エンターテインメント・ウェブマガジン

(C)エンタメOVO
政府や官僚、さらにはマスコミから国民まで、日本という国がいかにしてこの危機的な事態に対峙(たいじ)していくのか。それをエンターテイメントとして見せるのがこの作品の面白さです。そこを曖昧にすると、作品の魅力が失われてしまいますから。
しかも、日本政府に関して、誰もが歯切れよくズバズバ決断していくような描き方をするのもリアルではありません。むしろ、周囲の顔色をうかがって忖度しつつ、アメリカのご機嫌も取りつつ…という描写の方が、僕らにとってはリアルなはずです。ただし、それがアメリカの観客にとっては、物足りなく感じるかもしれません。世界中が日本に関心を持つこの時代、この作品がどう受け止められるのか。それは、やってみないと分かりません。とはいえ、中途半端にかっこつけるようなことはすべきではないと思っています。そんなことをすれば、失敗するだけですから。
お客さんに、海江田の真意をつかませないようにしようと。原作を読むと、顔立ちがりりしいこともあり、「世界を変える善良な人間」のように見えるんです。これまでは、それでよかったのかもしれません。でも、原作が連載されていた昭和や平成が過ぎ去り、以前は想像もしなかったことが次々と起きる令和のこの時代、果たしてそんな主人公に皆さんが魅力を感じるだろうかと。
原作ではそうは見えませんが、視点を変えると、海江田の行為は「テロリストの暴挙」とも言えます。そこを前面に押し出せば、今の時代にふさわしいビターなエンターテイメントになるのでは、と。映像化する上で最も困難な選択でしたが、そんなことから、よりダークな方向で海江田のキャラクターを作り上げていきました。
ドキュメンタリーやニュースでは言えなくても、エンターテイメントなら言えることがあり、それによってよりリアルに感じられるものがあることに気付かされました。
先ほどお話しした忖度のない台詞がまず一つ。さらに今回、海上自衛隊から本物の潜水艦を借りて撮影していますが、それが可能になったのも、これがエンターテイメントだからです。お借りするとき、「エンターテイメントですよね」と念を押されましたが、仮に「海上自衛隊のドキュメンタリー」だったら、借りられなかったに違いありません。「エンターテイメントとして日本の皆さんが楽しんでくれるなら」と、海上自衛隊も協力してくれるわけですから。そういう意味では、製作を進める中で色々な気付きを得られた作品でもありました。それが、皆さんにも伝わったらうれしいです。
(取材・文・写真/井上健一)

©2024 Amazon Content Services LLC OR ITS AFFILIATES.原作/かわぐちかいじ『沈黙の艦隊』(講談社「モーニング」所載)
Amazon Originalドラマ『沈黙の艦隊 シーズン1 ~東京湾大海戦~』
配信日:2024年2月9日(金)よりPrime Videoにて世界独占配信
配信スケジュール:2月9日(金)1~6話、16日(金) 7~8話
話数:全8話
映画2026年3月25日
-先ほど、子ども向けの仕事に携わりたいという夢があったと伺いました。それが今回かなった感じですけど、その辺りはいかがですか。 昔Eテレで「ゴー!ゴー!キッチン戦隊クックルン」という番組を2年間ぐらいやりました。その時に、すごくいろんなとこ … 続きを読む
映画2026年3月24日
『ウィキッド 永遠の約束』(3月6日公開) オズの国の隠された真実を知り、それぞれの道を歩むことになった「悪い魔女」エルファバ(シンシア・エリボ)と「善い魔女」グリンダ(アリアナ・ グランデ)。2人の溝が深まる中、オズの国は“カンザスから … 続きを読む
ドラマ2026年3月24日
-続けて、将生役の塩野瑛久さんについては。 今までに見たことのない塩野さんを見たいという思いでキャスティングしました。最初は、塩野さんもわれわれも、将生をどういうふうに描いていこうか、結構悩みながら作っていった感じでした。塩野さん自身も「 … 続きを読む
舞台・ミュージカル2026年3月24日
KEY TO LITの佐々木大光が主演する「ダッドシューズ 2026」が4月16日から上演される。2025年、惜しくも完走できなかった本作がさらにパワーアップして復活。“ダッドシューズ”と呼ばれる古臭いデザインのシューズを手に入れた主人公 … 続きを読む
映画2026年3月21日
それから10年。今回の授賞式でも、『罪人たち』のほかにもさまざまな「初」を目にすることとなった。国際長篇映画賞では、『センチメンタル・バリュー』がノルウェー映画「初」のアカデミー賞を受賞。歌曲賞では、『Golden』(『KPOPガールズ! … 続きを読む