大沢たかお「海外のお客さんにどう受け止められるか」主演を務めた超話題作が世界配信スタート! 「沈黙の艦隊 シーズン1 ~東京湾大海戦~」【インタビュー】

2024年2月14日 / 13:10

(C)エンタメOVO

-太平洋戦争のような過去の戦争ではなく、現代を舞台に「米国」や「第7艦隊」などの国や組織が実名で登場し、日本が戦闘状態に巻き込まれる様子をリアルに描いている点が、日本の実写作品としては画期的です。

 政府や官僚、さらにはマスコミから国民まで、日本という国がいかにしてこの危機的な事態に対峙(たいじ)していくのか。それをエンターテイメントとして見せるのがこの作品の面白さです。そこを曖昧にすると、作品の魅力が失われてしまいますから。

-おっしゃる通りです。

 しかも、日本政府に関して、誰もが歯切れよくズバズバ決断していくような描き方をするのもリアルではありません。むしろ、周囲の顔色をうかがって忖度しつつ、アメリカのご機嫌も取りつつ…という描写の方が、僕らにとってはリアルなはずです。ただし、それがアメリカの観客にとっては、物足りなく感じるかもしれません。世界中が日本に関心を持つこの時代、この作品がどう受け止められるのか。それは、やってみないと分かりません。とはいえ、中途半端にかっこつけるようなことはすべきではないと思っています。そんなことをすれば、失敗するだけですから。

-覚悟がうかがえるお話です。では次に、海江田四郎を演じる上で心掛けたことを教えてください。

 お客さんに、海江田の真意をつかませないようにしようと。原作を読むと、顔立ちがりりしいこともあり、「世界を変える善良な人間」のように見えるんです。これまでは、それでよかったのかもしれません。でも、原作が連載されていた昭和や平成が過ぎ去り、以前は想像もしなかったことが次々と起きる令和のこの時代、果たしてそんな主人公に皆さんが魅力を感じるだろうかと。

-確かにそうですね。

 原作ではそうは見えませんが、視点を変えると、海江田の行為は「テロリストの暴挙」とも言えます。そこを前面に押し出せば、今の時代にふさわしいビターなエンターテイメントになるのでは、と。映像化する上で最も困難な選択でしたが、そんなことから、よりダークな方向で海江田のキャラクターを作り上げていきました。

-本作を通して、新たな発見はありましたか。

 ドキュメンタリーやニュースでは言えなくても、エンターテイメントなら言えることがあり、それによってよりリアルに感じられるものがあることに気付かされました。

-具体的にはどのようなことでしょうか。

 先ほどお話しした忖度のない台詞がまず一つ。さらに今回、海上自衛隊から本物の潜水艦を借りて撮影していますが、それが可能になったのも、これがエンターテイメントだからです。お借りするとき、「エンターテイメントですよね」と念を押されましたが、仮に「海上自衛隊のドキュメンタリー」だったら、借りられなかったに違いありません。「エンターテイメントとして日本の皆さんが楽しんでくれるなら」と、海上自衛隊も協力してくれるわけですから。そういう意味では、製作を進める中で色々な気付きを得られた作品でもありました。それが、皆さんにも伝わったらうれしいです。

(取材・文・写真/井上健一)

©2024 Amazon Content Services LLC OR ITS AFFILIATES.原作/かわぐちかいじ『沈黙の艦隊』(講談社「モーニング」所載)

Amazon Originalドラマ『沈黙の艦隊 シーズン1 ~東京湾大海戦~』
配信日:2024年2月9日(金)よりPrime Videoにて世界独占配信
配信スケジュール:2月9日(金)1~6話、16日(金) 7~8話
話数:全8話

  • 1
  • 2
 

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

柄本佑「道長は権力を振りかざすことが、心底嫌だった」“出家”の節目を迎えた藤原道長役を振り返る【「光る君へ」インタビュー】

ドラマ2024年11月24日

-朝廷の実権を握った道長は、剛腕な政治家だった亡き父・兼家(段田安則)に近づいているように見えたこともあります。以前、兼家との類似性について「やっていることは同じでも、出発点となる気持ちが違う」とお話しされていましたが、出家で一区切りついた … 続きを読む

「光る君へ」第四十四回「望月の夜」孤独を深める道長を支えるまひろとの絆【大河ドラマコラム】

ドラマ2024年11月23日

 NHKで好評放送中の大河ドラマ「光る君へ」。11月17日に放送された第四十四回「望月の夜」では、3人の娘を天皇の后にした藤原道長(柄本佑)が、有名な「このよをば わがよとぞおもふ もちづきの かけたることも なしと思へば」という「望月の歌 … 続きを読む

【週末映画コラム】『六人の嘘つきな大学生』/『アングリースクワッド 公務員と7人の詐欺師』(11月22日公開)

映画2024年11月22日

『アングリースクワッド 公務員と7人の詐欺師』(11月22日公開)  真面目な税務署員の熊沢二郎(内野聖陽)は、天才詐欺師の氷室マコト(岡田将生)の巧妙な詐欺に引っかかり大金をだまし取られてしまう。  熊沢は、親友で刑事の八木(皆川猿時)の … 続きを読む

生駒里奈が語る俳優業への思い 「自分ではない瞬間が多ければ多いほど自分の人生が楽しい」【インタビュー】

舞台・ミュージカル2024年11月20日

-なるほど。では、公演が12月ということで、2024年の振り返りをお願いします。  今年は自分で掲げた目標に対しての成果も感じることができたので、充実した1年でした。これまではどこかで「やらされている」という感覚があって、自分の意志でできた … 続きを読む

史上最年少!司法試験に合格 架空の設定ではないリアルな高校2年生がドラマ「モンスター」のプロデューサーと対談 ドラマ現場見学も

ドラマ2024年11月17日

  Q:合格に向けて、どのように勉強されたか教えてください。 早川 中3の2月に、予備試験を目指すぞって決めてからは、興味の赴くままがむしゃらに勉強してました。平日は、学校から帰ってきて、先ほどお話しした「伊藤塾」のオンライン授業を夜10時 … 続きを読む

Willfriends

page top