「この映画は、とてもインド的な、インドに根付いている問題を描いています」アーミル・カーン『花嫁はどこへ?』【インタビュー】

2024年9月26日 / 08:00

-カーンさんは、社会活動家としても知られていますが、女性の地位向上というのも大きなテーマなのでしょうか。

 私の母は、ずっと主婦として過ごしてきましたが、割と社会的な意識が高い人でした。母には強い影響を受けました。とはいえ、私たちの家族も家父長制の中で育ってきました。私には男女のきょうだいが両方いましたが、男性ならオーケーとされたことが、女性たちはノーと言われることがありました。例えば、私たち男は夜の9時、10時に出かけても問題なく許されましたが、姉や妹は許されませんでした。私たちは、姉や妹が行けないのであれば、自分たちも出かけないようにしていました。ですから、母の育て方は正しかったと思いますが、インドの社会の中では、深い根っこの部分で家父長制が浸透しています。もう何世紀にもわたって繰り返し押し付けられ、認識させられてしまっています。そういう中で、いつか私たちがそこから解放されることを願いながら、私は意識して活動しています。

-この話にはユーモアがあるとおっしゃいましたが、ジャヤの夫以外はほとんど悪人が出てこないところが心地よかったです。

 そうですね。本当の意味での悪い人間はいないのかもしれませんが、この映画のジャヤの夫となるべき男は、意図的によくない行動をしているわけです。前妻に何かよくないことをしたことがせりふで示唆されていています。と同時に、他のキャラクターも最初は決していい人たちではありません。結果的に、彼らがプールやジャヤにいろいろと手助けをする状況が生まれますが、それは意図してそういう設定にしているわけです。たとえよくない人であっても、いい人とつながることによって、その人の最良の部分が引き出されることがあり得るということです。例えば、この映画の警部補は汚職に手を染めていますが、人との関わりによって、彼のいい部分が引き出された結果、いい人になり得たことを示していると思います。

-日本の映画に興味はありますか。

 実は、私には映画を見るという習慣がほとんどありません。それは、子どもの頃から母親がとても厳しくて、映画を見せてもらえなかったからです。父親は映画のプロデューサーでしたが、家庭内で映画を見ることが奨励されていなかったので、その結果、本を読むことの方が習慣になっているのだと思います。

-プロデューサーとして、日本の観客に向けてメッセージも含めて一言お願いします。

 この映画がインド以外で大きく劇場公開されるのは日本が初めてになるので、日本の観客の皆さんが、どのようにこの映画とつながってくださるかにとても興味があります。この映画は、とてもインド的な、インドに根付いている問題を描いていると思うので、外国の観客がどういうふうに受け取ってくださるのかが、とても気になります。

(取材・文/田中雄二)

(C)Aamir Khan Films LLP 2024

  • 1
  • 2
 

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

【映画コラム】角川映画50th ANNIVERSARY「角川映画祭」

映画2026年5月18日

 『麻雀放浪記』は、阿佐田哲也の原作を映画化した、イラストレーター和田誠の監督デビュー作。終戦直後、焼け跡のドヤ街でドサ健(鹿賀丈史)と出会い、賭博の世界に足を踏み入れた坊や哲(真田広之)は、オックス・クラブのママ(加賀まりこ)や出目徳(高 … 続きを読む

ユースケ・サンタマリア「クイズ番組が題材のミステリーが面白そうだなと」傑作ミステリー小説の映画化で好演『君のクイズ』【インタビュー】

映画2026年5月15日

-いつも通りというのは?  彼は普段、ひょうひょうとして冗談もよく言いますが、仕事に関してはすごくまじめな人で、普通の人なら見過ごしそうなところまで気を遣いますし、芝居は常に全力でやる。僕は舞台でも彼と共演したことがありますが、常に全力なん … 続きを読む

「豊臣兄弟!」第18回「羽柴兄弟!」新登場した羽柴家臣団期待の俳優陣【大河ドラマコラム】

ドラマ2026年5月14日

 NHKで好評放送中の大河ドラマ「豊臣兄弟!」。戦国時代、主人公・豊臣秀長(=羽柴小一郎長秀/仲野太賀)が、兄・秀吉(=羽柴秀吉/池松壮亮)を支え、兄弟で天下統一を成し遂げるまでの軌跡を描く物語は快調に進行中。5月10日に放送された第18回 … 続きを読む

佐々木蔵之介「毎朝、亡き大森一樹監督に思いをはせながら現場に通っていました」名監督の遺志を継いで主演に挑んだ時代劇『幕末ヒポクラテスたち』【インタビュー】

映画2026年5月8日

-物語は、太吉と気の荒い青年・新左の関係を軸に進みます。序盤、入れ墨をしたヤクザのような格好で太吉の家に乗り込んできた新左は、大けがをして太吉に手術で命を救われたことをきっかけに、生き方が大きく変わっていく。新左役の藤原季節さんとの共演はい … 続きを読む

ミュージカル「メリー・ポピンズ」通算250回公演達成! 濱田めぐみ「長く長く上演していけたら」 大貫勇輔「毎公演、奇跡を起こせるように」

舞台・ミュージカル2026年5月5日

 ウォルト・ディズニーが映画化し、アカデミー賞5部門を受賞した映画を原作とした、ミュージカル「メリー・ポピンズ」。現在上演中の日本プロダクションが、5月6日に記念すべき250回公演を迎える。それに先立ち、メリー・ポピンズ役の濱田めぐみと、バ … 続きを読む

page top