海宝直人、実写版のエリックは「現代人にも共感しやすい」キャラクターに 映画『リトル・マーメイド』【インタビュー】

2023年6月18日 / 06:28

 2023年に創立100周年を迎えるディズニーが、1991年に公開された名作アニメーション『リトル・マーメイド』を実写映画化。大ヒット公開中だ。本作のプレミアム吹替版で、エリック役の声優を務めた海宝直人に、吹き替え時の苦労や本作の魅力などを聞いた。

海宝直人 (C)エンタメOVO

-劇団四季のミュージカル「美女と野獣」「ライオン・キング」をはじめ、数々のディズニー作品に出演してきた海宝さんですが、今回、実写映画の声優に決まったときはどんな気持ちでしたか。

 ディズニー創立100周年という歴史的な年に公開される作品ですし、(本作の作曲担当の)アラン・メンケンさんの楽曲が大好きなので、出演が決まって本当にうれしかったです。(劇団四季のミュージカル)「美女と野獣」でデビューして、その後も「アラジン」や「ノートルダムの鐘」など、アラン・メンケンさんの作品に関わらせていただく機会が多かったので、僕にとっては神のような存在です。その彼がディズニーで初めて楽曲を作ったのがアニメーション版の『リトル・マーメイド』だったということもあり、この節目の年に参加させていただけるというのは、本当に光栄なことだと思いました。

-吹き替えで歌うときと舞台で歌うときの違いはありましたか。

 吹き替えの場合、映像に合わせて歌うというのが大きな任務なので、片耳で原音を聞きながら音量調整をしながら歌いました。映像でダイナミックに動いているエリックに合わせて歌うので、いかにそのエネルギーを(自分は)動かずに出すのかが難しくもあり、面白い経験だったなと思います。

-楽曲シーンだけでなく、お芝居の場面でも同じような苦労と楽しさがありましたか。

 そうですね。ディレクターの方が、どの程度の声で話すかという距離感を細やかに教えてくださったので、それはすごく助けになりました。マイクに向かって話していても、近くにいる人に話しているときと、船の上で甲板の向こう側にいる人に向かって叫んでいるときでは話し方も変わるので、その距離感をつかむというのが大事なんだろうなと思いました。

-海宝さんが演じたエリックは、どんな人物だと感じましたか。

  アニメーションのときとは少し設定が変わっていると思いますが、養子で王家の出身ではないという背景を持っています。そんな中、自分の生きていきたい方向性と母から求められる王としての道の間で葛藤している姿は、現代人にも共感しやすいと思います。誰にでも、周りから求められることと自分自身がやりたいことのギャップというのは経験があると思うので。それから、すごくピュア。アリエルへの気持ちに気づくまでの行程を丁寧に描いているので、奥手でピュアなところがしっかりと描写されていて、すごく魅力的だなと感じました。

-“王子さま”ではありますが、すごく現代的なキャラクターですよね。海宝さんとの共通点はありましたか。

 “歌にほれる”という感覚はすごく理解できるなと思いました。自分も、ラジオで流れている歌を聞いて、誰が歌っているのかを調べてその方の曲ばかり聞いていたという経験があります。

-では、本作の中で特に印象に残っている楽曲は?

 (アリエルが歌う)「パート・オブ・ユア・ワールド」も素晴らしいし、アラン・メンケンさんとリン=マニュエル・ミランダさんが共作したエリックの新曲「まだ見ぬ世界へ」もパワフルなエネルギーにあふれる曲で印象深いですが、個人的には、「ヴァネッサズ・トリック」というヴァネッサの正体が明らかになるシーンが大好きです。アリエルの歌から始まって、最後にはアースラのせりふになっていくという、あのくだりのメロディーの使い方が抜群だなと。あのシーンを見るとゾワゾワします。

-アリエルを演じた豊原江理佳さんの印象は?

 お会いしたのは製作発表とイベントだけなのですが、美しくて澄んだきれいな歌声でありながら、エネルギッシュでパワーもチャーミングさもあって、まさにアリエルだと思って拝見させていただきました。アリエルは外に向かうエネルギーやパワーにあふれたキャラクターですが、豊原さんの声もまさにパワーあるアリエルを表現していると思います。

 
  • 1
  • 2

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

井内悠陽「自分を貫くことは大切。でも、時には柔軟性も必要」 映画『爆上戦隊ブンブンジャー』で映画初主演を飾る20歳の新星【インタビュー】

映画2024年7月27日

 7月26日から公開中の『爆上戦隊ブンブンジャー 劇場BOON! プロミス・ザ・サーキット』は、テレビ朝日系で大人気放送中のスーパー戦隊シリーズ第48作「爆上戦隊ブンブンジャー」初の劇場版だ。本作でブンブンジャーのリーダー、ブンレッド/範道 … 続きを読む

田中真弓「70歳、新人のつもりで頑張っています」憧れだった朝ドラレギュラー出演 連続テレビ小説「虎に翼」【インタビュー】

ドラマ2024年7月26日

 NHKで好評放送中の連続テレビ小説「虎に翼」。新潟地家裁三条支部に赴任し、娘・優未(竹澤咲子)と2人だけの暮らしに苦労する主人公・佐田寅子(伊藤沙莉)を助けるため、かつて花江(森田望智)の家で女中として働き、第7週で故郷の新潟に帰った稲が … 続きを読む

真彩希帆、憧れの「モーツァルト!」でコンスタンツェ役 「この作品を見に来て良かったと感じていただきたい」【インタビュー】

舞台・ミュージカル2024年7月26日

 「才能が宿るのは肉体なのか?魂なのか?」という深遠なテーマをベースに、その高い音楽性と重層的な作劇で“人間モーツァルト”の35年の生涯に迫る、ミュージカル「モーツァルト!」が、8月19日から帝国劇場にて上演される。2002年の日本初演以来 … 続きを読む

【週末映画コラム】歴史の「if」を描いた2本『もしも徳川家康が総理大臣になったら』/『お隣さんはヒトラー?』

映画2024年7月26日

『もしも徳川家康が総理大臣になったら』(7月26日公開)  新型コロナウィルスがまん延した2020年。首相官邸でクラスターが発生し、総理大臣が急死した。かつてない危機に直面した政府は、最後の手段として、歴史上の偉人たちをAIホログラムで復活 … 続きを読む

鈴木梨央「特撮映画の魅力を実感しました」子役時代から活躍してきた若手俳優が、ファンタジー映画に主演『カミノフデ ~怪獣たちのいる島~』【インタビュー】

映画2024年7月25日

 高校生の時宮朱莉は、謎の男・穂積(斎藤工)と出会い、特殊美術造形家だった亡き祖父・時宮健三(佐野史郎)が制作を望んだ映画『神の筆』の世界に入り込んでしまう。怪獣ヤマタノオロチによって、その世界が危機にひんしていることを知った朱莉は、同級生 … 続きを読む

Willfriends

page top