ミュージカル「ロミオ&ジュリエット」が5月21日から開幕する。本作は、2001年にフランスで生まれ、世界20カ国以上で上演されてきた大ヒットミュージカル。日本では、小池修一郎の潤色・演出で、10年に宝塚歌劇団が初演。11年に日本オリジナルバージョンとして上演されて以降、再演を重ねてきた。今回は、19年以来2年ぶりに新キャストで上演される。ティボルト役を吉田広大と共にダブルキャストで演じる立石俊樹に、役作りや、公演への意気込みを聞いた。
-本作への出演が決まった気持ちを教えてください。
僕は4年前に人生で初めて「ミュージカル」というものに触れ、そのときに、この「ロミオ&ジュリエット」という作品も知って、いつか出演してみたいという憧れが生まれました。今回、オーディションでつかみ取った役ですので、決まったときにはとてもうれしかったです。
-オーディションだったんですね。最初からティボルト役をやりたいという思いがあったのですか。
どの役をというよりも、この作品に出演したいという思いが強かったです。
-ティボルト役に決まって、どう感じましたか。
ティボルトは激しい感情をもった役柄なので、自分とは正反対のキャラクターです。それを自分はどう表現すればいいのかという難しさもありましたが、出演が決まったことのうれしさが大きかったので、果敢に挑戦していこうと思いました。これは勝負だ、と。
-確かに、ティボルトは、立石さんの普段のイメージとはかけ離れた役柄だと思います。挑戦も多い作品になると思いますが、実際に稽古が始まり、どんなところに難しさを感じていますか。
僕はこれまで、2.5次元作品に出演することが多かったので、役作りはまず、そのキャラクターの立ち方や声といったところから作ることが多かったんです。2.5次元は原作がありますので、それは、ある意味で正解があるということです。なので、原作のキャラクターに寄せていくところからのスタートでした。ですが、今回は、僕自身が演じて、舞台の上でティボルトとして生きなければならない。感情で動いて演じるというのが難しいなと思っています。
-今は、どんなところにポイントを置いて演じていますか。
ティボルトの、誰よりも強くいる姿や激しい思いを突き動かすのは、彼のバックグラウンドも関係していると思ったので、シェークスピアの書いた戯曲『ロミオとジュリエット』を読んだり、世界史の流れを調べたりして、この作品の時代背景や当時の状況を勉強しました。そういった彼の環境というものは、大事にして演じたいと思っています。
-今回は吉田さんとダブルキャストになりますが、吉田さんの印象は?
広大さんは、演出の小池先生から動きを付けてもらうと、すぐに感情を入れてお芝居をされているので、その対応力がとにかく素晴らしいなと思います。僕はまだ感情に任せて動けないので、見習わなければいけないと思っています。
-立石さんにとっては、ダブルキャストというのも今回が初めてですよね。ダブルキャストで演じることについてはどう感じていますか。
小池先生の演出は、これまで僕が経験してきたものとは違うやり方だったこともあり、もし、シングルキャストだったら、お芝居に対して消極的になっていたところがあったと思います。でも、広大さんがいることで、お互いに影響し合えて早く成長できる。いい刺激をもらって、もっとこうすればいいと新しい表現を見つけられるのがダブルキャストの良さかなと思います。
-プレッシャーはあまり感じない?
はい、普段から仲がいいので。広大さんがお芝居をされている姿を見て、心から「すごい」と拍手できますし、自分らしいティボルトを作り上げていかなければいけないなと思います。
-立石さん演じるティボルトのオンリーワンな部分は、ご自身ではどういったところだと思いますか。
正直なところ、まだ自分では分かりません。今はまだ、見せ方やせりふなどに捉われているところがあるので、本番までにティボルトとして感情のままに動いて、話して、歌ってということができるようにと思っています。そうすることで、きっと自然と僕らしさが出るのだと思います。劇場でお客さまに、僕のティボルトの良さを見つけてもらえるようにしっかりと作り込んでいきたいと思います。
-まずはこの作品だと思いますが、今後は、グランドミュージカルなどにも出演していきたいという思いがあるのでしょうか。
そうですね。ミュージカルという世界を知って、それが素晴らしいと感じたときから、いつかグランドミュージカルに出演したいという思いはありました。今回は、それに向けた最初の一歩だと思うので、もっともっと努力していきたいと思います。僕は、ミュージカルに出演している時間が本当に好きなんです。なので、これからも、積極的に挑戦していきたいと思っています。
-では、本作が「究極の愛」を描いていることにちなんで、立石さんにとっての「理想の恋愛」を教えてください。
それはもちろん『ロミオとジュリエット』のような恋愛です。2人の恋愛には困難もたくさんありますが、一目ぼれして「この人こそが」と思った。僕も「この人こそが」と思える恋愛をしたいです。それがあれば、きっと立場も困難も乗り越えられると思います。
-改めて、本作の見どころを。
何百年も語り継がれている物語ですが、今の時代にも通じるストーリーだと思います。自分たちの生活に照らし合わせて考えることもできるし、自分も負けずに意思を貫こうという強い気持ちになれる作品です。そこにはいつの時代も変わらない、普遍的な愛が描かれていると思います。僕自身も、ティボルトとして愛と憎しみを舞台上から届けられたらと思います。今回、この稽古を経て、自分の殻を破るつもりで臨みます。ティボルトとして「ロミオ&ジュリエット」の世界観の中で生きていきます。このような状況下ではありますが、ぜひ劇場で見ていただけたらうれしいです。
(取材・文・写真/嶋田真己)
ミュージカル「ロミオ&ジュリエット」は、5月21日~6月13日、都内・TBS赤坂ACTシアターほか、大阪、愛知で上演。
公式サイト www.rj-2021.com