エンターテインメント・ウェブマガジン
垣内俊哉さんというミライロという会社の方です。障害者手帳というものは、これまで100何種類あったらしいんですよ。ゆえに偽造もあったらしいんです。だけど、それを運輸省に働きかけてJRで統一した「ミライロID」という共通の障害者手帳を作ったりしたすごいやり手の方なんです。ご本人も車椅子なのですが、その人が番組で話していたことが、俺がやりたいことと重なったんです。「バリアフリーではなくバリアバリュー」。「障害がかわいそうではなく、障害を武器に、障害が価値になる」。その分かりやすい例として彼が話したのは、彼がバイトで入った会社の社長に営業をやらされたと。「僕はデスクだと思っていたら、なんで車椅子なのに外回り?」と。そうしたら、成績がものすごく良かった。もちろん、垣内さんが優秀だからというのは大きいと思うんですけど、その社長もすごいなと思ったんですよね。「障害を誇りに思え」と垣内さんに言ったそうです。だから、もちろん溝がない方がいいに決まっているし、同じように共生できる社会がいいと思うんだけど、僕が祈るような気持ちで信じたいのは「負は力に変えられる」ということなんです。だから最初は健常者の方にこの障害のある役を演じてもらおうと思ったけれども、実際、僕がこの目で、板の上で見たかったので、そうなる姿を。それで、ハンディキャップのお二人にオファーしたということです。
僕は「歴史探偵」という番組をやっていて、そのプロデューサーが「バリバラ」というEテレの番組をやっていまして、その番組で「障害者は俳優になれないのか」という特集があったんです。そこで上甲さんがいらして。NHKのSDG’sドラマ「真ん中のふたり」を見たり、他にいくつか演技しているのを見たり、じっくり面談をして、彼女の意向も確認した上でオファーしました。佳山さんは『37セカンズ』という映画の主演をやられていて拝見しました。お二人に共通して言えることは、芝居の「垢(あか)」がないということ。ちょっと抽象的ですが。僕も芝居の垢をなるべく排除したいと思って日頃からやっていますが、彼女たちには本当に垢がない。これは素晴らしいことだと思います。垢があると、どんどん生(なま)から遠ざかってしまうと思うので。
面白いものを作りたい。この一言です。あとは自分がつくるときはオリジナルにこだわりたいと思っています。
もちろん原作モノも大いにあっていいし、僕も役者として喜んで出るし、原作モノにも素晴らしい作品が本当に山ほどあります。 ただ、原作モノばかりになってしまうと、少し寂しい気がします。作り手の才能の新たな可能性を引き出すためにも、もう少し「オリジナル」が増えたらいいなと思っています。
とにかくいい芝居をしたいと思っています。本のストーリーのうねり、筋、舞台美術や衣装、照明、音楽といろいろな要素があるけれども、やっぱり俳優のいい芝居を見せたいと思います。舞台には「編集」がないですから、俳優の生のいい芝居を見せたいなと。本当にそれが一番です。
舞台「そのいのち」は、11月9日~17日に都内・世田谷パブリックシアターほか、兵庫、宮城で上演。
映画2025年12月24日
-この映画は、ちょっとフランス映画みたいなところがありましたね。 分かります。私もそう思いました。確かにそういう味わいがありますね。最初の撮影が、矢添と2人で、部屋で紅茶を飲んでいるシーンだったんですけど、プレイバックしてモニターを見た時 … 続きを読む
映画2025年12月23日
-12年という時間が、そういう皆さんの固い絆を作り上げたわけですね。そんな作品に出合える機会は、俳優人生の中でめったにないことだと思いますが、皆さんにとって「緊急取調室」シリーズとはどんな存在でしょうか。 天海 12年という時間とエネルギー … 続きを読む
映画2025年12月20日
『ビューティフル・ジャーニー ふたりの時空旅行』(12月19日公開) 友人の結婚式で知り合ったデビッドとサラは、レンタカーのカーナビに導かれ奇妙なドアにたどり着く。そのドアの先は、それぞれの「人生で一番やり直したい日」につながっていた。“ … 続きを読む
ドラマ2025年12月19日
12月19日、東京都内のNHKで、1月5日からスタートする夜ドラ「替え玉ブラヴォー!」の完成会見が行われ、主人公・千本佳里奈(ちもと かりな)役の北香那、佳里奈の親友・二木優美(ふたぎ ゆみ)役の天野はながドラマの見どころを語ってくれた。 … 続きを読む
舞台・ミュージカル2025年12月18日
YouTubeもNetflixもない時代、人々を夢中にさせた“物語り”の芸があった——。“たまたま”講談界に入った四代目・玉田玉秀斎(たまだ・ぎょくしゅうさい)が、知られざる一門の歴史物語をたどります。 前回は、玉田家再興にあたり「三つ … 続きを読む