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もちろん、いつの時代にも、語られるべき黒人の物語や、ヒーローたちの素晴らしい物語はあると思います。今はそういう物語が作れる状況になって、それはとてもうれしいことです。ラブストーリー、コメディー、いろんな形でそうした映画が作られています。映画作家として、そのうちの一人でいられることをうれしく思っています。先ほどお話ししたように、『ビリー・ホリデイ物語/奇妙な果実』を見たときに、映画を作りたいと思ったわけですが、自分にとって重要なものについての映画を作りたいとずっと考えてきました。特に『チョコレート』(01)を作ってから、その思いが強くなりました。黒人の物語は、世界にとっても、文化にとっても、アメリカという国にとっても、とても重要で意義のあるものなので、もっと語られるべきだと思います。
まず、アメリカという国に、今どれほどの分裂があるのか、ということを日本の観客の皆さんにも感じていただきたいと思います。この映画を見た多くの人たちが、真実の物語としてとても心に響いたと言ってくれましたが、それには理由があって、根深い人種差別をはじめ、今アメリカで起きているいろいろな恐ろしいことが、衆目にさらされているからです。もともとアメリカという国自体が、黒人奴隷たちの手によって作られてきた、言い換えるなら、人種差別を通して作られてきた国なのです。どんな解決法があるのかは、私にも分かりませんが、少なくとも、今のアメリカが抱える問題として見つめ続けなければならないと思っています。
(取材・文/田中雄二)
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