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反町隆史、「2人の娘を育てたことが『GTO』復活のきっかけになった」 令和の今だからこそ伝えたい“熱い思い” ドラマ「GTOリバイバル」【インタビュー】

 反町隆史が主演するドラマ「GTO」(1998年)が26年ぶりに復活し、カンテレ・フジテレビ開局65周年特別ドラマ「GTOリバイバル」として4月1日午後9時から放送される。本作は、伝説の教師・鬼塚英吉が問題だらけの高校に教師として赴任し、悩みを抱えた生徒たちに熱血授業を繰り広げる物語。時代は平成から令和へ、富める者は富み、貧しい者は貧しくなり、ますます生きづらくなっている現代における鬼塚を演じる反町が「GTO」復活への思いや1998年版のメンバーとの再会、子育てを経て起こった心境の変化などを語ってくれた。

反町隆史 (C )写真・渞 忠之

-「GTOリバイバル」の企画は、反町さんから制作陣に声を掛けられたと聞きました。なぜ今「GTO」を復活させるのかという思いを教えてください。

 僕が24歳のときに「GTO」で鬼塚英吉を演じて、それから26年が経つなかで、正直何度か「GTO」復活のオファーをいただいたことはありました。ですが、そのときは僕なりに過去の作品を復活させるというのは俳優としてどうなんだろうとか、もっと違う役をやりたい、新しい作品をやりたいという思いがあったので、いい機会があればとお断りしていたんです。

 なぜ今復活するのかというところですが、僕は2人の娘がいるのですが、自分の子育ての経験を通じて、学校や社会に対して、また、子どもながらの目線というものをもっと深く感じられるようになったので、僕が24歳で演じた鬼塚英吉を、もう少し違った目線で演じることができるのではないかなと思いました。

-結婚して父親になり、子育てをされた反町さん自身の変化が大きかったのですね。

 それが一つの大きなきっかけではあります。また、僕は「相棒」という作品を7年ほどやったのですが、その途中で当時の「GTO」の主題歌『POISON ~言いたい事も言えないこんな世の中は~』がYouTubeにアップされて、その曲を聞くと赤ちゃんが泣き止むといわれているという反響があったんです。改めて自分が当時書いた『POISON』の歌詞を見直す機会があったのですが、結構いいことを書いているな、これはもしかしたら今の時代でも通用するのかなと思いました。

 それからトム・クルーズが『トップガン』を数十年ぶりに復活して『トップガン マーヴェリック』をやりました。彼にはいろんな代表作がある中で、なぜ今この作品を復活させたんだろうと考えたときに、僕は俳優としてのトム・クルーズの生きざまにすごく共感できたんです。自分の中で、こうしたことがつながって「GTO」を今だったらできるな、鬼塚英吉をただ演じるのではなく、自分なりに何かを伝えたり、訴えたりすることができるなと思いました。

 -反町さんが「GTO リバイバル」で、今だからこそ伝えたいこと、訴えたいことというのはどんなことでしょうか。

 「愛情」ですね。うちの娘はアメリカに留学しているのですが、先生方の愛情や生徒に対しての向き合い方が日本とはものすごく違うなと感じています。もちろん日本にもいい先生はいますが、アメリカは子どもに対して、まずほめて接しますし、海外と日本の文化では愛情表現や愛情の掛け方、子どもに対する手厚さが違うなと感じます。最近は日本の社会のニュースや出来事を見ていても、それはないよということが多くあるので、今の令和の子どもたちには尊敬している先生がいるのか? 先生から愛情をもらっているのか? 先生は本当に親身になって考えてくれているのか? そういう生徒への愛情というのは、鬼塚として伝えたい、大事なことだなと思いました。

写真提供=カンテレ

-「GTO」の26年ぶりの復活はSNS上でも「うれし過ぎる」「激アツ」と話題になっていますが、反町さん自身に届いた反響はありましたか? 

 すごかったですね。僕の過去の作品で同じぐらい反響があったのは、大河ドラマで織田信長を演じたときと、「相棒」に参加するときと卒業するとき、「ビーチボーイズ」と当時の1998年版の「GTO」の放送時と同じくらい、今回の「GTO」復活の反響をいただきました。「楽しみにしています」という声が多かったので、本当にありがたいなと思っています。

-今回改めて鬼塚英吉を演じられた手応えや、反町さん自身も年齢を重ねられて、演じる上での変化や苦労などがあれば教えてください。

 実は決定稿ができるまでに12回も準備稿がありました。プロデューサーや制作陣、脚本家の方も、僕自身もいい形でやりたいという思いがあったので、みんなが考える「GTO」と僕が考える「GTO」が一致するまでには、それなりの時間が掛かりましたし、そのすり合わせが大事な作業になりました。僕が最初から最後まで思っていたことは、26年前の「GTO」を見てくださっていた方に対して期待を裏切らない形で演じたい、「これがGTOだよね」「これが鬼塚が言いたいことなんだよね」という脚本を作りたいという思いがあったので、現場に入ってからも微調整したり、監督と相談しながら作っていきました。 

-池内博之さん、山崎裕太さん、窪塚洋介さん、徳山秀典さん、小栗旬さん、藤木直人さんなど、1998年版のメンバーと現場で再会した感想はいかがでしたか?

 当時と同じ雰囲気をすごく感じました。男同士ですし、余計な会話があるわけではないのですが、懐かしいなという気持ちは、皆さん、感じていたと思います。LINEのグループをみんなで作ったのですが、山崎くんが意外と当時のことを細かく覚えていたり、池内くんがLINEに当時のスケジュール表を送ってきて「お前、こんなのをまだ持っているんだ」というやり取りがあったり。僕が1番うれしかったのは、みんなが「GTO」という作品に対して愛情も思い出も全部背負いながら、この26年間いてくれたんだなというところが伝わってうれしかったです。

 -26年前の放送を見ていた視聴者は、今は子育てをしたり、仕事面で人に教育や指導をする立場にある方も多いのかなと思います。当時の「GTO」視聴者世代の方に届けたいメッセージや、反町さん自身がお子さんや“人を育てる”うえで心に留めている信条があれば教えてください。

 子どもが傷付いたら今解決してあげないといけない、そのまま放っておいて大人になっちゃダメなんだよ、という鬼塚のメッセージがあるんです。令和の時代はネット社会やスマホ時代でもある中で、どこかクールで人を見て見ぬふりをすることは、お前ら間違っているよ、それは普通じゃないからねと。人間というのはちゃんと目を見て話して、人がつらいと思ったら助けてあげるものなんだよ、と伝える場面があるのですが、それは僕自身が子どもを育てるうえでも同じですし、僕自身も伝えたいところです。

 当時テレビの前で見てくれた方たちが、今回子どもと一緒に見たときに、そうそう、これが鬼塚英吉なんだよね、なんかいいよねとか、今はこんな先生いないんじゃないの? という親子の会話をしたり、お子さんが鬼塚のことを、この人は変なおじさんだけれど、なんかちょっと分かる気がすると思ってくれたらいいですよね。

  ドラマは、4月1日(月)午後9時~10時48分にカンテレ・フジテレビ系で放送。

 (取材・文/小宮山あきの)

写真提供=カンテレ

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