「童心に帰って、子どもに戻ってこの映画を見ていただきたい」『リトル・ワンダーズ』ウェストン・ラズーリ監督【インタビュー】

2024年10月24日 / 08:00

-子どもたちが、プレイヤーの「ベイビー・カム・バック」で踊るシーンが印象的でしたが、あの踊りはアドリブでしたか。

 最後の方で、ちょっとユーモラスなダンスシーンを入れるのもいいと思いました。子どもたちのダンス自体はアドリブです。一応、振り付けは考えたのですが、時間的に間に合いませんでした。あの場面は、ワイドの2種類と寄りを1つ、それからスローモーションの寄りを1つ撮りました。なので編集が大変でした。あの曲は、編集をしていた時にSpotifyでかかっていたのをたまたま聴いて合うと思って選んだのですが、結果的にあの曲がこのシーンをまとめてくれたのでよかったです。

-この映画では、パイが重要な役割を果たしますが、アメリカの子どもにたちにとってパイは日常的なものなのでしょうか。

 一言でいえば「クラシック(古典的)でコンフォート(快適)なもの」。食べて落ち着くようなものです。でも今はそれほど人気はないです。今のイメージだとタイムレス。昔ながらの、地方でよく食べられるものみたいな感じです。あとは、この映画では、童話によく出てくるアイテムの1つみたいなテイストも入っています。

-子どもたちが最初に盗むゲームの名前が日本名だったり、いろんなところで日本のカルチャーの影響が見られましたが、日本をすごく意識しているのですか。

 もちろん意識しています。日本の文化や映画、アニメ、漫画も大好きです。この映画でオマージュをささげたいという気持ちもありました。特に日本のアニメは、ユーモアとシリアスのバランスがとてもいいと思います。そういう特殊なトーンをこの映画でも追求したいと思いました。

-日本の映画やアニメなどで特に好きなものは?

 宮崎駿監督が関わった初期の「未来少年コナン」にはすごく思い入れがあります。あとは今敏監督の作品や「スピード・レーサー(「マッハGoGoGo」)」も。実写映画では黒澤明監督の作品や60年代のジャパンニューウェーブなど、好きなものはたくさんあります。黒澤監督の『隠し砦の三悪人』(58)については、この映画でちょっとリサイクルしています。特にあの映画の森の何でもありな感じや何が起きてもおかしくないような雰囲気は、この映画の森にも反映させました。

-この映画は16ミリフィルムで撮っていてそれがいい味になっていますが、それは予算の関係もあったのですか。

 完全に芸術的な選択です。もともと16ミリが大好きなんです。16ミリで撮ることで特別な魂が宿るんじゃないかと思いました。

-最後に読者に向けて、見どころも含めてアピールを。

 自分の子ども時代を思い出すような感覚をぜひ味わっていただきたいです。子ども時代にこういうアドベンチャーを経験していない方もいらっしゃるかと思いますが、そういう方も、実際に経験した方も、どちらも安全にこの世界に身を浸すことができると思います。本当に童心に帰って、子どもに戻ってこの映画を見ていただきたいと思います。

(取材・文・写真/田中雄二)

(C)RILEY CAN YOU HEAR ME? LLC

  • 1
  • 2
 

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

舞台「キングダムII ―継承―」三浦宏規・高野洸・山本千尋・山口祐一郎、「死力を尽くさなければいけない」作品に再び挑む【インタビュー】

舞台・ミュージカル2026年6月12日

 累計発行部数1億2000万部を突破した、原泰久による大ヒット漫画を原作とした舞台の第2弾となる「キングダムII ―継承―」が、8月9日から上演される。本作は、苛烈な戦乱の中にある中国・春秋戦国時代を舞台に、戦災孤児の少年・信と、のちの始皇 … 続きを読む

「豊臣兄弟!」第22回「播磨大誤算」戦国の世の難しさを印象付けた播磨攻略戦【大河ドラマコラム】

ドラマ2026年6月11日

 NHKで好評放送中の大河ドラマ「豊臣兄弟!」。戦国時代、主人公・豊臣秀長(=小一郎/仲野太賀)が、兄・秀吉(池松壮亮)を支え、兄弟で天下統一を成し遂げるまでの軌跡を描く物語は快調に進行中。小一郎と秀吉が播磨攻略に難渋する様子を描いた6月7 … 続きを読む

山本耕史、「RENT」に続き全編英語上演に挑む「ゼロからのスタートだけどやるしかない」 日米合作ブロードウェイミュージカル「フル・モンティ」【インタビュー】

舞台・ミュージカル2026年6月11日

 山本耕史が、ゆりやんレトリィバァとブロードウェイで活躍するキャストとともに挑む、日米合作ブロードウェイミュージカル「フル・モンティ」が、8月19日から上演される。本作は、1997年に映画をもとに誕生し、トニー賞作品賞を含む9部門にノミネー … 続きを読む

吹越満 俳優になった理由は「映画に出たかったから」昭和の文豪・谷崎潤一郎原作の『鍵』で主演【インタビュー】

映画2026年6月10日

-久しぶりの主演作を経験し、お芝居について改めて気づいたことはありますか。  今後は、今までとは違うお芝居のアプローチに挑戦していってもいいのかな、と考えるきっかけになった気がします。現場で「ああすればよかった」、「こうすればよかった」とい … 続きを読む

【映画コラム】5月の公開映画から

映画2026年6月5日

『サンキュー、チャック』 (5月1日公開)★★★ チャックとは一体何者なのか  大規模な自然災害と人災が次々と地球を襲い、世界は終わりを迎えつつあった。すると、街頭やテレビ、ラジオに突如として、「チャールズ・クランツに感謝します。素晴らしい … 続きを読む

page top