「冷たいそばと温かいそばが同時に食べられるような映画です」『破墓/パミョ』チャン・ジェヒョン監督【インタビュー】

2024年10月23日 / 16:00

-この映画は日本についての描写が大きな役割を果たしますが、ネタバレになるので聞くことができませんが…。(以下、ネタバレあり)

 その点について、僕から少し説明をしたいと思います。そもそもこの映画は、過去にあった間違いを取り出すことが根底にあります。墓を掘る場面において、歴史的に見て2度あった韓国にとっての大きな傷と遭遇します。まず1つ目は、重葬の上にあるものを掘った際に100年前の植民地支配と遭遇します。それを取り出して解決をして、その後にもっと過去を掘り下げてみたら、もう1つの歴史的な事件と遭遇します。それが500年前の文禄・慶長の役、豊臣秀吉の朝鮮出兵でした。この2つの歴史的な傷について、キーワードを申し上げたいのですが、まず1つ目は、100年前の植民地支配に関連するものとして、「残滓(ざんし)」と「傷跡」がキーワードになっています。もっと深く掘った時に遭遇する500年前の文禄・慶長の役のキーワードは「恐れ」です。日本の戦国時代に、日本の部隊が朝鮮半島に渡って来た時に、そこで暮らしていた人々が感じたであろう恐れを、この映画を通してなくしたかったのです。

 僕はそもそも日本の映画を通して映画の勉強をしてきましたし、唯一の趣味が日本の漫画を読むことです。日本が大好きで日本のファンのようなものです。ですから、本作は日本に対してよろしくない感情を持っているという話ではなくて、韓国がずっと持ってきた痛みとか傷について語りたいという気持ちでした。ですので、本作の主人公たちは、自分たちが抱え込むことになった人々の傷と地位を回復してあげるのです。それと同じように、韓国が持っている傷跡を自ら努力して回復したいということを考えながらこの映画を作りました。この説明は、もし歴史関連で誤解があったらその答えになるのではないでしょうか。僕がこの映画を作った本音の部分についてご理解をいただきたいと思います。

-どんな日本映画が好きなんですか。

 映画学校で学んだので、今村昌平監督を勝手に師匠と呼んでいます。好きな日本映画が多過ぎて、何か一つを挙げるのは難しいです。新井英樹さんの漫画が大好きです。『ザ・ワールド・イズ・マイン』は100回ぐらい読みました。

-最後にこの映画の見どころと、読者に向けて一言お願いします。

 見どころについてはネタバレになってしまうので(笑)…。ぜひ劇場で、大画面と迫力のあるサウンドで見ていただきたいと思います。この映画の見どころを一言で言えば、冷たいそばと温かいそばが同時に食べられるような、熱いところと冷たいところが両方あるので、2つの違いを皆さんに感じていただきたいなと思います。

(取材・文・写真/田中雄二)

(C) 2024 SHOWBOX AND PINETOWN PRODUCTION ALL RIGHTS RESERVED.

  • 1
  • 2
 

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

丸山隆平「きっと誰も見たことがないものになる」 舞台「water」で挑む半自伝的作品【インタビュー】

舞台・ミュージカル2026年9月14日

 丸山隆平と、演劇団体マームとジプシーの主宰を務め、劇作家・演出家として注目される藤田貴大が企画し、作り上げる舞台「water」が9月27日から上演される。本作は、丸山の記憶の断片を散りばめながら、藤田の視点で見つけた京都という土地、そして … 続きを読む

倉悠貴 豊臣兄弟を支える軍師・黒田官兵衛を好演中「最後までしっかり演じ切りたい」【大河ドラマ「豊臣兄弟!」インタビュー】

ドラマ2026年9月13日

-本作では戦国時代の過酷さが描かれる一方で、ユーモアのあるシーンも多いですが、その辺もお二人が空気感を作っているのでしょうか。  その点は、お二人と一緒に現場を引っ張ってくださる蜂須賀正勝役の高橋努さんの存在も大きいです。この作品は、戦国時 … 続きを読む

安田章大、『髪結いの亭主』の初めての舞台化に「人間たちの退廃感がより響くのではないか」【インタビュー】

舞台・ミュージカル2026年9月9日

 1990年に公開されたパトリス・ルコント監督の代表作『髪結いの亭主』が、安田章大主演で初めて舞台化される。原作となる映画は、一人の男の純粋で偏愛的な恋心を描いたフランス映画の傑作。今回の舞台化では、原作映画を大胆にアレンジし、物語を195 … 続きを読む

【映画コラム】8月の公開映画から

映画2026年9月4日

「ミニオンズ&モンスターズ」(8月7日公開)★★★ 映画のパロディーが満載  最強最悪のボスを求めて旅を続けるミニオンズがたどり着いたのは、1920年代のハリウッド。西部劇の撮影に乱入したことから映画スタジオに入り込み、人気スターと … 続きを読む

山口馬木也 柴田勝家の最期は「不思議な体験でした」【大河ドラマ「豊臣兄弟!」インタビュー】

ドラマ2026年8月30日

-劇中では、秀長と秀吉に対する「認めたくないが、認めざるを得ない」という勝家の複雑な心情が見事に表現されていました。秀吉役の池松壮亮さんとのお芝居はいかがでしたか。  仲野太賀さんと池松壮亮さんは、周囲に対する気配りを欠かさない素晴らしい俳 … 続きを読む

page top