【インタビュー】映画『ベルリン・アレクサンダープラッツ』ブルハン・クルバニ監督「難民や移民のコミュニティーに、顔や声を与えることで、彼らを無視できない存在にしたかった」

2021年5月17日 / 06:30

-殺伐とした話に比して、夜の街などの映像がとても美しいと感じました。こうしたコントラストの表現は意識的にしたことなのでしょうか。

 映画はリズムが大切で、リズムにはコントラスト(対比)が重要だと考えています。例えば、まず、今フランシスがどんな場所に身を置いているのかを描きます。それは決して快適な場所ではありません。それに対比するように、夜のベルリンは華やかで夢のようです。この二つの世界、厳しさと美しさの間にフランシスを置きたかったのです。そういう設計をしました。

-ラインホルトは、なぜいつも「いとしのクレメンタイン」を口ずさんでいるのでしょうか。

 僕は、映画の中でキャラクターが歌うシーンが大好きです。実は、今回は他の曲を使いたいと思いましたが、あまりにもお金がかかってしまうので、ただで使える「いとしのクレメンタイン」になりました。これはアメリカの古い歌ですが、歌詞は、溺死した女性についてのものです。最後は、ミーツェもまるで自分の死を予感するかのように、口ずさみます。その意味では、ぴたっとはまった気がします。

-監督が、映画作りの中で、最も大切だと思うことは何でしょうか。

 映画作りは、友情や信頼の上に成り立っていて、ベストの形は皆がファミリーである、ということです。僕は15年来、同じスタッフと一緒に映画を作っているので、皆とても仲がいいです。俳優との関係も、互いに信頼感が得られるか、家族のように思ってもらえるのかが、とても重要だと思います。それがなければ、傑出した演技はできないと思っています。この映画では、俳優たちを「マイ・キッズ」と呼んでいました。皆本当にすごい演技を披露してくれて、うれしくなりました。それはなぜかと言うと、互いに愛し合っていて、皆が一つの家族になれたからだと思います。

(取材・文/田中雄二)

(C)Wolfgang Ennenbach, Sommerhaus Filmproduktion

 STAR CHANNEL MOVIES『ベルリン・アレクサンダープラッツ』
MIRAIL(ミレール)・Amazon Prime Video・U -NEXTでオンライン上映。

 

  • 1
  • 2
 

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

松本怜生 豊臣兄弟を支える忠臣・石田三成を好演中「演技について家臣団で話し合っています」【大河ドラマ「豊臣兄弟!」インタビュー】

ドラマ2026年10月11日

 NHKで好評放送中の大河ドラマ「豊臣兄弟!」(総合 毎週日曜 夜8:00~ほか)。戦国時代、主人公・豊臣秀長(=羽柴秀長/仲野太賀)が、兄・秀吉(池松壮亮)を支え、兄弟で天下統一を成し遂げるまでの軌跡跡を描く物語は快調に進行中だ。劇中、秀 … 続きを読む

柚香光「つややかで、あでやかで、華やか、そして情に深く」 最後の「髑髏城の七人」に挑む思い【インタビュー】

舞台・ミュージカル2026年10月11日

-役者としては、そのいのうえさんが提示したものを超えるというのは大変だったのでは?  いのうえさんがやると稽古場がドカンと揺れるぐらい周りにいる皆さんが笑うので、いのうえさんの後にやるというのはなかなかのプレッシャーでした(笑)。 -今作の … 続きを読む

堤真一「自分なりの演じ方」で描き出す 濵田崇裕、ローマは「僕が出会ったことがない人間」 「グレンギャリー・グレンロス」で初共演【インタビュー】

舞台・ミュージカル2026年10月10日

-そうした役柄に共感するところはありますか。 濵田 ローマは、二幕になると、途端に本性が見えてきて、それまで隠していたものがあることが分かるので、どれが本当のローマなんだろうかと思います。なので、共感は難しいですが、これまで僕が出会ったこと … 続きを読む

戸田菜穂「スッとあの時代に入っていけるような空気がありました」名作漫画の実写映画化で、昭和の母を好演『遥かな町へ』【インタビュー】

映画2026年10月9日

-戸田さんが当時の生活に引かれる理由は何でしょうか。  昔から、向田邦子さん(「寺内貫太郎一家」、「阿修羅のごとく」などを手掛けた昭和の脚本家、小説家)の作品や、そこ描かれている戦後昭和の生活スタイルが好きだったんです。世の中は今よりもずっ … 続きを読む

【映画コラム】9月の公開映画から

映画2026年10月8日

「ネルソンさん、あなたは人を殺しましたか?」(11日公開)★★★ 戦争が残した加害と被害の記憶  ベトナム戦争に従軍した元海兵隊員アレン・ネルソン(ロドニー・ヒックス)は、帰国後も戦場の記憶に苦しみ続ける。だが、自らの戦争体験を人前で語り始 … 続きを読む

page top