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伊藤あさひ、“戦隊シリーズ”が俳優人生の転機に 「自信にもなりました」【インタビュー】

 「怪盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー」で主演のルパンレッドを演じ、連続テレビ小説「エール」でも話題を集めた俳優の伊藤あさひ。2022年、その活躍がさらに注目される伊藤が、7月22日から開幕するパルコ・プロデュース2022「スルメが丘は花の匂い」で久々の舞台に挑む。主演・吉岡里帆、作・演出をかもめんたるの岩崎う大が務める本作は、童話の登場人物が生まれる不思議な世界に迷い込んでしまった主人公・緑と、物語の主人公として生まれた少女クロエの交流を描くファンタジックコメディー。クロエの幼なじみであるトム役と王子役の二役を演じる伊藤に、本作への意気込みや芝居への思いを語った。

伊藤あさひ(ヘアメーク:窪田健吾) (C)エンタメOVO

-本作では、トムと王子という二役を演じますが、それぞれどのような役柄なのか教えてください。

 トムはすごく純粋でかわいらしくて、“弟キャラ”です。ただ、その純粋さ故に、ぶっ飛んだところもあります。物語の世界の登場人物は、みんなどこか変わったところがあるのですが、トムはその中でも変わっている側だと思います(笑)。王子も、同じく物語の世界の人物なので、かなり変わっているキャラクターですが、王子らしく、優しく、カッコいい部分も持ち合わせています。今回は、その二役を演じることになるので、切り替えを意識し、どれだけ違う部分を見せられるのかが、僕の課題でもあります。

-どちらの役が伊藤さん自身に近いキャラクターですか。

 年上の方ばかりのときには、甘えてしまうタイプなので、今回の稽古場ではトムに近いと思います(笑)。

-久しぶりの舞台出演ですが、稽古が始まってどんなことを感じていますか。

 初めはやはり緊張しましたが、今はもう慣れてきて、アットホームな雰囲気の稽古場で、伸び伸びとお芝居をさせていただいています。コロナ禍ということもあり、なかなかコミュニケーションが難しい状況ではありますが、これからもっと仲を深められたらいいなと思っています。

-岩崎さんの演出の印象は?

 トムというキャラクターはいじりやすいのか、う大さんも楽しんで、どんどん面白い部分を引き出してくださっているように感じます。う大さんからのアドバイスや、つけていただいた演出を台本にメモしているのですが、最近、「ここでトムがかわいそうに見えるように」と何度も書きました(笑)。きっと面白いキャラクターになると思います。

-舞台作品に出演することに対しては、どんな楽しみがありますか。

 お客さんの前で実際にお芝居をすることにプレッシャーはありますが、反応をダイレクトに感じることができることができると思うので、それは楽しみです。初めて舞台に出演させていただいたときに、カーテンコールで大きな拍手を頂くという経験をして、それがすごく印象に残りました。テレビや映画ではあまり体験できない経験なので、それは舞台ならではの魅力だと思います。

-ところで、伊藤さんは、もともと俳優という仕事に興味があったのですか。

 いいえ、かけ離れた世界だと思っていました。なので、自分が俳優になるということは想像もしていなかったのですが…。ありがたいことに、気付いたらここに立っていました(笑)。このお仕事は、正解がない中でいろいろと模索していくというのが醍醐味(だいごみ)だと思うので、今はそこに楽しみを見出しています。

-俳優という仕事でやっていこうと思ったきっかけは?

 何回かありましたが、最初はスーパー戦隊シリーズをやり終えたときです。お芝居はもちろんですが、アクションもありますし、舞台あいさつやヒーローショーなどでお客さんの前に立つこともあって、本当にいろいろなことを経験することができました。うまくいかなかったこともたくさんありましたが、自信にもなりましたし、応援してくださる方がいることも強く感じることができました。

-戦隊シリーズには、子どもの頃から憧れがあったんですか。

 もちろんです! 僕は、「忍風戦隊ハリケンジャー」や「爆竜戦隊アバレンジャー」の世代なのですが、大好きでした。実際に僕が出演させていただくようになって、5歳ぐらいの男の子が、七夕の短冊に「レッドになりたい」と書いてくれているのを見て、自分も子どもの頃に書いていたことを思い出し、感慨深い気持ちになりました。

-今は俳優としてどんな目標がありますか。

 具体的な目標は持たないようにしているのですが、自分が楽しいと思えることを続けていきたいと思っています。自分を追い込み過ぎてしまうと、自由がなくなり、つらくなってしまうと思うので、「今が一番楽しい」と思える状態を続けていけたらいいなと思います。

-ちなみに、今楽しいと思う瞬間は?

 今は、今作の稽古です。う大さんの演出でどんどん役が深まっていて、まるでそのとき感じたことをそのまま吐き出しているような感覚でお芝居ができるようになってきました。コメディー要素のある作品なので、僕も笑いながら稽古をしています。面白い作品になると思います。

-プライベートでは?

 おいしいご飯を食べているときや、早起きできたときかな。僕は、朝があまり得意ではなく、お仕事のときも、休みの日もなかなか起きられないのですが、たまに、全然寝ていないのに、スッと起きられるという“当たり”の日があるんです。そうすると、すごく気持ちいいんですよ。朝早く起きたからといって、特に何かをするわけではないのですが(笑)。

-改めて、本作の見どころと公演を楽しみにしている人たちにメッセージを。

 クスッと笑える作品です。ファンタジーの世界観に没頭し、最後には前向きな気持ちになってもえると思います。見た方の力になれるような作品にしたいと思っておりますので、ぜひ楽しみにしていてください。

(取材・文・写真/嶋田真己)

パルコ・プロデュース2022「スルメが丘は花の匂い」

 パルコ・プロデュース2022「スルメが丘は花の匂い」は、7月22日~31日に都内・紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYAほか、大阪、福岡、広島、高知、愛知、福島で上演。
公式サイト https://stage.parco.jp/program/surumegaoka

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