『ファイナルファンタジーX』が歌舞伎に 尾上菊之助「お互いの文化を発展させつつ、日本を元気にできたら」【インタビュー】

2022年11月14日 / 08:00

-前後編を観劇するとなると、1日がかりですね。

 そうですね。ですので、お客さまに快適に過ごしていただくために,いろいろな施策を制作チームと話しています。また、IHIステージアラウンド東京は、8メートルの巨大スクリーンがあって、そこにゲームの映像を映させていただこうと思っておりますので、まるで「ファイナルファンタジー」の世界にいるような体験をしていただけるのではないかと思います。物語を楽しんで、映像美を楽しんで、そして休憩時間も楽しんでいただきたいと思っております。

-本作もそうですが、「風の谷のナウシカ」など菊之助さんは新作歌舞伎にも力を入れていますが、新作を作ることの苦労、そして楽しさは?

 歌舞伎化するに当たって、元の世界が壊れてしまうのが、私が一番避けたいと思っていることです。歌舞伎だからと、自分のルールに寄せてしまうことがないよう、お互いのよさを大事にし、原作の持ち味が壊れないように気をつけながら作っています。歌舞伎の作品を生み出すことに、とても大きなやりがいを感じていますし、携われることに感謝しています。新作歌舞伎が古典となり、再演を繰り返すことを目指しているので、作ったときよりも再演がかなうときが一番の喜びでもあります。

-改めて、本作の見どころを。

 ゲームの名作『ファイナルファンタジーX』を実際に人が演じることで、新たな側面が見えてきたり、物語の背景にある社会問題やテーマが、より身近に感じられると思います。物語は、「シン」という強大な脅威におびえながら暮らしてきた人々の下に、主人公であるティーダがやって来ることで、その世界を、人々の心を変えていくストーリーです。そこでは何ごとも諦めない心や人の成長が描かれています。今回の歌舞伎化に当たり、各キャラクターの物語を余すことなく描いているので、皆の成長を見守っていただきたいですし、ティーダとユウナの関係性にも注目していただきたいです。このほかにもシーモアの親子関係など、見どころも盛りだくさんで、壮大な作品になっています。きっとお心に残るストーリーになっていると思いますので、ぜひご期待いただければと思います。

(取材・文/嶋田真己)

「新作歌舞伎 ファイナルファンタジーX」

 「新作歌舞伎 ファイナルファンタジーX」は、2023年3月4日~4月12日に、都内・IHIステージアラウンド東京で上演。
公式サイト https://ff10-kabuki.com

 

  • 1
  • 2
 

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

高橋一生、平山秀幸監督「アクションはもちろん、人間ドラマとしてもちゃんと娯楽性を持っている作品に仕上がっていると思います」「連続ドラマW 1972 渚の螢火」【インタビュー】

ドラマ2025年10月20日

-高橋さん、沖縄の言葉は大変でしたか。 高橋 真栄田に関しては「ないちゃー(本土の人間)」と言われているような男なので、そこまで大変ではなかったのですが、(小林)薫さんや青木(崇高)さんは結構大変だったと思います。真栄田は彼なりによかれと思 … 続きを読む

オダギリジョー「麻生さんの魅力を最大限引き出そうと」麻生久美子「監督のオダギリさんは『キャラ変?』と思うほど(笑)」『THE オリバーな犬、(Gosh!!)このヤロウ MOVIE』【インタビュー】

映画2025年10月17日

-豪華キャストが生き生きとコメディーを演じているのが「オリバー」の人気の理由ですが、そういうアイデアは、現場で出演者の皆さんから出てくる部分も多いのでしょうか。 オダギリ みんなで楽しもう、という雰囲気はあるとは思うんですが、コメディーって … 続きを読む

【映画コラム】初恋の切なさを描いた『秒速5センチメートル』と『ストロベリームーン 余命半年の恋』

映画2025年10月17日

『ストロベリームーン 余命半年の恋』(10月17日公開)  病弱な体のため、学校にも通えず毎日独りで家の中で過ごしてきた桜井萌(當真あみ)。彼女のひそかな夢は、自分の誕生日に好きな人と一緒に見ると永遠に結ばれるという、6月の満月 「ストロベ … 続きを読む

大谷亮平「お芝居の原点に触れた気がした」北斎の娘の生きざまを描く映画の現場で過ごした貴重な時間『おーい、応為』【インタビュー】

映画2025年10月16日

-そうやって出来上がったふわふわとした初五郎の存在が、対照的に絵の道を極めようとする北斎親子の生きざまを際立たせている印象です。北斎親子についてはどのような印象を持たれましたか。  2人とも自分の意志を曲げないので、ことあるごとにぶつかり、 … 続きを読む

黒崎煌代 遠藤憲一「新しいエネルギーが花開く寸前の作品だと思います」『見はらし世代』【インタビュー】

映画2025年10月15日

-団塚監督の印象は? 遠藤 出来上がった映像を見て、びっくりしました。予想だにしないアングルがあったり、編集にも想像がつかないような斬新さがあって面白かった。監督は、撮影中に何か言う時も、この若さでと思うぐらいとても適切でした。言うことが全 … 続きを読む

Willfriends

page top