中村隼人、横浜流星と作り上げる「2人の違いがぶつかる殺陣」 舞台「巌流島」【インタビュー】

2022年12月30日 / 08:00

 2002年2月歌舞伎座「寺子屋」の松王丸一子小太郎で初舞台。以降、数々の歌舞伎公演のみならず、ドラマや情報番組、CMなどでも活躍する中村隼人。23年2月10日から開幕する、舞台「巌流島」では、佐々木小次郎を演じる。隼人にとって歌舞伎以外の大規模な舞台出演は本作が初。宮本武蔵役の横浜流星との共演について、公演への意気込みなどを聞いた。 

中村隼人(ヘアメーク:川又由紀(HAPP’S.)/スタイリスト:石橋修一) (C)エンタメOVO

-オファーを受けたときの心境は?

 まず、驚きました。というのも、僕の大叔父である萬屋錦之介が1960年代に、(映画で)宮本武蔵役を5部作に分けて演じていたんです。なので、きっと歌舞伎界の方から見ると宮本武蔵は萬屋錦之介のイメージが強いと思います。そのときには、高倉健さんが佐々木小次郎を演じていたので、「僕が小次郎でいいの?」と(笑)。実際に、歌舞伎界の方には「錦之介さん、萬屋といったら武蔵なのに、隼人は小次郎か」という冗談も言っていただいています(笑)。そのぐらい印象が強かった役なのだと思いますが、そうした中で佐々木小次郎役のオファーを頂いたので、どうして自分を選んでいただいたのかを考えながらも、大きな挑戦をさせていただこうという思いで受けさせていただきました。

-本作は、新解釈で描かれる「巌流島」の物語ということですが、隼人さんがイメージしている小次郎はどんな人物ですか。

 冷静で、腕に覚えがあって、門下生たちにも慕われていた、いわゆるいい上司像を体現する人物だったのかなと思います。ですが、巌流島の決闘では一撃で倒されてしまう(笑)。そんな印象です。きっと今回の脚本でも、そうした基本的な小次郎の印象は変わらないと思います。武蔵が“動”ならば、小次郎は“静”。そんな2人が出会い、同じ釜の飯を食べて相手の強さを知り、お互いに憧れとライバル心を抱く。そうした2人の関係がグラデーションのように描かれているので、決闘までの2人の感情が分かりやすいと思います。

-小次郎と似ているところはありますか。

 すぐに熱くなって興奮してしまうところは似ています(笑)。それから、この作品での小次郎は、誰よりも強かったのに、初めて自分よりも強いと感じる武蔵と出会い、彼に憧れやジェラシーを抱きますが、そうした気持ちをうまく伝えられず、内に秘めている…というのは似ているところかもしれません。

 -では、その武蔵を演じる横浜さんの印象は?

 流星さんが出演されている映画やドラマを拝見させていただいていて、繊細な芝居をされる方だと思っていましたし、武骨というよりは柔らかな中性的なイメージを持っていました。ですが、今回、ビジュアル撮影で初めてお会いしたときに、ごあいさつをさせていただいた3分後には刀を合わせて(笑)、それもあって男くさくて線の太い役者さんだと感じました。イメージがガラッと変わりました。

-そんな横浜さんと、今回は舞台上でも刀を交えます。横浜さんも殺陣は得意だと思いますが。

 世界一というぐらいお上手だと思います。流星さんは、本当に当たる距離感での殺陣を極められていると思いますが、僕は歌舞伎の様式美に特化した立ち回りをこれまでやってきました。そうした2人の違いがぶつかる殺陣になると思うので、きっと面白いものになるのではないでしょうか。刀の距離感や、どう見せていくのかは、これからの稽古で作り上げていきたいと思いますが、僕も楽しみです。 

-小次郎と武蔵はライバル関係にありますが、隼人さんがライバルと聞いて思い浮かべる人はいますか。

 ライバルといってもいろいろな関係があるとは思いますが、この作品の小次郎と武蔵でいえば、お互いに認め合い、高め合い、ある種、互いに引かれあっている関係性だと思います。男と男の精神的なつながりを持っているというような。そういう意味でいえば、尾上右近くんです。幼稚園の頃から一緒に過ごしている幼なじみで、一緒に駄菓子屋に行ったり、夢を語り合ったりした仲なので、彼が今、あれほど活躍している姿を見ると自分もと刺激を受けます。今回、この作品に出演することが決まったときも、最初に連絡をくれたのが右近くんです。お互いに認め合って、お互いのやっていることを尊重して応援できるといういい関係を築けていると思います。

 
  • 1
  • 2

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

安田顕「水上くんの目に“本物”を感じた」水上恒司「安田さんのお芝居に強い影響を受けた」 世界が注目するサスペンスで初共演&ダブル主演「連続ドラマW 怪物」【インタビュー】

ドラマ2025年7月5日

 韓国の百想芸術大賞で作品賞、脚本賞、男性最優秀演技賞の3冠を達成した極上のサスペンス「怪物」。WOWOWが世界で初めてそのリメイクに挑んだ「連続ドラマW 怪物」(全10話)が、7月6日(日)午後10時から放送・配信スタート(第1話・第2話 … 続きを読む

TBS日曜劇場「19番目のカルテ」が7月13日スタート 新米医師・滝野みずき役の小芝風花が作品への思いを語った

ドラマ2025年7月5日

 7月13日(日)にスタートする、松本潤主演の日曜劇場「19番目のカルテ」(TBS 毎週日曜夜9時~9時54分)。原作は富士屋カツヒト氏による連載漫画「19番目のカルテ 徳重晃の問診」 (ゼノンコミックス/コアミックス)。脚本は、「コウノド … 続きを読む

南沙良「人間関係に悩む人たちに寄り添えたら」井樫彩監督「南さんは陽彩役にぴったり」期待の新鋭2人が挑んだ鮮烈な青春映画『愛されなくても別に』【インタビュー】

映画2025年7月4日

 第42 回吉川英治文学新人賞を受賞した武田綾乃の小説を原作にした鮮烈な青春映画『愛されなくても別に』が、7月4日公開となる。浪費家の母(河井青葉)に代わってアルバイトで生活を支えながら、奨学金で大学に通う主人公・宮田陽彩が、過酷な境遇を受 … 続きを読む

紅ゆずる、歌舞伎町の女王役に意欲「女王としてのたたずまいや圧倒的な存在感を作っていけたら」【インタビュー】

舞台・ミュージカル2025年7月4日

 2019年に宝塚歌劇団を退団して以降、今も多方面で活躍を続ける紅ゆずる。7月13日から開幕する、ふぉ~ゆ~ meets 梅棒「Only 1,NOT No.1」では初めて全編ノン・バーバル(せりふなし)の作品に挑戦する。  物語の舞台は歌舞 … 続きを読む

【Kカルチャーの視点】異領域を融合する舞台芸術、演出家イ・インボの挑戦

舞台・ミュージカル2025年7月3日

 グローバルな広がりを見せるKカルチャー。日韓国交正常化60周年を記念し、6月28日に大阪市内で上演された「職人の時間 光と風」は、数ある韓国公演の中でも異彩を放っていた。文化をただ“見せる”のではなく、伝統×現代、職人×芸人、工芸×舞台芸 … 続きを読む

Willfriends

page top