「ホラー映画ってこんなに疲れるんだと実感しました」「分からないことを楽しんでもらえたら」古川琴音、下津優太監督『みなに幸あれ』【インタビュー】

2024年1月18日 / 08:00

ーホラーとコメディーは紙一重というか、表裏一体なところがありますが、この映画でも、怖いけれどもおかしいというところが多々ありましたね。

下津 恐怖とお笑いは対局にあって、その間がシュールだと思います。今回はまさにそのシュールをちょっと狙っていった感じです。なので、こっちのお客さんはちょっと怖がりながら見ているけど、こっちのお客さんは笑っている。そういうのがいいのかなと思います。

ー古川さんは演じながら、思わず笑ってしまったことはありましたか。

古川 演じながらはありませんでしたが、完成作を見てすごく笑いました。こんなふうになっているんだと。こんなに笑うとは思わなかったです。

ー監督の演出はいかがでしたか。

古川 分からないことを聞いた時に、「分からないまま演じてください」と言われたのが印象に残っています。最初の撮影の頃だったんですけど、私の役柄のこともあって、「その疑問を持ったまま、それをそのまま出してほしい」と言われたので、基本はすごく自由にさせていただきました。でも、特徴的だなと思ったのが、シチュエーションを作るということ。その中で、自由に演技をさせるというか、ちょっとドキュメンタリーっぽく撮られているのかなと思いました。例えば、おばさんの家に行った時に、幕があって、その幕を下ろした先に何があるのかというのは本番まで言われていなくて。実際に本番を撮った時の自分の反応として、それが何かを認識するよりも先に叫び声が出たんです。それは自分の想像を超えたお芝居で、ドキュメンタリー的だったのかもしれません。本当に驚きました。だから、ちゃんと怖がれる環境を演出してくださる方だなと思いました。あの時は、本当に吐きそうなぐらい怖かったんです。

ー実際に自分が演じた完成作を見てみて、どんな印象でした。

古川 やっぱり気持ち悪いというか、変なところを触られているような感覚。27歳になって、こういう新しい感情を感じることってまだあったんだなと思いました。何じゃこの気持ちはみたいな(笑)。

ー最後に、これから映画を見る方に向けて一言ずつお願いします。

下津 新たな感覚というか、(総合プロデュースの)清水崇監督に「ニュージャンルホラー」と言っていただいたんですけれども、新たなホラー映画ができたのかなと思いますので、その感覚を楽しんでいただければと。

古川 見ていただいた後に「このシーンってこうなんじゃないかな」とか、見てくださった人の数だけ、いろいろと感想が浮かぶ作品だと思うので、ぜひ、お友達やご家族と一緒に見ていただけたらうれしいなと思います。

ー確かにいろいろな説明が省かれている分、想像させられるところがありますね。

下津 最近の邦画は、1から10まで小学生にも分かるようなストーリーが多いので、余白というか、考えさせる余白があってもいいんじゃないかなということですね。

ー古川さんは、最初は監督にいろいろと聞いたけど、途中で聞くのをやめたんですね。

古川 だからお客さんにもそうであってほしいです。分からないことを楽しんでもらえたらと思います。

(取材・文・写真/田中雄二)

 

(C)2023「みなに幸あれ」製作委員会

 

  • 1
  • 2
 

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

ドラマ「LOST10」脚本・奥寺佐渡子×監督・塚原あゆ子 横浜流星と小栗旬が演じるバディの魅力と制作の舞台裏を語る【インタビュー】

ドラマ2026年10月16日

-横浜さんと小栗さんが演じたことで、キャラクターの印象は変わりましたか。 塚原 小駒は田舎の刑事で出世したいという設定があって、うだつが上がらない感じに近いのかなと思っていたのですが、横浜さんは身体能力に長けていて山をぐんぐん登るので、その … 続きを読む

磯村勇斗「吉田監督の世界に入れることが楽しみでした」吉田恵輔監督「磯村くんは思考が自分に近い」初顔合わせの舞台裏『mentor』【インタビュー】

映画2026年10月15日

-そして、子どもの頃、一緒に事件を起こして以来、疎遠になっていた拓海との再会は、アーチェリーに打ち込む龍之介の人生を次第に狂わせていきます。 磯村 末澤くんとは初共演で、龍之介と拓海が再会する場面は僕たちにとっても初めて一緒にお芝居するシー … 続きを読む

キタオ・サクライ監督「自分が夢中になってプレーしていた、子どもの頃の高揚感を生かしたいと思いました」『ストリートファイター/ザ・ムービー』【インタビュー】

映画2026年10月15日

-人気ゲームを映画化するプレッシャーは? 映画化に際して、気を付けたことや心掛けたことはありましたか。  もちろんプレッシャーはありました。正統な撮り方としては、きちんとシリアスに向き合って、原作というか元ネタを、すごくリアルなアクションや … 続きを読む

山下幸輝、初めての舞台出演への思い「踏み込んで挑戦しよう」 福田雄一演出のコメディーで「笑わせたい」ミュージカル「モンティ・パイソンのSPAMALOT」【インタビュー】

舞台・ミュージカル2026年10月15日

-主演を務める岩田さんとは以前に共演経験がありますね。岩田さんの印象を教えてください。  共演はしていてもお芝居での絡みはなかったんです。なので、これから仲を深めていけたらと思っていますが、ダンスがめちゃくちゃうまい方だなと思います。僕とは … 続きを読む

西川美和監督、小八重葵美「子どもたちが本当にみずみずしくて素晴らしいので、ぜひそれを映画館に見に来ていただきたいと思います」『わたしの知らない子どもたち』【インタビュー】

映画2026年10月15日

-今回は、二階堂ふみさんが演じた教師の曽根と生徒の琴子という2人のヒロインがいましたが、その意図はどこにあったのでしょうか。 西川 曽根先生をもうひとつの主軸にしようと思ったのは結構後からでした。最初は、子どもたちだけのサバイバルの物語とし … 続きを読む

page top