桜井日奈子「『女優が天職』と言えるようになりたい」若い女性が人生を切り開いていく物語に重ねた自らの歩み『魔女の香水』【インタビュー】

2023年6月16日 / 17:52

-そうかもしれませんね。ところで、この映画には「女性の活躍を応援する」というメッセージが込められていますが、同じ女性として黒木瞳さんや宮武由衣監督から刺激を受けたことはありますか。

 黒木さんのお芝居の作り方はすごく緻密なんです。このせりふのときはここにいて、顔はこういう向きで、と一つ一つ丁寧に作り上げる様子が、本当にプロフェッショナルだなと。なかなか見る機会もないので、「学ばせていただこう」と思っていたんですけど、一朝一夕にまねできるものではなくて。「私が黒木さんのレベルに達するまで、あと何十年かかるだろう?」という感じでした。

-なるほど。

 お芝居の面では黒木さんに引き出していただいたものがたくさんあります。ご一緒するのは涙を流すなど、感情的なシーンが多かったんですけど、黒木さんのおかげで、何の心配もなく表現したいところまで持っていけた気がします。

-宮武監督はいかがでしょうか。

 映画監督の方は、どちらかというと自己主張の強い方が多いイメージだったんですけど、宮武監督は自分の考えがあっても、まずは周りの意見を聞いてくださるんです。言われたことに柔軟に対応されている感じがすてきで、付いていきたくなる監督だなと。

-現場で宮武監督に支えられた部分もありましたか。

 現場では、大人の女性に成長した恵麻を演じることに不安を抱えていた私を、何度も褒めてくださったんです。そうやって、不安を一つ一つ取り除いてくれました。以前、宮武監督とご一緒されたことがある平岡(祐太/恵麻と出会う会社社長・横山蓮役)さんが「宮武監督は、本当に良くないと褒めないんだ」とおっしゃってくださったことも自信につながりました。そういう意味では、宮武監督にはすごく支えていただきました。

-本作は女性の活躍を描いていますが、恵麻の成長物語には男性も共感できると思います。男性の観客に向けてメッセージはありますか。

 弥生さんが恵麻に語る人生の教訓の数々は、男女問わず心に響くものがあると思います。私が大好きなのは、「社会を憎んでも仕方ない。他人は変えられないけど、自分と未来は変えられる」というせりふです。仕事をしていく上で、壁にぶつかることは誰にでもありますが、そんな言葉の一つ一つが、心をふっと軽くしてくれると思います。そういう意味では、見る人の心を軽くする魔法を持った映画だと思うので、ぜひ男性にもご覧いただけたらうれしいです。

(取材・文・写真/井上健一)

(C)映画「魔女の香水」製作委員会

 

  • 1
  • 2
 

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

「光る君へ」第三十三回「式部誕生」人々を動かす「源氏物語」の存在【大河ドラマコラム】

ドラマ2024年9月7日

 NHKで好評放送中の大河ドラマ「光る君へ」。9月1日に放送された第三十三回「式部誕生」では、「源氏物語」の続きを執筆するため、内裏に出仕した主人公・まひろ(吉高由里子)の日常と、中宮・彰子(見上愛)との出会いが描かれた。  彰子の住まいで … 続きを読む

山口紗弥加「自分が役に乗っ取られたような感覚です」ネタバレ厳禁のミステリーで入魂の演技を披露「私の死体を探してください。」【インタビュー】

ドラマ2024年9月6日

-そういう意味では、麻美の夫・正隆を演じる伊藤さんのお芝居に助けられた部分も?  もちろん! 伊藤さんのお芝居には本当に助けられました。正隆は最低のクズ男なんですけど、人間力の高い伊藤さんが演じているだけあって、一周回っていとおしくなる瞬間 … 続きを読む

河合優実「すごいところに羽ばたいていく予感はありました」金子大地「面白い映画になるのは間違いないと」恋人役で共演の2人が語るカンヌ受賞作の舞台裏『ナミビアの砂漠』【インタビュー】

映画2024年9月6日

-恋人でありながら緊張感のあるカナとハヤシの関係は、そういう山中監督の演出が生んだものかもしれませんね。現場の様子はいかがでしたか。 河合 ワンシーン、ワンシーン、みんなが面白がりながら撮っていました。「このシーン最高!」みたいな空気が毎日 … 続きを読む

【週末映画コラム】『エイリアン』の“その後”を描いた『エイリアン:ロムルス』/各国の映画祭で注目を集めた心理ホラー『映画検閲』

映画2024年9月6日

『映画検閲』(9月6日公開)  1980年代、サッチャー政権下のイギリス。「ビデオ・ナスティ」と呼ばれた暴力シーンや性描写を売りにした過激な映画の事前検閲を行うイーニッド(ニアフ・アルガー)は、容赦のない冷徹な審査故に「リトル・ミス・パーフ … 続きを読む

紅ゆずるの“ゼロ地点”は「宝塚歌劇団の公演を初めてテレビで見た日」【インタビュー】

舞台・ミュージカル2024年9月3日

-ネヴィルと現在の妻のケイ、そして元妻のオードリーが1カ所に集うという状況もまた複雑ですね。  物語の始めはネヴィルとケイとオードリーという三角関係があり、その女性の間で揺れ動く男性のよくある話かなと思ったのですが、進んでいくと全く違う。最 … 続きを読む

Willfriends

page top