土居志央梨 山田よねは「常に心の中に住まわせておきたい役」 連続テレビ小説「虎に翼」【インタビュー】

2024年8月23日 / 12:00

 NHKで好評放送中の連続テレビ小説「虎に翼」。裁判官となった主人公・寅子(伊藤沙莉)は、3年間の新潟勤務を終え、再び東京に異動。星航一(岡田将生)とも再婚し、物語は新たな局面を迎えた。そんな寅子の明律大学女子部の同期生で、ぶつかり合いながら関係を築いてきたのが、山田よねだ。悲願だった弁護士資格を取得し、今後ますますの活躍が期待されるよねを演じる土居志央梨が、役に対する思いや撮影の舞台裏を語ってくれた。

(C)NHK

-第21週の最後、寅子と航一の結婚を祝うシーンで、明律大学の同窓生が久しぶりに勢ぞろいしましたね。

 あそこは、「お互い、ここまでよく生きてきたね」とねぎらい、祝福し、学生時代から始まったみんなの物語の一つの節目となるシーンでした。先輩方も含め、明律大学時代の仲間がそろう撮影は本当に久しぶりで、何カ月も会っていない方もいたので、ただただ懐かしく、うれしく、その状況を楽しみながら演じていました。でも、みんなで乾杯するとき、台本には「(よねはしない)」と書かれていて(苦笑)。「乾杯できないの!?」と思いながらも、うれしい気持ちをぐっとこらえて演じていました。おかげで、「みんな一生懸命に生きてきたんだな。私も頑張ろう!」と、その後の撮影に向けて力をもらいました。

-戦争を経てそれぞれが大変な苦労をして生きてきた後の再会ということで、すてきなシーンでした。

 ただ、あの場に轟(太一/戸塚純貴)以外の男性陣がいないのは、少し寂しかったですね。花岡(悟/岩田剛典)は亡くなっていますし、小橋(浩之/名村辰)と稲垣(雄二/松川尚瑠輝)は仕事が忙しかったんでしょうか?(笑)。でも、花岡の気持ちを背負って生きている轟がいたので、花岡のことも思い出し、感傷的な気持ちにもなりました。

-ところで、第20週ではよねが悲願の弁護士資格を取得しましたね。

 台本を読んだときももちろんうれしかったのですが、一番ぐっときたのは、第20週からの新しい衣装合わせをしたときです。スーツに弁護士バッジをつけてもらったら、何十年越しの夢がかなったようで、泣きそうなくらいうれしくて…。こんな気持ちになるんだなと、まるでよねと気持ちがリンクしたようでした。

-轟と一緒にやっている法律事務所の名前も、「轟法律事務所」から「山田轟法律事務所」に変わりました。

 あの名前は、じゃんけんでよねが勝って「山田」が先になったのですが、撮影の時は純貴くんと本気でじゃんけんをしました。でも実は、私が勝つまで、ということで始めたら、ずっと負けっぱなしで(苦笑)。結局、7回ぐらいやって、2人とも超白熱していました(笑)。

-よねと轟の関係をどんなふうに捉えていますか。

 一言で言えば「相棒」です。よねにとってかっこ悪いところを見せられる唯一の相手が轟です。よねは、トラちゃん(=寅子)にもそういうところは見せないように振る舞っているので。そういう意味では、安心できる存在です。終戦直後に再会したとき、よねから「一緒に弁護士事務所をやらないか」と轟を誘っていましたが、きっとよねも轟に救われたところがあるんでしょうね。

-轟との印象的なシーンは?

 第21週で轟がトラちゃんに、花岡への思いや現在の恋人の遠藤時雄(和田正人)さんとの関係を初めて打ち明けるシーンは、現場で見ていて本当に感動しました。轟の優しさや信念を感じましたし、今までにない表情を見ることができ、とても感動しました。

-よねの特徴である男装の印象についてお聞かせください。

 台本をいただく前に、男装姿の女性とお聞きして興味は湧いたのですが、私は今まで女性らしい役を演じることが多かったので、自分にできるのか、不安はありました。でも、台本を読んでみたら、つらい過去を乗り越え、弱い人たちの味方になろうと法律を学ぶよねのキャラクターがとても魅力的だったおかげで、距離がぐっと縮まって。そういう意味では、吉田(恵里香/脚本家)さんの書かれた台本の力が大きかったです。それと、髪を切ったことも。

-というと?

 最初の衣装合わせは髪を切る前で、ショートヘアのカツラでスーツの衣装合わせをしたんです。そうしたら、そのカツラがあまりにも似合っていなくて(笑)。でも、実際に髪を切ったら、すごくしっくりきました。今はスーツ姿の自分の方が見慣れている感じです。周囲からも、「かっこいい」、「似合っている」と言ってもらえるので、自信になっています。

(C)NHK

 
  • 1
  • 2

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

尾上眞秀「お母さんやおばあちゃんが喜んでくれました」寺島しのぶの長男が舘ひろしとの共演で映画初出演『港のひかり』【インタビュー】

映画2025年11月14日

 日本海沿岸の小さな漁師町を舞台に、元ヤクザの漁師・三浦と目の見えない少年・幸太という、年の離れた孤独な2人の絆を描くヒューマンドラマ『港のひかり』が、11月14日から全国公開中だ。  主演に舘ひろしを迎え、『正体』(24)の俊英・藤井道人 … 続きを読む

『物語りの遺伝子 “忍者”を広めた講談・玉田家の物語』(7)神々がすむ土地を語る

2025年11月14日

 YouTubeもNetflixもない時代、人々を夢中にさせた“物語り”の芸があった——。“たまたま”講談界に入った四代目・玉田玉秀斎(たまだ・ぎょくしゅうさい)が、知られざる一門の歴史物語をたどります。 ▼玉田永教と神道講釈  銭湯の湯け … 続きを読む

ハリウッド・リメイク決定!インド発ノンストップ・アクション!「日本の皆さんにも楽しんでいただけるはず」ニキル・ナゲシュ・バート監督『KILL 超覚醒』【インタビュー】

映画2025年11月13日

 40人の武装強盗団が、ニューデリー行きの特急寝台列車を襲撃! 刀を手に乗客から金品を奪う強盗団のリーダー、ファニ(ラガヴ・ジュヤル)は、大富豪タークルとその娘トゥリカ(ターニャ・マニクタラ)を人質に取り、身代金奪取をもくろむ。だがその列車 … 続きを読む

上白石萌歌「小さなお子さまから大人の方まで幅広く届いてほしいと思います」『トリツカレ男』【インタビュー】

映画2025年11月11日

 何かに夢中になると他のことが目に入らなくなってしまうジュゼッペ(声:佐野晶哉)は、街の人々から「トリツカレ男」と呼ばれている。ある日、ジュゼッペは、公園で風船売りをしているペチカに一目ぼれし、夢中になるが…。作家・いしいしんじの同名小説を … 続きを読む

八木莉可子「相反する二面性をどちらも大切にしたい」「終幕のロンド -もう二度と、会えないあなたに-」【インタビュー】

ドラマ2025年11月10日

 草なぎ剛主演の月10ドラマ「終幕のロンド -もう二度と、会えないあなたに-」(カンテレ・フジテレビ系/毎週月曜午後10時)。第3話で強烈なインパクトを残したゆずは(八木莉可子)の母(雛形あきこ)が、再びHeaven’s messenger … 続きを読む

Willfriends

page top