【インタビュー】映画『ヤクザと家族 The Family』藤井道人監督「綾野剛さんと話したこと、一つ一つの中にヒントがあった」気鋭の映画監督が30代の今、思うことは

2021年1月26日 / 06:30

-それぐらい感性が合ったと?

 合いました。あとは、そういう俳優部との出会いを、僕が待っていたというのもあって。例えば今回、自分の兄貴分的な方で言えば、剛さんはもちろん、舘さんや(北村)有起哉さんとの出会いも大きかったです。

-綾野さんも、雑誌・キネマ旬報のインタビューで「(名コンビだった)黒澤(明)と三船(敏郎)みたいに、藤井・綾野で毎年1本ずつ撮っていきたいと思うぐらい」とおっしゃっていますね。

 そういう付き合いになるんだろうな…という予感はあります。ファンの皆さんには、楽しみにしておいてもらえるとうれしいです。

-キャリアを積み上げてくる中で、社会に対する意識が芽生えてきたということですが、今はちょうどコロナ禍という大変な状況の中、さまざまな問題が表面化しています。今後、そういう題材に取り組むつもりはありますか。

 今はありません。人間がこれまで長い時間を地続きで生きてきた中で、コロナは横から来た追突トラックみたいなものなんです。今、この人生を書いていたのに、急にボーンときて、その火で火事が起きているような状態というか。そこにまだ人間ドラマも見いだすことができず、今は「つらい」としか言えない。救いがなさ過ぎて、飲食業に携わっている仲間のことを考えても、「コロナ禍の中をこうやって生きていこうよ」ということを僕は今、映画で語ることができません。だから、足踏みしているところで…。現在の話を描けるのは、もっと先になるんじゃないかな…と。そういう遅さは自分の弱点かもしれませんが、もしやるのであれば、しっかり勉強してからにしたいと思っています。

(取材・文・写真/井上健一)

(C)2021『ヤクザと家族 The Family』製作委員会

  • 1
  • 2
 

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

松本利夫、EXILEパフォーマー卒業から10年 舞台は「山登りに似ている」 「よろしく候~BOTTOM OF HEART~」【インタビュー】

舞台・ミュージカル2025年6月18日

-ところで、松本さんはEXILEのパフォーマーを卒業されて今年で10年になります。この10年間を振り返ってみてご自身の中で何か変化はありましたか。  変化があったといえばありましたが、変わってないといえば変わってないです(笑)。EXILEの … 続きを読む

濵田崇裕、「歌喜劇/~蘇る市場三郎 冥土の恋~」は「僕の代表作だと胸を張って言える」

舞台・ミュージカル2025年6月16日

-濵田さんは歌がお得意ですが、アカペラは大変でしたか。  (普段の歌唱と)全然違います。アカペラは本当に難しい。出だしの音を間違えた瞬間に、もうハモれないんです。しかも、僕は舞台袖で音程を確認する時間もないので。その難しさがこの歌喜劇の肝だ … 続きを読む

恒松祐里「貴重な経験をさせていただいた現場でした」アットホームな現場で増したクリエーティブに対する意欲『きさらぎ駅 Re:』【インタビュー】

映画2025年6月13日

-恒松さんはXなどSNSの発信も積極的にされていて、クリエーティブへの関心は高そうですね。  コメディーに出演する場合など、現場で「これをやってみよう」と、あれこれ試してみることは大好きです。元々私はものづくりが好きで、時間がある時は、プラ … 続きを読む

池田エライザ「不思議な夏の思い出として心にとめていただければと思います」『リライト』【インタビュー】

映画2025年6月13日

-この映画は『時をかける少女』など、大林宣彦監督作品の影響がとても感じられました。昔のものを見たりはしましたか。  あまりにも有名なので、気付いたら何回も見ていたという感じです。でも、今回は気付かないようにしていました。美雪としてそこに気付 … 続きを読む

【週末映画コラム】ダイヤモンド・プリンセス号の内部で一体何が起こっていたのか『フロントライン』/オール尾道ロケで映画化したSF青春ミステリー『リライト』

映画2025年6月13日

『リライト』(6月13日公開)  高校3年の夏、美雪(池田エライザ)の学校に保彦(阿達慶)という少年が転校してくる。自分は未来人で、ある小説に憧れて300年後からタイムリープしてきたという保彦と秘密を共有することになった美雪は彼に恋をする。 … 続きを読む

Willfriends

page top