若月佑美、デビュー10年で感じた変化「人を頼ることが増えた」【インタビュー】

2022年6月8日 / 08:00

 俳優としてドラマ「今日から俺は!!」や「共演NG」、『劇場版ラジエーションハウス』など多数の話題作に出演し、存在感を発揮する若月佑美。6月10日から開幕する舞台「薔薇王の葬列」では、二つの性を持つ主人公・リチャードを有馬爽人とダブルキャストで演じる。デビューから11年目を迎えた今、改めて俳優業への思いや、今後の目標、そして本作への意気込みを聞いた。

若月佑美 (C)菅野文(秋田書店)/舞台「薔薇王の葬列」製作委員会

-「薔薇王の葬列」は、シェークスピアの戯曲『ヘンリー六世』『リチャード三世』を原案として、15世紀のイングランドで起こったヨーク家とランカスター家による「薔薇戦争」を背景に、大胆なアレンジを加えて描かれた菅野文さんによるコミックス。今回、放送中のTVアニメ版を原作に、初の舞台化となります。若月さんは、男女二つの性を一つの体に宿しているリチャードという非常に難しい役を演じますが、現在、どのようなところを意識して稽古に臨んでいますか。

 男性と女性が同じ役にダブルキャストとして配役されていることで、表現できる幅も広がっていると感じています。特に、(リチャードが心を通わせる)ヘンリーと会話しているときに出る女性の部分と、(リチャードに思いを寄せる)アンと一緒に過ごすときに出る男性の部分のバランスをうまく取れたらと思っています。私自身は女性なので、どうしたら男性らしく見えるのかは、今、稽古をしながら研究しているところです。

-ダブルキャストの有馬さんとは、役について話し合うこともありますか。

 話し過ぎてしまっても面白さがなくなってしまうと思うので、どう感じているかという部分までは共有していませんが、「リチャードってこういう人だよね」「こういう考え方をするよね」という話は顔を合わせればしています。有馬さんは、私にはない、たけだけしさを持っているので、そうした部分は特に学ばせていただいています。

-男性と女性が同じ役を演じるからこそ、よりそれぞれの魅力が際立つ作品になりそうですね。

 演出の松崎(史也)さんは、俳優の思いを尊重してくださる方なので、私が演じるリチャードと有馬さんが演じるリチャードが一緒じゃなくてもいいと考えてくださっています。例えば、私が怒る芝居をするシーンで、もし、有馬さんがそのシーンを悲しいと感じるならば、悲しい芝居のままでいいとおっしゃってくださいました。それから、ヘンリーとの距離感についても、私が演じると、どうしてもお客さんからは男女の関係に見えてしまいやすいので、バランスを取って、有馬さんはもっと近距離でお芝居をするという調整をしてくださっています。ぜひお客さまにも、「若月バージョンだとこうだったけど、有馬さんバージョンだとこう違うんだ」と、細かい部分まで見ていただけたらうれしいです。

-若月さん自身はリチャードに対して、共感できるところはありますか。

 コンプレックスに対して苦しむ気持ちは理解できます。ただ、私はコンプレックスは別の見方をすれば、決してその人にとって悪いことだけだとは思いません。リチャードは、二つの性を持っていることを思い悩み、「どちらにもなれない」と苦しんでいますが、逆に言えば、それは、どちらも持っている選ばれた人間だとも思えます。私自身、声が低いことがコンプレックスですが、そこが魅力だと言ってくださる方もいるので、そういう意味では同じように悩んでいるのかなとも思います。

-ところで、昨年はデビュー10周年を迎えました。改めて、この10年間を振り返ってみて、どんな思いがありますか。

 あっという間だと感じますが、思い出せないほどの思い出があるので、そう考えると、とても長い10年だったのかなとも思います。10年分の力量が、今の自分にあるのかと聞かれたら、正直分かりませんが、これから年齢を重ねた時にこの仕事をやっていてよかったと言えるように、もっともっと頑張らなければいけないと今、思っています。

 
  • 1
  • 2

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

川口春奈、高杉真宙「自分や家族、周りの人たちを大事にしようと思うきっかけになったらうれしいです」『ママがもうこの世界にいなくても 私の命の日記』【インタビュー】

映画2026年10月1日

 大腸がんによって24歳で他界した遠藤和(のどか)さんが亡くなる10日前までつづり続けた手記を映画化した『ママがもうこの世界にいなくても 私の命の日記』が、10月2日から全国公開される。本作で、主人公の和と夫の将一を演じた、川口春奈と高杉真 … 続きを読む

木戸大聖「悲しいと思っていてもそれを表情に出せないのが難しかったです」『沖晴くんの涙を殺して』【インタビュー】

映画2026年10月1日

 余命1年の音楽教師・京香(広瀬アリス)と、喜び以外の感情を失った高校生・沖晴が織りなす、切なくも温かい感動の人生賛歌『沖晴くんの涙を殺して』が10月2日から全国公開される。本作で、訳あり高校生の沖晴を演じた木戸大聖に話を聞いた。 -沖晴の … 続きを読む

小瀧望「ファンの皆さまの声に応え続けたい」 舞台「ロックンロール」では「僕たちの芝居とともに、当時のロックミュージックも楽しんで」【インタビュー】

舞台・ミュージカル2026年9月30日

 小瀧望が主演する舞台「ロックンロール」が、11月6日から上演される。本作は、世界的な劇作家トム・ストッパードが祖国チェコスロバキアを舞台に、20年以上にわたる歴史のうねりを描きながら、自由の尊さをうたう物語。愛するロックンロールと母親を守 … 続きを読む

佐津川愛美「酒井監督に惚れました(笑)」念願だった酒井麻衣監督との初タッグ『時給三〇〇円の死神』【インタビュー】

映画2026年9月30日

 10月2日から全国公開となる『時給三〇〇円の死神』は、累計発行部数36万部を突破した藤まるの同名小説を原作にしたファンタジーだ。生きる希望を失った大学生・佐倉真司(西畑大吾)が、謎めいた同級生・花森雪希(福本莉子)に誘われ、この世に未練を … 続きを読む

【K-POPもKドラマも深読みしたら韓国が見えた】#受験競争だけではない韓国の教育問題、「鉄槌教師」が問う教師の役割

2026年9月29日

 K-POPや韓国ドラマは、エンターテインメントであると同時に、韓国社会を映す鏡でもある。何気ない言葉やしぐさ、習慣の背景をたどると、その国ならではの価値観や歴史、人との関わり方が見えてくる。この連載では、韓国カルチャーを入り口に、知ってい … 続きを読む

page top