ダイアモンド☆ユカイ「命を懸ければ、怖いものなんてない」 仕事に人生に全力投球で生きる【インタビュー】

2023年8月10日 / 07:00

 -なるほど、それは本当に全てを懸ける気持ちで臨まないといけないということですね。 ただ、同時に芝居をする楽しさもあるのでは?

 そう感じられるようになったのは、つい最近ですが(苦笑)。バンドデビューと同時にハリウッドデビューもしちゃったんですよ(笑)。バンドデビューしたときにアメリカ映画のお話もいただいて。そのときは自分に合わせて作っていただいたんで、演じているのか、演じていないのか分からないような演技で、自然にやらせていただくことができたんです。今思えば、それで勘違いしたんですね。その後も、舞台や映画の話をいただいたので出ていたんですが、いくらやってもだめ。何度やっても演技は難しいなと思っていました。それで最近、あるドラマに呼んでいただいたときに、せりふの覚え方を変えたんです。キャラクターの背景を考えることにしたんですよ。血液型が何型で、どんな過去があってと、全部設定を考えて、自分の演じる役以外のせりふも全て読むことにしました。樹木希林さんが生前に、「自分のせりふにはマーカーをつけない。自分のせりふ以外も目を通してやるといい」とおっしゃっていたのをどこかで見たので、なるほど、それをやってみようと。そうしたら、他の演者とのお芝居が楽しかったんですよ。そこで少しお芝居の楽しさを知った気がします。

ダイアモンド☆ユカイ (C)エンタメOVO

-今回もドクターピタゴラスの設定を細かく考えて役を作っていくんですね。

 年齢から出身地まで。特に戦後最高の数学者高木源一郎がなぜドクター・ピタゴラスになって闇の世界に落ちていったかを感じてもらえるように、演じることに命を懸けたいと思っています。

-命を懸けて全力で挑むということには、大きなエネルギーも必要なことだと思いますが、そのエネルギー源は?

 言葉です。例えば、嫌だな、つまらないなと思っても、そんな言葉は吐かずに、「今、絶好調だ、最高だ」って強気になること。これが1番の原動力です。

 -6月に行われた本作の製作発表で、「還暦を過ぎて、仏に向かって進んでいる」と話していましたが、還暦はユカイさんにとって大きな節目になりましたか。

 そうですね。よく考えると59も60も1歳しか違わないんだけどね(笑)。でも、自分にとっては「還暦」というのが大きかった。ここから先、自分はどれくらい生きられるのかを真剣に考えました。子どもはまだ小学生だし、古希まであと10年しかない。今しかないんだなと、実感するんですよ。これまで、散々悪いこともやってきて、女性にも、たくさんの人たちにも、色々と迷惑をかけてきちゃったんで、これからはみんなが喜んでくれることをやろうと思ったんです。みんなをハッピーにしたい。自分だけが幸せならいいと思ってずっと生きてきたけど、みんなが幸せならもっと大きな幸せになることが分かったんです。人は何のために生きるのか? それは魂の成長のために生きるんだと。それが仏に近づいているのかなと。

-そこにロックは絡んでくるんですか。

 自分にできることって何をやってもロックになってしまうんですよ(笑)。ロックをやることによってみんなが喜んでくれるというのは、この30何年間やってきて感じているので、これが使命だと思ってます。一所懸命生きることが一生懸命になっていくんだと。サッカーの本田圭佑さんがSNSで「みんないつかは死ぬんだし、命を懸けろよ」というようなことをつぶやいていたんですよ。その時は、何だそれと思っていたけど、やっと意味が分かった。命を懸けたら負けないんです、絶対に。もちろん、勝ち負けだけで生きているわけではない。何でも命を懸けてやっていけば怖いものはない。楽しさも倍増するものだと信じています。

(取材・文・写真/嶋田真己)

ミュージカル「浜村渚の計算ノート」(C)青柳 碧人・講談社/ミュージカル『浜村渚の計算ノート』製作委員会

 ミュージカル「浜村渚の計算ノート」は、8月26日~27日に福岡・キャナルシティ劇場ほか、大阪、名古屋、東京で上演。

 

  • 1
  • 2
 

関連ニュースRELATED NEWS

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

高橋克典「これは吉良の物語でもあるのだと感じていただけるような芝居をしたい」 堤幸彦「『忠臣蔵』は、演劇的に言えば1丁目1番地的な作品」 舞台「忠臣蔵」【インタビュー】

舞台・ミュージカル2025年12月10日

-堤さんと高橋さんは高橋さんのドラマデビュー作以来のタッグと聞いています。堤さんは高橋さんの吉良上野介にどのような期待を寄せていますか。 堤 ぴったりだと思いますよ。生き馬の目を抜く芸能界で酸いも甘いも知り尽くしていますから。デビューの瞬間 … 続きを読む

生田斗真が驚きの一人二役!「最初から決まっていたわけではありません」制作統括・藤並英樹氏が明かす舞台裏【大河ドラマ「べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜」インタビュー】

ドラマ2025年12月8日

-治済に対する仇討ちのため、対立関係にあった蔦重と松平定信(井上祐貴)がタッグを組む展開にも驚かされると同時に、思わず胸が熱くなりました。 藤並 白河藩に戻った後の定信は、それまでとは打って変わって、大田南畝や山東京伝に本を書かせているんで … 続きを読む

板垣李光人「最初から、戦争を考えて見るのではなく、実際に見て感じたことを広めていっていただければ、それが一番うれしいです」『ペリリュー ―楽園のゲルニカ―』【インタビュー】

映画2025年12月5日

-戦場で、田丸が絵や漫画を描くことにどのような意味があったと思いますか。  功績係に任命された田丸には、もちろん何かを書き記すという使命感もあったでしょうが、いつ自分や仲間が命を落とすか分からない状況の中で、自分の世界の中で向き合えるものが … 続きを読む

【物語りの遺伝子 “忍者”を広めた講談・玉田家ストーリー】(8)百年ぶりの復活へ 四代目が掲げた三つの大願

舞台・ミュージカル2025年12月4日

 YouTubeもNetflixもない時代、人々を夢中にさせた“物語り”の芸があった——。“たまたま”講談界に入った四代目・玉田玉秀斎(たまだ・ぎょくしゅうさい)が、知られざる一門の歴史物語をたどります。    2016年に四代目・玉田玉秀 … 続きを読む

多部未華子「学びの多い現場でした」DV被害者役に挑んだヒューマンミステリー「連続ドラマW シャドウワーク」【インタビュー】

ドラマ2025年12月1日

  -雰囲気のいい現場だったようですね。  中でもしのぶさんは、「これはこういうことなのかな?」といった感じで、積極的に質問をされるんです。その上、「私、緊張しちゃう」などと、ご自身の気持ちを織り交ぜながら現場にいてくださるので、私も質問が … 続きを読む

Willfriends

page top