外の経験や人との出会いをたくさんして、家族との時間や1人の時間をより大切に過ごして、プライベートを充実させて、心と体に余裕を持って作品に取り組むということがすごく大事だと痛感しています。

-最後に、公演に向けた意気込みをお願いします。

 3回目の出演になり、より熟成したラウルを演じられるのではないかと思っています。まだこの作品をご覧になったことがない方は、舞台美術とロイド=ウェバーの音楽の力に圧倒されると思います。そして、ミュージカルを見たことがない方も、「オペラの怪人」を見たことがない方も、事前予習がなくても十分楽しめる作品です。テレビや動画配信などいつでも気軽に見られる媒体がたくさんある現在ですが、決まった時間、決まった場所に1000人以上が集まって、1000人以上が固唾(かたず)を飲んで目の前で繰り広げられる生のお芝居を見る。そうした体験をぜひ劇場で体感していただきたいと思います。お待ちしております。

(取材・文/嶋田真己)

 ミュージカル「ラブ・ネバー・ダイ」は、2025年1月17日~2月24日に都内・日生劇場で上演。

ミュージカル「ラブ・ネバー・ダイ」

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