仲村トオル 主演のグルメドラマで、長年のキャリアがにじむ謎の料理店主役を好演 座右の銘は「武士は食わねど高楊枝」 「飯を喰らひて華と告ぐ」【インタビュー】

2024年7月9日 / 08:00

 路地裏にひっそりたたずむ小さな中華料理屋「一香軒」。そこでは謎のすご腕店主が、日々さまざまな事情を抱えて訪れるお客さん相手に、中華に限らず、あらゆる要望に応える最高の料理と激しい勘違いから生まれる的外れなアドバイスと名言を提供する。そして、なぜか誰もが少しだけ元気になって帰っていく…。

仲村トオル(C)エンタメOVO

 TOKYO MXで、7月9日(火)23時45分から放送開始となる「飯を喰らひて華と告ぐ」(全12話)は、『ヤングアニマルWeb』連載中の足立和平氏の漫画を原作に、絶品料理とシュールな笑いがクセになる新感覚のグルメドラマだ。謎の店主役で主演を務めるのは、来年、デビュー40週年を迎える仲村トオル。唯一無二のユニークな店主役の端々からは、積み重ねてきた長年のキャリアがにじむ。その舞台裏を聞いた。

-今までにない新感覚のテレビドラマですが、最初にオファーを受けた時の印象は?

 まず面白いと思ったのは、「1話当たり正味12分」という点です。「タイムパフォーマンス」=「タイパ」という言葉が定着し、さまざまなものの切り替えサイクルが早くなり、世の流れとして、テレビドラマや映画を早送りで見ることも珍しくありません。実際、自分の子どもたちの話を聞いていると、「TikTokより長い動画を見るのは苦痛」という声も聞こえてきます。そんな中、12分のドラマというのは、短編小説よりも俳句や川柳などに近く、時代にマッチした切れ味のいい作品になるのではないかと。

-仲村さんの演じる店主は「料理の腕前は一流で、客の要望にはすべて応える。しかし勘違いが激しく、なぜか見当外れなアドバイスと名言を自信満々に語る」というユニークなキャラクターです。役づくりはどのように?

 調理シーンについては、クランクイン前に指導を受けて練習しました。「勘違い」な点については当初、「勘違いしているふりをして、本当はお客さんのことを理解し、癒やしと生きる力を与え、背中を押している」と思っていたのですが、監督から「完全に勘違い」とお聞きしてから、「100%そう信じている」という態で演じるようにしました。例えるなら、サッカーの試合に1人だけハンドボールだと信じて出場し、でもゴールをバシバシ決め、「点取りまくりだよ!」と得意になっている。そんなイメージです。

-そんな店主を演じる仲村さんと、きたろうさんや高橋ひとみさん、柄本時生さんなど、毎回店を訪れるお客さんを演じる個性的なゲストとの掛け合いも見どころです。皆さんとのお芝居はいかがでしたか。

 ゲストの皆さんからは、いろんな刺激をいただきました。実は、原作者の足立先生とお会いしたとき、「店主は原作よりもやや濃い目のキャラになったような気がします」とお伝えしたんです。

-そうでしたか。

 足立先生は「原作では店主を際立たせるため、お客さんの表情を強調しないようにしている」とおっしゃっていたのですが、実写化する場合、登場人物を演じる俳優の生身のお芝居からは、いろんなものが生まれます。例えば、相手がどんなボリュームでせりふを言うかによって、僕のリアクションも変わってきます。もし、聞き取れないくらい小さな声だったら、僕は「えっ?」と身を乗り出すかもしれません。そういうことを一つずつ積み重ねていった結果、原作よりも濃い目のキャラになったんだろうなと。そういう意味では、ゲストの皆さんと一緒になって出来上がったキャラクターだと思っています。

 
  • 1
  • 2

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

「光る君へ」第三十三回「式部誕生」人々を動かす「源氏物語」の存在【大河ドラマコラム】

ドラマ2024年9月7日

 NHKで好評放送中の大河ドラマ「光る君へ」。9月1日に放送された第三十三回「式部誕生」では、「源氏物語」の続きを執筆するため、内裏に出仕した主人公・まひろ(吉高由里子)の日常と、中宮・彰子(見上愛)との出会いが描かれた。  彰子の住まいで … 続きを読む

山口紗弥加「自分が役に乗っ取られたような感覚です」ネタバレ厳禁のミステリーで入魂の演技を披露「私の死体を探してください。」【インタビュー】

ドラマ2024年9月6日

 ベストセラー作家・森林麻美が、自身のブログに「私の死体を探してください。」と自殺をほのめかす投稿をして消息を絶つ。麻美の夫・三島正隆(伊藤淳史)や正隆と不倫関係にある麻美の担当編集者・池上沙織(恒松祐里)がその行方を探す中、次々にブログが … 続きを読む

河合優実「すごいところに羽ばたいていく予感はありました」金子大地「面白い映画になるのは間違いないと」恋人役で共演の2人が語るカンヌ受賞作の舞台裏『ナミビアの砂漠』【インタビュー】

映画2024年9月6日

 東京の片隅で暮らし、美容脱毛サロンで働く21歳のカナ。同棲中の恋人ホンダ(寛一郎)との生活に退屈したカナは、映像クリエーターのハヤシと新生活を始める。だが、まもなく2人のペースはかみ合わなくなっていき、ストレスを募らせたカナは…。  9月 … 続きを読む

【週末映画コラム】『エイリアン』の“その後”を描いた『エイリアン:ロムルス』/各国の映画祭で注目を集めた心理ホラー『映画検閲』

映画2024年9月6日

『エイリアン:ロムルス』(9月6日公開)  人生の行き場を失った6人の若者たち(ケイリー・スピーニー、デビッド・ジョンソン、アーチー・ルノー、イザベラ・メルセド、スパイク・ファーン、エイリーン・ウー)は、廃墟と化した宇宙ステーション「ロムル … 続きを読む

紅ゆずるの“ゼロ地点”は「宝塚歌劇団の公演を初めてテレビで見た日」【インタビュー】

舞台・ミュージカル2024年9月3日

 「ミステリーの女王」と呼ばれる推理小説家アガサ・クリスティーが1944年に発表した長編小説を原作とした舞台、ノサカラボ「ゼロ時間へ」が10月3日から東京・三越劇場ほかで上演される。ミステリーを専門に舞台を制作しているノサカラボの代表であり … 続きを読む

Willfriends

page top