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井上芳雄が主演する、パルコ・プロデュース2021「首切り王子と愚かな女」が6月15日からPARCO劇場で上演される。本作は、劇作家・演出家として高い評価を得ている蓬莱竜太が、5年ぶりにPARCO劇場に書き下ろしたすオリジナル作品。反乱分子を鎮圧するために、彼らの首を次々と斬り落とす“首切り王子”(井上)と、運命的に王子と出会う“愚かな女”(伊藤沙莉)をめぐるダーク・ファンタジーだ。王子に興味を持たれ、召使として仕えることになる“愚かな女”ヴィリを演じる伊藤に、約4年ぶりとなる舞台出演への思いや、本作への意気込みを聞いた。
みんなが経験したことがあるような、ちょっとした古傷や痛みを丁寧に描いているところが好きです。わざわざ触れなくてもいい部分まで描くことで、人間味があってうそがない作品になるんだと思います。へたに優しくしないというのはとてもリアルですし、それが蓬莱作品の魅力の一つかなと思います。
そうですね。この作品でも一人の人間がきちんと360度描かれているところが魅力だと思います。蓬莱さんが「みんなそれぞれが何かと戦っている。戦っているものやその状況は違っても、必死で戦っているのだから、それをきちんと描きたい」とおっしゃっていました。人間の多面性を届けられる作品だと思います。
この作品の中では、一番見ている方に近い存在なのかなと思います。身近だからこそ、その言葉や考えは、今のこの社会に置き換えることもできるんじゃないかな、と。自分にも置き換えられるところや共通点もあるので、投影しながら演じているところもあります。
最初に脚本を読んだときに、私は、ヴィリは姉を憎んでいるんだと思ったんです。ですが、蓬莱さんから「ヴィリはシスコンだ」と言われて、改めて読んでみたらスッと物語が入ってきました。確かにヴィリは表面的には「絶対に見下してやる」と言っていますが、姉の視界に入っていたいし、姉に憧れを抱いている。私はかなりシスコンなので、ヴィリのその愛の大きさは共感できました。もちろん、私はヴィリとは違う表現で愛情を示していますが(笑)。
まさに「王子」です(笑)。本当にすてきな声の持ち主なので、本読み中もひそかに「いい声」って思っています(笑)。首切り王子は本当は寂しくて繊細な人ですが、井上さんはそういったところまで、丁寧に表現されているので、すごく勉強になります。
私たちは、毎回毎回、同じお芝居をしていますが、見に来たお客さまは、その日、そのときしか見られないこともあります。そうすると、そのお客さまにとっては、その日のお芝居がその作品ということになります。そう考えると、絶対にNGは出せないという緊張感があるんです。でも、その緊張感の中で演じることが、生きているという実感をくれます。舞台は生ものなので、その板(舞台)の上で、そのキャラクターたちがきちんと生きているというライブ感がすごく魅力的だと思います。
ずっとお芝居が大好きですし、楽しいと思わなかった瞬間はありません。ですが、意識が変わったという意味では、ドラマ「GTO」で飯塚健監督と出会ったことが大きいと思います。「女王の教室」というドラマに出演してから、いじめっ子役を演じることが多かったんです。もう誰よりもいじめてきた自信があります(笑)。でも、それに飽き飽きしていた気持ちもありました。「GTO」もいじめっ子役だったのですが、そのときに、飯塚監督から「いじめはやってはいけないことだけど、イジっている感覚がエスカレートして周りから見たらいじめになってしまっている人もいるし、いじめっ子だってテレビを見て涙を流す日もあるかもしれない。心底意地悪なやつがいじめるわけじゃない。だから、いじめっ子なのになぜか憎めないキャラクターにしたい」と言われたんです。それまで、そういう役の作り方をしたことがなかったので、すごく新鮮に感じましたし、私にとって大きなきっかけになりました。そこからは、人を生きるという、お芝居の面白さを改めて感じるようになったと思います。
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