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去年の「鎌倉殿の13人」が大きなきっかけだった気がします。それまでは似たような役が続いたこともあり、ある程度どんな役もこなせるようになってきて、自分の中でマンネリ化していた部分があったんです。そんなとき、初めて出た大河ドラマで、「右も左も分からない」という状況を経験して。所作も一歩歩くだけで「違う」と言われ、せりふのイントネーションも、着物のさばき方も…。「ただそこにいること」すらできなかったんです。それまでは、たとえ緊張していても、衣装を着てとりあえずせりふを言えば成立したんですけど、そのせりふすら言わせてもらえない。そんなことは初めてで。
ただ、そうそうたる先輩方がいる中で、そういう状態になったとき、私の中で不安よりも「楽しい」という気持ちが上回ったんです。「まだまだ成長できる余地があるんだ」と思って。所作指導の先生もすごく厳しかったんですけど、毎回「次は何を言われるかな」と現場に行くのが楽しみになって。結果的に、その先生とも仲良くなりましたし。
30代に向けての第一歩といった感じで、ターニングポイントになりました。大河に出られたことが、自分の中で一つの自信にもなったと思います。それから、気持ちの切り替えがきくようになり、小さなことで悩まなくなりました。
「誰かが、見ている」(prime video配信中)という作品で、三谷(幸喜/脚本と演出を担当。「鎌倉殿の13人」の脚本)さんと初めてご一緒したんです。それ以来、三谷さんと連絡を取らせていただくようになりました。「鎌倉殿の13人」の発表があって、ご一緒したいとずっと願っていました。あるとき、マネジャーさんから「『鎌倉殿の13人』が決まった」と言われて。ふたを開けてみたら、相手の源頼家役は何度も共演している金子大地くんでしたし、いろんなご縁がつながって導かれた役だったなと思います。
そうですね。万太郎さんほど周りを気にせず無我夢中になれるかどうかは別にしても、好きなことで頭がいっぱいになる気持ちはよく分かります。しかも、万太郎さんを東京に送り出したご家族の姿が、自分の家族に重なるんです。この仕事をすることを許し、支えてくれた両親や妹が、私が東京に行くたびに新幹線のホームで「行ってらっしゃい」と見送ってくれた光景を思い出して。
女性から見てかっこいい女性であり続けられたらいいなと思っています。どちらかというと男性よりも女性から共感を得やすい役だと思うので。一見明るくて朗らかなおゆうさんも、実はつらい過去を抱えているので、悩みがあったり、過去に悔いを残したりしている人の背中を押せるような役だと思います。ぜひ応援していただけたらうれしいです。
(取材・文・写真/井上健一)

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