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ここで笑わせようと思っているわけではないです。一人一人は真面目にやっているのにそれが互いにズレているというシチュエーションを作っていくと、笑いが起こりやすい印象です。自分の映画は結構そういうことがありますが、この映画は特に打率が高いですね(笑)。偶然をテーマにすると、そうしたズレが起こりやすくなるような気はしました。現実とすごく近いんだけど、何かズレていく。「ありそうなんだけど、ないかも、いやあるかも」という揺らぎがあり、時には「ないだろ!」っていう強烈な突っ込み感情が起きる。そのことが笑いに結び付いている気がします。
一番は先ほども言ったように、エリック・ロメールの映画と、その作り方だと思います。結果として今回、長編でやるよりも短編という形式のほうが、現実離れしたものは扱いやすいという気付きがありました。長編だと、もう少しリアリティーを作り込んでおかないと見ている側も疲れてしまいます。短編はある種の短距離走なので、現実からちょっと浮いたような展開でも、疲れる前に終わるというところがあるのかな、と。「いやいや、そんなことはないだろ」という事態が、ひたすら続いていくと疲れますが、いいあんばいで終わらせると、現実から微妙に浮いたような物語が展開できるというのが、短編の利点だと思いました。
自分が作った映画の中でも、ひときわ軽みがあって、笑いが起きる、多くの人が楽しめる映画になっています。それは役者さんの演技の力が大きくて、「本当にこんな話はないだろう」というような話なんですが、それを「こんな人いるかもな」というレベルにしてくれているのが役者さんたちの演技だと思います。その役者さん同士の掛け合いの素晴らしさを見ていただけたらと思います。
(取材・文/田中雄二)
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