谷原章介、夫婦円満の秘訣は「互いに体に触れ合うこと」 ファンタジーな舞台で描き出す夫婦のディスコミュニケーション【インタビュー】

2024年2月24日 / 08:00

-では、谷原さんは夫婦が仲良くいるために大切なことはなんだと思いますか。

 建前で言うと、「お互いをきちんと理解し、尊重し合って、話し合うこと」でしょうが、互いに体に触れ合うことは、夫婦でしかできないことでもありますし、大事なことじゃないかと思います。例えば、手をつないで一緒に散歩をするでもいいんです。そうしたやりとりはとても大事だと思います。その上で、相手を尊重すること、敬意を払うということも大事だと思います。

-夫婦に限らず、人とのコミュニケーションでは、どんなことを大切にしていますか。

 正義や自分の思いを主張しすぎないことかなと思います。相手の話を聞くのはすごく大事。ただ、人の話聞いているだけだと自分がない。主張するべきところはきちんと主張しなければいけませんし、お互いに主張を受け入れて、お互いの妥協点や着地点を見いだしたいなといつも思っております。

-ところで、最近はコンスタントに舞台に出演している印象がありますが、舞台に出演することへの思いを聞かせてください。

 映像作品の場合、瞬発力を求められて、しかも一度撮影を終えたら、もう2度とできないので、どこか消化不良になるんです。それから、瞬間的にエネルギーを出し続けなければいけないので、非常に疲れる作業でもあるんですね。その点、舞台は稽古場で何十回、何百回と同じ芝居、せりふを繰り返すことができますし、本番でも挑戦が続けられる。発見し続けることができるのが舞台の魅力だと思います。そして、それは自分の中に、役者としてのさまざまな蓄積や栄養をくれる作業だと感じています。僕は今は、映像作品はやりたくてもそこまでの元気がない。でも、舞台だったらできる。自分の軸が役者だと考えた時に、せめて年に1回は舞台をやりたいと考えてます。

-この舞台は4月1日からスタートしますが、新年度に向けての目標は?

 朝の番組を辞めたいと思います。4月1日なので(笑)。

-エイプリルフールですね(笑)。節目の時に目標を立てるタイプですか。

 立てないですね。年始のお参りをするときに、家族の健康を願ったり、「頑張って仕事をして家庭を支えたいと思うので見守っていてください」みたいに漠然と祈りますが、「よし、じゃあ今年はハリウッド映画デビューだ」とか、そんな目標は全く思わないです(笑)。ご縁があれば仕事はつながっていくものだと思いますし、そのためにも与えられている仕事にベストを尽くせば、どこかで誰かが見てくれて、一緒にやってみようと思ってくれると思うので、今、目の前にあることを頑張るだけです。

-最後に改めて本作の見どころを教えてください。

 今回の物語は捉えどころのないファンタジー要素のある作品ですが、僕自身はこの本を読みながら自分の家族や夫婦の関係について考えました。ぜひこの舞台を見て、ご自身の中に今、抱えている問題であったり、ご自身の生活の中で引っかかっているものを見つめ直していただけたらと思います。1番大事なものってなんなんだろうと、この舞台を見て考えていただけたらうれしいです。

(取材・文・写真/嶋田真己)

 舞台「銀行強盗にあって妻が縮んでしまった事件」は、4月1日~14日に都内・日本青年館ホールほか、大阪、名古屋で上演。

舞台「銀行強盗にあって妻が縮んでしまった事件」 Copyright © 2010 by Andrew Kaufman Used by permission of The Rights Factory Inc. through Japan UNI Agency, Inc., Tokyo

  • 1
  • 2
 

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

【映画コラム】夏の日の少年たちが頑張る映画『ベスト・キッド:レジェンズ』『蔵のある街』『海辺へ行く道』

映画2025年9月1日

『蔵のある街』(8月22日公開)  岡山県倉敷市に住む高校生の蒼(山時聡真)と祈一(櫻井健人)と紅子(中島瑠菜)は、小学校からの幼なじみ。ある日、蒼と祈一は、紅子の兄で自閉スペクトラム症のきょんくん(堀家一希)が神社の大木に登って叫んでいる … 続きを読む

新浜レオン「大きな夢がかないました」念願だった大河ドラマ初出演【大河ドラマ「べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜」インタビュー】

ドラマ2025年8月31日

-主演の横浜流星さんとは同世代ですが、ご一緒した感想はいかがでしたか。  横浜さんは昨年末、僕が初出場したNHK紅白歌合戦の審査員を務めてくださり、その2カ月後には成田山新勝寺で行われた節分の豆まきでもご一緒しました。今回が3度目の対面とい … 続きを読む

水上恒司、池田千尋監督「人間の心が一番の謎。その謎を一緒に楽しんでもらえたらと思います」『九龍ジェネリックロマンス』【インタビュー】

映画2025年8月29日

-今回は、実年齢より年上の役で年上の吉岡里帆さんの先輩役でもありましたが難しかったですか。 水上 難しかったです。30代の工藤は単純に今の自分を老けさせればいいという話でもなく、精神的な部分で年上の人間として、令子がほれるような人間像を作っ … 続きを読む

【物語りの遺伝子 “忍者”を広めた講談・玉田家ストーリー】(2)大阪下町に生まれて

舞台・ミュージカル2025年8月28日

 YouTubeもNetflixもない時代、人々を夢中にさせた“物語り”の芸があった——。“たまたま”講談界に入った四代目・玉田玉秀斎(たまだ・ぎょくしゅうさい)が、知られざる一門の歴史物語をたどります。 ▼講談は落ちない  「今日の話はオ … 続きを読む

原田琥之佑「この映画は、何でもあるけど、何にもないみたいなところが一番の魅力だと思います」『海辺へ行く道』【インタビュー】

映画2025年8月26日

-同年代の共演者とはアドリブでやり取りをしたこともありましたか。  奏介がテルオたちと大きなオブジェを作るシーンがあって、映画のスピードはずっとゆっくりなのに、あのシーンだけ会話のスピードが速くなるんです。そこで結構アドリブを入れたんですけ … 続きを読む

Willfriends

page top