別所哲也「舞台は自分の原点で、一生取り組んでいたいこと」 舞台「マーク・トウェインと不思議な少年」で文豪マーク・トウェインに挑む【インタビュー】

2023年9月2日 / 08:00

 別所哲也が主演する舞台「マーク・トウェインと不思議な少年」が9月9日から上演される。本作は、文豪マーク・トウェインが書いた「マーク・トウェインの人生」というノンフィクションと、彼の書いた小説「不思議な少年」というフィクションが舞台上で交錯するオリジナルストーリー。俳優として数々の映画・ドラマ・舞台に出演し、幅広い役柄を演じるだけでなく、映画祭のアンバサダーや審査員、国際短編映画祭「ショートショートフィルムフェスティバル&アジア(SSFF & ASIA)」の主宰を務めるなど、エンターテインメント業界に広く貢献する別所に、本作への思いを聞いた。

別所哲也

ー初日に向けて、現在、稽古真っただ中だと思いますが、手応えは感じていますか。

 ビンビン感じてます(笑)。最初に(演出の)G2さんが本読みを丁寧にやってくださったので、スムーズに進んでいると思います。本読みの段階で、G2さんがさまざまなニュアンスや方向性を教えてくださったので、ふに落ちた状態でスタートできました。ただ、このお芝居は多重構造になっているので、立体的に動き出すと難しい部分もあります。僕が演じるサム・クレメンズ(マーク・トウェインの本名)の分身のような、不思議な少年が登場するのですが、どこまでが虚実なのか、今、少しずつ検証している状況です。すごく楽しい作業をしています。

ーサム・クレメンズ(マーク・トウェイン)を、今現在、どのような人物だと考えて演じていますか。

 アメリカ文学を代表する作家の“マーク・トウェイン”は、サム・クレメンズのペンネームなので、僕が演じるのは、サム・クレメンズ自身になります。彼は、自分が生み出したはずのマーク・トウェインに対してライバル心が生まれ、自問自答していきます。ある意味、自分が作り出したモンスターが一人歩きしてしまっているような感覚があったんだろうと思います。僕たち俳優の仕事もそうですが、世の中に、イメージや印象が先行して受け入れられていくことってあると思うんですよ。芸能界でなかったとしても、例えば“父親”だったり“学校の先生”“部長”だったり、皆さんがそれぞれの役割や立場に合った物言いや態度になると思いますが、それによって生まれたイメージが一人歩きして、本当の自分とはかけ離れていくような感覚です。そうした出来事と葛藤しているキャラクターなんだなと思います。

ーそうすると、理解できる、共感できるところも多いキャラクターですか。

 そうですね。きっと皆さん、マーク・トウェインという人物を見ながら色々なことを思うのではないかと思います。「本当の自分はそんなんじゃないんだけど、周りからはそんなふうにも見えるのか」とか。例えば、学級委員長になったなら、その時々で求められるリーダー像に自分を一生懸命、当てはめようとすることってあると思いますが、そうした体験に似ているかもしれないなと思います。それが、マーク・トウェインという偉大な作家の中で起きていて、そうした芝居をキャストの皆さんと一緒に作っていこうと思っています。

 
  • 1
  • 2

関連ニュースRELATED NEWS

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

長尾謙杜&山田杏奈&石原慎也(Saucy Dog)が話題の映画でタッグ!「主題歌が主人公たちの気持ちを表している」『恋に至る病』【インタビュー】

映画2025年10月24日

 10月24日公開の『恋に至る病』は、TikTokで話題になるなどティーンを中心に絶大な支持を集める斜線堂有紀のベストセラー小説を映画化した話題作だ。  内気な男子高校生・宮嶺望と学校中の人気者・寄河景。同じクラスになった2人は距離を縮めて … 続きを読む

市毛良枝「現代の家族のいろんな姿を見ていただけると思うし、その中で少しでもホッとしていただけたらいいなと思います」『富士山と、コーヒーと、しあわせの数式』【インタビュー】

映画2025年10月23日

 祖父の他界後、大学生の拓磨は、夫に先立たれて独り残された祖母・文子と同居することになった。ある日、拓磨は亡き祖父・偉志の書斎で、大学の入学案内を見つける。それは偉志が遺した妻・文子へのサプライズだった。市毛良枝とグローバルボーイズグループ … 続きを読む

林裕太「北村匠海さんや綾野剛さんとのつながりを感じました」期待の若手俳優が先輩2人と作り上げた迫真のサスペンス『愚か者の身分』【インタビュー】

映画2025年10月22日

 10月24日から全国公開となる『愚か者の身分』は、第二回大藪春彦新人賞を受賞した西尾潤の同名小説を映画化した迫真のサスペンスだ。新宿の歌舞伎町で、犯罪組織の手先として戸籍売買を行う松本タクヤ(北村匠海)とその弟分・柿崎マモル、タクヤの兄貴 … 続きを読む

南琴奈「今までに見たことがないような映画を楽しんでいただけたらと思います」『ミーツ・ザ・ワールド』【インタビュー】

映画2025年10月22日

 芥川賞作家・金原ひとみが新宿・歌舞伎町を舞台に描き、第35回柴田錬三郎賞を受賞した同名小説を、松居大悟監督、杉咲花主演で映画化した『ミーツ・ザ・ワールド』が10月24日から全国公開される。二次元の世界を愛し、自己肯定感の低い主人公の由嘉里 … 続きを読む

timelesz・橋本将生「『大切な人を守りたい』という気持ちは共感できる」 菊池風磨のアドバイスも明かす【インタビュー】

ドラマ2025年10月21日

 timeleszの橋本将生が主演するドラマ「ひと夏の共犯者」(テレ東系)が毎週金曜深夜24時12分~放送中だ。本作は、大学生の主人公・岩井巧巳(橋本)が、推しのアイドル・片桐澪(恒松祐里)との夢のような同居生活を送るうちに、彼女の中にもう … 続きを読む

Willfriends

page top