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引いて見ると非常に厳しくて残酷で、辛辣(しんらつ)な話ですよね。それを独特のユーモアで語っている。ユーモアや笑いってすごい力があると思うんです。眉間にしわを寄せて生きるよりも、いつもにこやかに生きている方がいい。そういうことが人生にもあるので、田島さんには独特のユーモアや間があるところが面白いと思います。あとはやっぱりキャラクターですよね。僕は、映画は人間を描くことだと思っているので、田島さんが描く人間が面白い。面白いけれど人に対するまなざしが優しい。そこがすてきだと思うし、そういうものを映画でも表現したいというのが、僕の思いに通じています。
映画は観客に見てもらうものなので、どうエンタメにするかという思いは絶えずあります。ただ、派手にすればいいということでもないので、その作品に応じた表現の仕方があると思います。この映画のシェアハウスは、そこに逃げ込んだ榊にとっては、居心地がいい場所。だから観客にも、「確かにここにいたらファンタジックで居心地がよさそうだな」「住みたいな」と思えるような場所に見えるようにと考えました。雨も、人物の感情に合わせて音や量を変えています。水っぽいといえば、川や海も出てきますが、それをからっと描きたいというのはありました。全体的にじとっとしない、涙を流しても爽快な感じにするということを考えました。小道具については、観客が見て魅かれるような絵作りを意識した結果です。
まず、広瀬すずを見てほしいです。彼女のいろんな表情や表現を見ることができる映画です。何よりもそこが一番です。あとは、どう言えば観客が来るのかなあ。「きっと大切な人に会いたくなる映画」「恋をしたくなる映画」…(笑)。やっぱり、人が人を好きになることの尊さですかね。その思いの素晴らしさを感じてもらえる映画だと思います。明日は会えなくなるかもしれない。何が起こるか分からない。だからこそ思いを伝えることが大事なんだということ。そういう気持ちでいると人は優しくなれると思います。
(取材・文・写真/田中雄二)
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