石丸幹二「捨てるものもあれば、新しく受け取るものがあるのが人生」 年を重ねたからこそ分かる役との向き合い方【インタビュー】

2024年7月11日 / 08:00

 「劇団四季」の看板俳優として活躍し、退団後も数々のミュージカルや舞台作品に出演し、人気を博す石丸幹二。俳優としてのみならず、「題名のない音楽会」「健康カプセル!ゲンキの時間」の司会やオーケストラコンサートをはじめとした音楽活動もこなすなど、幅広く活動を続けている。そんな石丸が主演を務める音楽劇「ライムライト」が8月3日から上演される。本作は、チャールズ・チャップリンの晩年の傑作映画『ライムライト』を原作とした音楽劇。かつて一世を風びした老芸人が、人生を悲観し自殺を図った若いバレリーナを助け、再び舞台に立たせる姿を描く。主人公の老芸人・カルヴェロを演じる石丸に本作への意気込みや本作で描かれている“老い”への思いなどを聞いた。

石丸幹二(ヘアメーク:中島康平/スタイリング:米山裕也) (C)エンタメOVO

-2015年に初演され、19年に再演、今回は3度目の上演となる本作ですが、今回、どんなところを深めていきたいと考えていますか。

 この作品は、チャップリンの映画を初めて音楽劇として上演した作品です。今回は、映画を撮ったチャップリンの年齢に近づいてきました。彼のせりふの裏に隠された意識にいっそう近づけるにはどうしたらいいかを考えながら台本と向き合っているところです。前回とはまた違ったものをお届けしたいと思っています。

-前回と違うものというのは?

 年を重ねたことで、チャップリンが伝えたかったことがより明確に見えるようになったと思います。(初演の)10年前には考え付かなかった思いや表情が、チャップリンの映像の中に残されていることが分かってきたというか。今回は、そうしたものも表現できたらと思っています。

-19年の再演後も、「蜘蛛女のキス」や「ハリー・ポッターと呪いの子」、「ラグタイム」などさまざまな作品に出演してきました。そうした経験を通し、改めて本作で演じるカルヴェロという男をどのように感じていますか。

 さまざまな役を演じることは、より客観的にキャラクターに寄り添える手助けになるんですね。まったく毛色の違う役どころだからこそ、新鮮な気持ちで向き合える。それって、すごく大事なんですよ。だから前回の再演から5年間の期間が空いたことが僕にとって良かった。なぞるのではなく、もう一度生み出す。そんな作業ができるなと思います。

-時間が空き、年齢を重ねたからこそ分かることもある、と。

 われわれも年を経ると人生が深まりますし、深まったからこそ気付くことも多いですよね。チャップリンもきっとこの映画を作ったときに、自分が年を重ねたことで欠落していったことに向き合ったのだと思います。そうした絶望と向き合って、どう再生していくか。映画で、チャップリンは、自分が成し得なかったことを次の世代に託します。「後世の人に託す」ことは、若い頃にはあまり考えないですよね。でも今、僕もこの年になって、「そうかもしれないな」と思う気持ちが芽生えてきました。なので、きっとこれまでと(劇中で話す)せりふのニュアンスも変わってくるのではないかなと思います。

 
  • 1
  • 2

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

【K-POPもKドラマも深読みしたら韓国が見えた】#受験競争だけではない韓国の教育問題、「鉄槌教師」が問う教師の役割

2026年9月29日

 K-POPや韓国ドラマは、エンターテインメントであると同時に、韓国社会を映す鏡でもある。何気ない言葉やしぐさ、習慣の背景をたどると、その国ならではの価値観や歴史、人との関わり方が見えてくる。この連載では、韓国カルチャーを入り口に、知ってい … 続きを読む

鈴鹿央士「絶対に映画館で見て損はさせない映画になっています」『藁にもすがる獣たち』【インタビュー】

映画2026年9月29日

 出会うはずのなかった登場人物たちが、1億円をきっかけに複雑に絡み合いながら“金の獣”と化していく数奇な運命を描いた、曽根圭介の同名小説を城定秀夫監督が実写映画化した『藁にもすがる獣たち』が全国公開中。本作で、主人公のチャンネル登録者数“2 … 続きを読む

向井理、演出家・倉持裕と再びタッグ 6人で描き出す会話劇に「戻ってきたな。こういうことがやりたかった」 M&Oplaysプロデュース「ブランク」【インタビュー】

舞台・ミュージカル2026年9月29日

 向井理が主演するM&Oplaysプロデュース「ブランク」が、10月3日から開幕する。本作は、2023年に本多劇場で上演した「リムジン」に続き、向井と倉持裕が再びタッグを組んで贈る新作公演。ある弁護士事務所を舞台に、そこで繰り広げら … 続きを読む

「生きることはこんなに面白いと示したい」制作統括が「ブラッサム」に込めた思い【連続テレビ小説「ブラッサム」インタビュー】

ドラマ2026年9月28日

 ついにNHKで放送開始となった2026年後期連続テレビ小説「ブラッサム」。明治、大正、昭和を駆け抜け、自由を求め続けた作家・宇野千代をモデルにした主人公・葉野珠(石橋静河)が、苦難の中でも「幸せのかけら」を見つけ、常に前に進むことで人々の … 続きを読む

石橋静河「皆さんに『一歩前進してみようかな』と思っていただけたら」連続テレビ小説主演に懸ける思い【連続テレビ小説「ブラッサム」インタビュー】

ドラマ2026年9月26日

 9月28日から2026年後期連続テレビ小説「ブラッサム」が、NHKで放送開始となる。主人公は、明治、大正、昭和を駆け抜け、自由を求め続けた作家・宇野千代をモデルにした葉野珠。彼女が苦難の中でも「幸せのかけら」を見つけ、常に前に進むことで人 … 続きを読む

page top