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要さんとは初対面だったので、お会いしたときは、とても背が高くて驚きました。ただ、撮影の合間にお菓子を食べる姿を見ていたら、「聡子が田邊教授を『かわいらしい』と思うのはこういうところなのかな」とイメージが重なりました(笑)。
あのシーンは私が撮影に入って2日目だったので、すごく緊張していたんです。でも、とても安心感のある浜辺さんのおかげで、だいぶ助けられました。しかも、後半にかけて聡子の緊張もほぐれていくんですけど、私自身も何となくほぐれていくような感じがあって、聡子とリンクするものを感じました。
寿恵子さんの方が妻としても先輩なので、頼りにしていますし、大事なときに助けてもらったりして、2人の絆はさらに深まっていきます。やがてそんな寿恵子さんの影響を受けた聡子は「自分も強くなりたい」と思うようになり、成長していくことになります。演じる上でもその辺は意識していて、聡子はもともと話し方がゆったりで大声は出さないんですけど、大事な場面ではスピードを速めてみたり、少し芯のある声を出してみたりして、変化をつけるようにしています。
少し先になりますが、大きな挫折を経験した田邊教授を、聡子が励ますシーンがあります。それまで、夫婦であってもスキンシップの場面がなかった2人ですが、そこで初めて、聡子が田邊教授に触れたことをきっかけに2人が対等な夫婦として認め合い、聡子も変わっていきます。台本を読んだとき、想像以上に重要な役で驚きましたし、こんなにすてきな役を頂いた責任感と緊張感で身が引き締まりました。とても大切なシーンだったので、演じる上では「あなたを支えたいんです」という気持ちだけは忘れないようにしました。私が撮影に慣れ、要さんとの距離感もほぐれていく過程と、聡子が成長していく過程がリンクして進んでいった感覚があり、すごくいいシーンになったと思います。
聡子の成長を見守っていただきたいのはもちろんですが、変化していく田邊教授と万太郎さんとの関係や、友情を深めていく聡子と寿恵子さんの関係にもぜひ注目していただけたらうれしいです。
(取材・文/井上健一)

田邊彰久教授(要潤)の妻・聡子を演じる中田青渚(左)(C)NHK
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