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この映画は、3人の男たちが、スポーツを愛して、夢を見て、純粋に情熱を持ってマラソンに取り組んだことがそのまま伝わるといいと思ったのですが、もしかするとこの映画を見て、ある人は愛国主義的だと感じたり、国家主義的だと思うかもしれないという心配がありました。私はあくまでもこの3人の男性の夢、そしてその夢に対する執念をそのまま感じてほしいと思っていました。私がこれまで作ってきた映画は、『銀杏のベッド』(96)以外は全て日本で公開されているのですが、もしかするとこの映画は日本では公開することができないかもしれない、配給されないかもしれない、日本では見てもらえないかもしれないと思ったりしました。ただ、その考えは違っていて、私が憂慮していたようにはならず、日本の皆さんはこの映画を見て、居心地の悪さを感じることはなく、純前たるスポーツ精神が描かれたスポーツの映画だというふうに捉えてくださったようです。それは本当に幸いだったと思います。
本作の監督の提案があった時に、オリンピックで優勝したソン・ギジョン、そして一緒にオリンピックに出たナム・スンニョン、そして彼らの弟子に当たるソ・ユンボクという3人の人物を1本の映画の中で見られるというのが大きな魅力だと思いました。というのも、3人の関係性から自己犠牲の精神を見ることができるからです。マラソンが大好きで、その夢に向かってただ単純に走り続けるというストーリーではなく、ある人は自分の後輩のためにとか、友人のためにとか、何かを犠牲にしたり、何かを人に譲ったりする。お互いに足りないところを力を合わせて補いながら、その夢を成し遂げようとする。同じ関心事を持ち、そして愛情を持って、犠牲を払ってでもそれを成し遂げようとする。その過程がとても素晴らしいと思いました。そうした考え方は、今を生きる人たちにも必要なものではないかと考えました。
ペ・ソンウが演じたナム・スンニョンという人はベルリンオリンピックで3位に入り、このボストンマラソンでも12位に入ったというすごい人です。ただ、ソン・ギジョンやソ・ユンボクのように1位にはなれなかった。どんなことにおいても1位になれる人はたった1人です。ですから、このナム・スンニョンの姿は、1位になれない一般の大勢の人たちの姿を代弁してくれるのではないかと思いました。その意味でも、この映画では、ナム・スンニョンがとてもいい存在になっていると思います。
この映画のジャンルは何かと聞かれれば、やはりスポーツ映画だと言えると思います。ただ、単純なスポーツ映画ではなく、それ以外のさまざまな要素や状況が含まれていると思います。1947年という特別な時代背景を持っていますし、1人の選手の一代記ではなく、本当にさまざまな人物の性格や、それぞれの人物の暮らし、人生というものが投影されている作品になったと思っています。そういう面では、ほかのスポーツ映画とは差別化できるのかなと思います。また、マラソンの魅力をできるだけ見せるということに加えて、特別な時代的な状況があった。そこから生まれるジレンマもあった。そういった人間的な部分で昇華させていく必要があったので、人間ドラマ的な要素も併せ持っていると思います。それがこの作品の長所になっていると思います。
(取材・文・写真/田中雄二)

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