三上博史、「これはちょっとした事件になる」 誰も見たことのない寺山修司の世界を描き出す【インタビュー】

2023年12月9日 / 08:00

 俳優の三上博史が寺山修司の数々の名作を熱唱・熱演する、寺山修司没後40年記念/紀伊國屋ホール開場60周年記念公演「三上博史 歌劇‐私さえも、私自身がつくり出した一片の物語の主人公にすぎない‐」が2024年1月9日から上演される。15歳のときに寺山と出会い、寺山が監督・脚本を手掛けた映画『草迷宮』でデビューした三上。寺山について「僕が育っていくことのすべての種になっていた方」と話す三上に、公演への思いを聞いた。

三上博史(ヘアメーク:赤間賢次郎/スタイリスト:勝見宜人(Koa Hole inc.)(C)エンタメOVO

ー三上さんにとって寺山さんはとても大きな存在だと思いますが、改めて寺山さんへの思いを聞かせてください。

 僕が寺山さんと出会ったのが15歳で、寺山さんが亡くなったのが僕が20歳のころなので、実際には5年間しか交流がないんです。ですが、その多感な時期の5年間は、強烈なものでした。見るもの、聞くもの、全てがかっこよかった。寺山さんから直接というよりは、寺山さんの作品であるとか、(寺山が主宰していた)演劇実験室◉天井棧敷という劇団の劇団員の方やスタッフの方からの影響が大きかったように思います。

ー寺山さんと出会って1番良かったと思うことはどんなことですか。

  まずは、既成の価値観を全て壊されたということが1番大きいかなと思います。これがかっこいいんだよとか、これがすてきなんだよとか、この色はきれいなんだよとか、そういうことは全て最初に壊されてしまっているので、自分がどの色をきれいに思うのか、どの匂いがいいと思うのかとか、その都度、考えているんですよ。それはこの年齢になっても続いています。

 ー出会った15歳のころにその価値観が覆されるような感覚を覚えたと。

 そうですね。それで、寺山さんのルーツがどこにあるのかを知りたくなって、名画座の土曜のオールナイトや、(ピエル・パオロ)パゾリーニ特集とか(フェデリコ)フェリーニ特集などを必死になって探して、見ていた記憶があります。

ー今回、そうした思い入れのある寺山さんの作品を、寺山さんの神髄を知るスタッフとともに作り上げることになりますが、今回の舞台で楽しみにしていることやめざしているところを教えてください。

 正直なところ、まだどんなものができあがるのか僕自身、分からないんです。ただ、今回は、僕の大好きなミュージシャンたちも来てくれますし、僕の大好きな衣装デザイナーもヘアーメイクも入ってくれていて、どこを向いても大事な人だらけです。そうした人たちがどんな反応を見せ、ワークハンドしていくのか。そこには良いことしかないと思っています。今、一つ言えるのは、いわゆる「お仕事的なアプローチ」が、どこにもないということ。好きなことだらけなので、大失敗の恐れもありますが(笑)、良くも悪くもすごいものにはなると思います。好きなものを詰め込んでいるので、楽しみです。どこか、僕の部屋をのぞいているような感じの作品になると思います。

ー今この時代に、寺山さんの作品を観客に届けることで、何を伝えていきたいと考えていますか。

 こちらからのアプローチや作戦とか作為というものは、全くないんですよ。僕は、この15年ほど、青森県三沢市の寺山修司記念館でささやかな会を開催しているのですが、そのとき、アンテナの高い子たちがどんどん増えていっているのを肌で感じてきました。そうしたこともあり、皆さん求めているのならば、僕にできることをしようと思っただけで、(今回の公演を行うことで)巻き込もうなんて考えてもいません。ただ、若い子たちが自然発生的にやってくるというのは、何かが刺さっているからなんだと思います。それがアートなのか、言葉なのか、少女詩集なのか僕には分からない。僕自身も何で何だろうとは思っていますが、きっと皆さん、何かを求めて集まってくれているんだと思います。

 
  • 1
  • 2

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

千葉雄大、「映像の人」「舞台の人」という「垣根をなくしたい」 友近と挑む二人芝居・リーディングドラマ「老害の人」【インタビュー】

舞台・ミュージカル2026年4月25日

 内館牧子によるベストセラー小説『老害の人』が、リーディングドラマとして舞台化される。出演者は、友近と千葉雄大の二人だけ。登場人物のすべてを、二人が自在に演じ分ける。  物語の主人公は、小さな玩具屋を大企業に育てた元社長の福太郎。老いてなお … 続きを読む

小手伸也、「映像ではテンションの7割しか出していない」 リミッターを解除して臨む舞台初主演作「コテンペスト」

舞台・ミュージカル2026年4月25日

 小手伸也が舞台初主演を務める「俺もそろそろシェイクスピア シリーズ『コテンペスト』」が、6月27日から上演される。公演に先立ち、小手が取材に応じ、本作への思いを語った。  本作は、シェイクスピアの最後の作品「テンペスト」の設定を現代に置き … 続きを読む

【映画コラム】4月後半公開の映画から『人はなぜラブレターを書くのか』『今日からぼくが村の映画館』『ソング・サング・ブルー』

映画2026年4月24日

『人はなぜラブレターを書くのか』(4月17日公開)  2024年、千葉県香取市で定食屋を営む寺田ナズナ(綾瀬はるか)は、ある青年に宛てて手紙を書く。  24年前、当時17歳だったナズナ(當真あみ)は、いつも同じ電車で見かける高校生の富久信介 … 続きを読む

小林虎之介「名前と同じ『虎』の字が入った役名に、ご縁を感じています」連続テレビ小説初出演で、主人公の幼なじみを好演中【連続テレビ小説「風、薫る」インタビュー】

ドラマ2026年4月23日

 NHKで好評放送中の連続テレビ小説「風、薫る」。田中ひかるの著書『明治のナイチンゲール 大関和物語』を原案に、明治時代、当時まだ知られていなかった看護の世界に飛び込んだ一ノ瀬りん(見上愛)と大家直美(上坂樹里)という2人のナースの冒険物語 … 続きを読む

浦井健治が演じる童磨がついに本格参戦!「童磨を本当に愛し抜いて演じられたら」舞台「鬼滅の刃」其ノ陸 柱稽古・無限城 突入【インタビュー】

舞台・ミュージカル2026年4月23日

 舞台「鬼滅の刃」其ノ陸 柱稽古・無限城 突入が6月13日から上演される。原作漫画「鬼滅の刃」はコミックスの全世界累計発行部数が2億2000万部を突破。その大人気作品の舞台化で、シリーズ6作目となる本作では、柱稽古、そして無限城の戦いを描く … 続きを読む

page top