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渋沢栄一さんには、新しい1万円札のイメージから、おとなしく座っていらっしゃるような印象があります。でも、「こういう人物がいかにして出来上がったのか」という過程を描こうと考えたとき、この物語の栄一には「人生を駆け抜けてほしい」と思ったんです。そんな栄一にぴったりな方として、みんなの意見が一致したのが吉沢さんでした。吉沢さんは大変だったでしょうけど、期待通り最後まで走り切ってくれて、とてもすてきな栄一になったと思います。
今は「こうしたら危ないかな」、「こうしたらたたかれるかな」ということを気にしがちな風潮の世の中ですが、彼らはそういうことを気にせず、とにかく突っ走っていた。(「あさが来た」の主人公の)あささんも、「女なのに」ということは気にせず走っていたし、栄一さんも「人にどう思われるか」とか、「偉い人の言うことは黙って聞く」ということを気にする様子が一切ない。そんなふうに、「自分が思う方向に駆け抜けよう」、「自分で何かを作り上げよう」という強い意思を持つ人の話は、やっぱりパワーがありますよね。そういうところに引かれます。今回は、栄一さんを中心に経済の面を描きましたが、「世の中を変えてやろう」という気概にあふれている明治は、政治や教育、文学など、どの面から見ても面白い時代だと思います。
五代さんは薩摩から長崎に行き、また薩英戦争でイギリスの捕虜になるなど、とても面白い人生を歩んだ方です。今回も、五代さんをもう少し描きたかったという思いもありますし、他にない目線でいろんなことを描ける方なので、ぜひ書いてみたいです(笑)。
(取材・文/井上健一)
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