工藤遥「考えるな、感じろ」の精神で挑む風俗嬢役【インタビュー】

2022年7月1日 / 08:00

 俳優として活躍する工藤遥が、7月5日から放送されるMBS/TBSドラマイズム枠「ロマンス暴風域」で、これまでのイメージを脱ぎ捨てて、風俗嬢・せりかを演じる。アラサー男性と風俗嬢の運命の恋とその後を描いた本作に「全身全霊でぶつかっていく」と気合十分の工藤に、ドラマの見どころや役作りについて、さらにはこれまでの俳優業への思いを語ってもらった。

せりか役の工藤遥 (ヘアメーク:市川良子(吉野事務所)/スタイリスト:鈴江英夫(H) (C)エンタメOVO

-風俗嬢のせりかという、イメージとは全く違う役柄を演じることに驚きの声も多かったのではないですか。

 驚きの声もありましたが、私の新しい一面に期待してくれている声も多く、すごく温かいコメントもたくさん頂き、うれしく思っています。もちろん、非常にセンシティブなシーンもありますが、私自身は、共演経験のある小野花梨ちゃんや、これまでに数々の作品で拝見していた渡辺大知さん、そして児山隆監督という、このチームでお芝居がしたいという気持ちが大きかったので、風俗嬢という役柄がメーンだとも考えていませんでした。もちろん、挑戦となる作品ではありますが。

-脚本を読んで、まずはこの作品のどこに魅力を感じましたか。

 このドラマは、“真ん中に立てなかった人”が集まっているお話だと思います。上がるにも上がれず、傷ついたり落ちたりもせず、フワッと取り残されている、そんな人たちの心の隙間みたいなものが描かれています。その中でせりかは、まるで“本能のパズル”の足りないピースを探すかのように、いろいろなところに手を伸ばしている。一見すると、破天荒に見えますが、その心の奥にはどうしようもない悲しさや寂しさ、孤独を抱えている人です。それがすごく人間っぽくて生々しくて、これを実際に役者が演じて、映像化したらどうなるんだろうというワクワク感がありました。

-人物描写がすごくリアルですよね。

 リアルだと思います。せりかちゃんと同じような気持ちになったことがある人は、意外と多いんじゃないでしょうか。ただ、みんなそれは倫理観に反すると分かっているから、ブレーキがかかって何もアクションをしていないだけで。彼女は、その倫理観を飛び越えた人なので、ある種、みんなの気持ちを具現化した人物で、だからこそ、魅力的に見えるんだと思います。

-せりかを演じるに当たって、どんなところにポイントを置いていますか。

 なるべく本能と衝動に任せ、「考えるな、感じろ」の精神で演じています。せりかが何を考えているのか、考えれば考えるほど分からなくなってしまうんですよ。なので、白黒をつけるのではなく、全てがグレーというイメージでいいのかなと。ただ、うそはついてはいけないと思っています。特に、(渡辺演じる主人公の)民生に対しての感情にはうそがないように演じています。

-「考えるな、感じろ」の精神は、この作品だからですか。それとも、どの作品も同じような思いで臨んでいるのですか。

 常にその精神は持ってはいますが、今回は、特にそれが強いです。自分の中で準備をして撮影に臨み、その上で、現場で相手の役者さんとのやり取りで芝居が変わっていくのが普通だとは思いますが、せりかは、頭で考えても分からないところが多いので、それならば考えるのではなく、感覚を大切にしようと思っています。

-そもそも、工藤さんは芝居の面白さや演じることの楽しさはどんなときに感じていますか。

 私は自分のことを面白いとか魅力的だとか、あまり思ったことがなかったので、人として魅力的な人や、その場にいるだけで面白い人がすごくうらやましかったんです。でも、お芝居の中では、そういう憧れの人にもなれる。(芝居の中では)別の人生を生きているから、どんなことをしても許されるんだと気付いて、そこからお芝居が楽しくなりました。

 
  • 1
  • 2

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

井内悠陽「自分を貫くことは大切。でも、時には柔軟性も必要」 映画『爆上戦隊ブンブンジャー』で映画初主演を飾る20歳の新星【インタビュー】

映画2024年7月27日

 7月26日から公開中の『爆上戦隊ブンブンジャー 劇場BOON! プロミス・ザ・サーキット』は、テレビ朝日系で大人気放送中のスーパー戦隊シリーズ第48作「爆上戦隊ブンブンジャー」初の劇場版だ。本作でブンブンジャーのリーダー、ブンレッド/範道 … 続きを読む

田中真弓「70歳、新人のつもりで頑張っています」憧れだった朝ドラレギュラー出演 連続テレビ小説「虎に翼」【インタビュー】

ドラマ2024年7月26日

 NHKで好評放送中の連続テレビ小説「虎に翼」。新潟地家裁三条支部に赴任し、娘・優未(竹澤咲子)と2人だけの暮らしに苦労する主人公・佐田寅子(伊藤沙莉)を助けるため、かつて花江(森田望智)の家で女中として働き、第7週で故郷の新潟に帰った稲が … 続きを読む

真彩希帆、憧れの「モーツァルト!」でコンスタンツェ役 「この作品を見に来て良かったと感じていただきたい」【インタビュー】

舞台・ミュージカル2024年7月26日

 「才能が宿るのは肉体なのか?魂なのか?」という深遠なテーマをベースに、その高い音楽性と重層的な作劇で“人間モーツァルト”の35年の生涯に迫る、ミュージカル「モーツァルト!」が、8月19日から帝国劇場にて上演される。2002年の日本初演以来 … 続きを読む

【週末映画コラム】歴史の「if」を描いた2本『もしも徳川家康が総理大臣になったら』/『お隣さんはヒトラー?』

映画2024年7月26日

『もしも徳川家康が総理大臣になったら』(7月26日公開)  新型コロナウィルスがまん延した2020年。首相官邸でクラスターが発生し、総理大臣が急死した。かつてない危機に直面した政府は、最後の手段として、歴史上の偉人たちをAIホログラムで復活 … 続きを読む

鈴木梨央「特撮映画の魅力を実感しました」子役時代から活躍してきた若手俳優が、ファンタジー映画に主演『カミノフデ ~怪獣たちのいる島~』【インタビュー】

映画2024年7月25日

 高校生の時宮朱莉は、謎の男・穂積(斎藤工)と出会い、特殊美術造形家だった亡き祖父・時宮健三(佐野史郎)が制作を望んだ映画『神の筆』の世界に入り込んでしまう。怪獣ヤマタノオロチによって、その世界が危機にひんしていることを知った朱莉は、同級生 … 続きを読む

Willfriends

page top