明日海りお「新しいケミストリーが生まれる」 不朽の名作「王様と私」で北村一輝と初共演【インタビュー】

2024年2月27日 / 08:00

 1951年にブロードウェイで初演されて以来、脈々と演じ継がれる不朽の名作ミュージカル「王様と私」が、北村一輝と明日海りおのW主演で上演される。19世紀後半のシャム(現タイ)を舞台に国籍・文化・身分を超えた信頼と愛を描く本作は、「Shall We Dance?」をはじめ、名曲の数々がストーリーを盛り上げ、長きにわたって愛されてきた。宝塚歌劇団を退団して以降、舞台だけでなく、テレビほか映像においても活動の場を広げる明日海に、本作への意気込みや初共演となる北村の印象などを聞いた。

明日海りお(ヘアメーク:中村未幸/スタイリスト:大沼こずえ(eleven.) (C)エンタメOVO

-出演が決まったときの心境を教えてください。

 とてもクラシカルで、ミュージカルファンなら誰もが知っている作品で、(メーンナンバーの)「Shall We Dance?」も聞いたことがない人がいないくらいポピュラーな楽曲ですが、 そういう作品こそ、技術や演じる人の持っている魅力が問われると思います。なので、私に務まるんだろうか、大丈夫かなという思いはありますが、小林香さんが新しく演出をしてくださり、新たに翻訳も訳詞も書いてくださって、王様役を北村さんが演じてくださることで、新しいケミストリーが生まれるのではないかととても楽しみにしています。

-現時点では、アンナという役をどのようにとらえていますか。

 今の社会においても、私と同い年の女性が、夫を亡くして、息子1人連れて海外で仕事を始めると聞いたら、すごい決断をされたんだなと感じると思います。それを海外にも船で行くような時代に、文化も違う国へ家庭教師として雇われて行くことを決めたアンナは、とても勇気がある人だと尊敬します。日本人の感覚で見ると、イギリス人のアンナは慇懃無礼(いんぎんぶれい)なところがあったり、王様に対しても自分の意見をはっきり言ったり、最先端をいく人なのだろうという感覚があります。でも、人はどう扱われるべきかといった理想をしっかりと持っていて、子どもに対してはとても愛情深い人です。それは、亡くなった夫のトムに愛されていたからだと思います。だからトムを亡くした後も、自分のすべきことを新しい場所でする勇気が持てた。その熱意と愛があるからこそ、王様と渡り合う度量が生まれるのだと今は考えています。

-アンナに共感するところはありますか。

 共感というよりは、すごいなと思うばかりです。もし、私だったら、夫が亡くなったら、そこからふさぎ込んでしまうと思いますし、なかなか異国の男性に囲まれて自分の意見をはっきりと伝えることはできないと思います。なので、本当に強い精神力の持ち主なのだろうと思います。ですが、だからと言ってキツさを感じさせる女性にはしたくないです。朗らかなところもあって、人間的な大きさもある人だと思いますし、王様と渡り合えるくらいなのでユーモラスな部分もたくさんあると思うので。すてきな方だなと思います。

-王様役の北村さんとは初共演だと聞いています。北村さんに対してはどのような印象を持っていましたか。また、その印象は実際に会ってから変わりましたか。

 映像の世界で長く活躍されていらっしゃって、お芝居に対してすごく熱い方だと色々な方から聞いていたので、こだわりをたくさんお持ちでいらっしゃるのかな、怖かったらどうしようなんて思っていたのですが、実際にお会いしたら、明るくてたくさんお話ししてくださる方で、とてもリラックスできました。今は甘えさせていただいています。本当に優しいんです。ポスター撮影の時にも、カメラマンさんから指示をいただくと、「そう言われると違うことしたくなっちゃうな」と笑いながらおっしゃるようないたずら心もお持ちで。そうして現場を盛り上げるお姿からも、きっとお客さまに喜んでいただくのが一番だという精神をお持ちなのだろうなと感じて、お稽古が楽しみです。私もそこを目指して自由に伸び伸びと演じさせていただくことが、より良い舞台につながっていくのかなとは考えています。

 
  • 1
  • 2

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

【Kカルチャーの視点】異領域を融合する舞台芸術、演出家イ・インボの挑戦

舞台・ミュージカル2025年7月3日

 グローバルな広がりを見せるKカルチャー。日韓国交正常化60周年を記念し、6月28日に大阪市内で上演された「職人の時間 光と風」は、数ある韓国公演の中でも異彩を放っていた。文化をただ“見せる”のではなく、伝統×現代、職人×芸人、工芸×舞台芸 … 続きを読む

毎熊克哉「桐島が最後に何で名乗ったのかも観客の皆さんが自由に想像してくれるんじゃないかと思いました」『「桐島です」』【インタビュー】 

映画2025年7月3日

 1970年代に起こった連続企業爆破事件の指名手配犯で、約半世紀におよぶ逃亡生活の末に病死した桐島聡の人生を、高橋伴明監督が映画化した『「桐島です」』が、7月4日から全国公開される。本作で主人公の桐島聡を演じた毎熊克哉に話を聞いた。 -桐島 … 続きを読む

磯村勇斗&堀田真由、ともにデビュー10年を迎え「挑戦の年になる」 ドラマ「僕達はまだその星の校則を知らない」【インタビュー】

ドラマ2025年7月2日

 磯村勇斗主演、堀田真由、稲垣吾郎が出演するカンテレ・フジテレビ系“月10ドラマ”「僕達はまだその星の校則を知らない」が7月14日から放送スタートする。本作は、独特の感性を持つがゆえに何事にも臆病で不器用な主人公・白鳥健治(磯村勇斗)が、少 … 続きを読む

蓮佛美沙子&溝端淳平「カップルや夫婦が“愛の形”を見直すきっかけになれたら」 グアムで撮影した新ドラマ「私があなたといる理由」【インタビュー】

ドラマ2025年7月1日

 ドラマ「私があなたといる理由~グアムを訪れた3組の男女の1週間~」が、7月1日からテレ東系で放送がスタートする。本作は、グアムを訪れた世代が違う男女3組のとある1週間を描いた物語。30代の夫婦(蓮佛美沙子、溝端淳平)、20代の大学生カップ … 続きを読む

風間俊介「横浜流星くんと談笑する機会が増えてきたことがうれしい」蔦重と和解した鶴屋喜右衛門役への思い【大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」インタビュー】

ドラマ2025年6月29日

 NHKで好評放送中の大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」。“江戸のメディア王”と呼ばれた“蔦重”こと蔦屋重三郎(横浜流星)の波乱万丈の生涯を描く物語は、快調に進行中。6月29日放送の第25回「灰の雨降る日本橋」では、浅間山の噴火によっ … 続きを読む

Willfriends

page top