エンターテインメント・ウェブマガジン
今(取材当時)、デビュー15周年を記念したアルバムをレコーディングしているのですが、10周年から15周年にかけて演じた役柄のソロナンバーを中心に、オリジナル楽曲なども含めてお届けするものになっています。この5年間で演じた役柄は、くせ者ぞろいなんですよ。5年前のアルバムは端正な役柄が多かったのに、今は急に叫んだり、ダミ声になったり、嫉妬に狂ったり、ちょっと様子が変だったり、嫌なパパだったり、コミカルだったり(笑)。本当にいろいろなチャレンジをさせていただいた5年間だったなと思います。
若いときは、何事も経験だし、やってみないと分からないことも多いと思っていたので、隙間なく、立て続けに舞台に出演をして、経験を積んでいこうと思っていましたし、ありがたいことにそうさせていただいていました。ですが、40代に入ってからは、体ももちろん20代とは違いますし、喉も違いますし、精神的にも違う。日々の過ごし方や理想とする過ごし方、これからの人生をどう過ごして、どう音楽や舞台と向き合いたいかを考えるようになりました。何にでもチャレンジしてみるという考え方から、より慎重に、より一つ一つ丁寧に向き合えるように、インターバルもいただきながら作品を選んだり、役柄を構築していけるように心がけようと考えています。
コロナ禍があったり、改めて自分の体と向き合う機会ができたことがきっかけだったとは思います。それから、この15年間の中で自分なりのペースがつかめてきたからということももちろんあります。自分が納得する舞台にするためには台本と向き合う時間がどれだけ必要なのか、その役柄や作品を愛するためにはどれだけの勉強が必要なのかが分かってきたので、それからですね。
人間は、馬車馬のように20年も30年も走り続けるのは不可能ですし、アウトプットをし続けるだけではだめだと思います。アウトプットをし続けながらインプットするってなかなか難しいんですよ。なので、インプットする時間とインプットするための気持ち、体力の余裕を持つための休息は、メンタル的にも体力的にも必ず必要です。舞台以外の経験や人との出会いをたくさんして、家族との時間や1人の時間をより大切に過ごして、プライベートを充実させて、心と体に余裕を持って作品に取り組むということがすごく大事だと痛感しています。
3回目の出演になり、より熟成したラウルを演じられるのではないかと思っています。まだこの作品をご覧になったことがない方は、舞台美術とロイド=ウェバーの音楽の力に圧倒されると思います。そして、ミュージカルを見たことがない方も、「オペラの怪人」を見たことがない方も、事前予習がなくても十分楽しめる作品です。テレビや動画配信などいつでも気軽に見られる媒体がたくさんある現在ですが、決まった時間、決まった場所に1000人以上が集まって、1000人以上が固唾(かたず)を飲んで目の前で繰り広げられる生のお芝居を見る。そうした体験をぜひ劇場で体感していただきたいと思います。お待ちしております。
(取材・文/嶋田真己)
ミュージカル「ラブ・ネバー・ダイ」は、2025年1月17日~2月24日に都内・日生劇場で上演。
ミュージカル「ラブ・ネバー・ダイ」
映画2025年8月26日
-同年代の共演者とはアドリブでやり取りをしたこともありましたか。 奏介がテルオたちと大きなオブジェを作るシーンがあって、映画のスピードはずっとゆっくりなのに、あのシーンだけ会話のスピードが速くなるんです。そこで結構アドリブを入れたんですけ … 続きを読む
舞台・ミュージカル2025年8月26日
-皆さんの歌唱シーンもあるのですか。 橋本 それはもちろん、ちょくちょくあります(笑)。歌います。アンサンブルの方と一緒に歌うシーンもありますが、ミュージカルではないんです。バックに流れていて、それに合わせて芝居していくという形だと思います … 続きを読む
ドラマ2025年8月25日
また、原作から得た気付きも大きいという。「原作には、読者の感情を揺さぶる瞬間が描かれています。それがどこにあるのかを探りながら、ドラマにもそのエッセンスを取り入れるようにしています」。 原作の短編では、百々がさまざまな医療機関を受診して … 続きを読む
ドラマ2025年8月22日
NHKで好評放送中の連続テレビ小説「あんぱん」。『アンパンマン』を生み出したやなせたかしと妻・暢の夫婦をモデルにした柳井のぶ(今田美桜)と嵩(北村匠海)夫婦の戦前から戦後に至る波乱万丈の物語は、いよいよクライマックスが近づいてきた。このタ … 続きを読む
舞台・ミュージカル2025年8月22日
-本作は、19世紀を代表する未完の戯曲です。そうした作品を今、上演する面白さや魅力はどう感じていますか。 自分は与えられた役を生きることに集中したいと思います。ただ、今も昔も、みんなそれぞれに傷ついて、それを隠して生きていると思います。戦 … 続きを読む