【インタビュー】舞台「No.9-不滅の旋律-」稲垣吾郎「ベートーベンは稲垣吾郎のいろんな要素が詰まっている役」

2020年12月11日 / 08:00

 木下グループpresents「No.9-不滅の旋律-」が12月13日から上演される。本作は、“楽聖”ベートーベンが傑作を幾つも書き上げた19世紀初頭のウィーンを舞台に、彼の苦悩の人生と創作の輝きを核として、精緻な演出とスケールの大きな戯曲とダイナミックな音楽表現で描き、大きな感動を呼び起こした作品。2015年、18年の上演に続き、ベートーベン生誕250周年となる今年、再々演される。今回は、ベートーベンを演じたことで俳優として新たな地平を開いた稲垣吾郎に、再々演を迎えての心境、本作や役の魅力などを聞いた。

ベートーベン役の稲垣吾郎(スタイリング:黒澤彰乃/ヘアメイク:金田順子)

-再々演を迎えた今の心境を教えてください。

 まず再々演ができるということは本当にありがたいことです。芝居は、みんながもう一回やりたいと思っても、なかなかできないじゃないですか。そんな中で3回もできるというのはすごく貴重なことですし、僕の中でも、体力と精神力が続く限り演じていきたいという思いもある役なので、再々演を迎えることができて本当に良かったです。

-今回、3回目ということで本作にどのような変化があると感じていますか。

 せりふも変わらないし、同じことを表現して同じことをやりますが、お客さんの目に映るものや、感じるものは確実に違うものになります。それが舞台の面白いところです。今年は新型コロナもあり、それぞれにいろんな思いがあると思うので、同じことをやりながらも、以前に見た人でもまた楽しめるような新しい「No.9」になるんじゃないでしょうか。今年はベートーベン生誕250周年ということもあって、NHKでアンバサダーをやらせていただいた経験から、ベートーベンに対する感じ方や思いとか、興味もさらに湧いてきました。この経験によって、また違った、新たな、さらに進化して深くなった「No.9」をお届けしたいです。

-ベートーベン生誕250周年記念として11月に予定されていた本作のウィーン公演が中止となったのは残念でした。

 世界中がこういう状況下なので、中止はもう当然かなというのが正直な思いです。もちろん最後までやりたかったですし、向こうの方々も迎え入れてくれて、ウィーンで公演ができる状況だったというのはうれしかったのですが。ウィーン公演は、再演の前にやってみたいというような話があったんです。実際に再演するに当たってベートーベンの軌跡を追うという番組をTBSでやらせていただいたときに、初めてウィーンを訪れたんですが、その際に、ウィーン公演の劇場なども下見に行ったんです。さまざまな思いはありますが、いつかウィーン公演は実現できると思うし、絶対にやりたいです。

-改めて稲垣さんが感じている本作の魅力を教えてください。

 ベートーベンは、「苦悩から歓喜」なんです。苦しみを耐えて、諦めずに、最後には歓喜するというストーリーに、僕らは勇気をもらえるし、お子さんにも見てもらいたいです。特にこういう状況下の中で、本当に必要なものだと思います。それと、今回の公演は年末年始となるので、この舞台で第九を聞きながらの年越しとなります(笑)。これは日本人だったらDNAに刻み込まれていることですから(笑)。また来年から新しい道を進むためにも、この作品が何か役に立てればと思っています。

-先ほど、ずっと演じていきたい役と話されていましたが、この役がそれだけ特別なものになった理由は?

 やはり今までの自分があったからこそ、積み重ねとしてこの役ができたので、ベートーベンは稲垣吾郎のいろいろな要素が詰まっている役という気がします。役者として一つの集大成がこのベートーベンという役なんです。ユーモラスなところもありつつ、激高するエキセントリックな面もあるという狂気を持った役ですが、そういった少し癖のある役や、ヒール役を演じる機会が30歳ぐらいから増えてきました。アイドルグループをやっていた中でも、そういった役をやらせてもらえるというのはすごく面白い挑戦で、そんな経験も生かされていると思います。この舞台で見たことがない景色を見られたりとか、感じたことがない感情に心を揺さぶられたりしたので、僕にとって大きな役であり、大きな作品です。

-ベートーベンという役と自分とを比べてどう感じますか。

 僕とベートーベンは全く違う人間なので、あまり自分と照らし合わせたりはしないです。でも違う人間だからこそ、ベートーベンが自分の中に入ってきたときに、演じる面白さを感じますし、それをまた客観的に自分で外から見下ろすことができるんです。はまり役と言ってくださる方も多いんですが、僕としてはベートーベンとは似ていないと思っているので、何がはまっているのか分からないんです(笑)。

 
  • 1
  • 2

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

井上祐貴「決して美しい人間関係を描いているわけではありませんが、リアルな描写が多いので、それが共感につながると思います」『男ともだち』【インタビュー】

映画2026年11月5日

 29歳のイラストレーター・神名(かんな・松岡茉優)は、仕事もプライベートも順調に見えるが、実際は人生に行き詰まりを感じ、不毛な恋愛に逃げる日々を過ごしていた。そんなある日、神名は大学時代の先輩である男ともだちのハセオ(成田凌)と7年ぶりに … 続きを読む

相葉雅紀「チームメイトの障がい者の皆さんから、ものすごい熱量を感じました」黒島結菜「相葉さんは本物の野球チームの監督のようでした」実際の障がい者たちとも作り上げた奇跡の物語『4アウト ─もう一度、プレイボール─』【インタビュー】

映画2026年11月3日

 東京に初めて結成された身体障害者野球チーム「東京ブルーサンダース」創設の実話に基づく奇跡の物語『4アウト ─もう一度、プレイボール─』が、11月6日から全国公開となる。  戦力外通告を受け、失意の日々を送っていた元社会人野球選手の矢上雄一 … 続きを読む

山崎育三郎「一番、自分に近い存在」 ミュージカル「ファインディング・ネバーランド」が伝える「解釈力」【インタビュー】

舞台・ミュージカル2026年10月31日

 山崎育三郎が主演するミュージカル「ファインディング・ネバーランド」が2027年1月8日から上演される。本作は、ジョニー・デップ主演で2004年に公開された映画『Finding Neverland』(邦題『ネバーランド』)を元に作られたミュ … 続きを読む

【映画コラム】10月の公開映画から

映画2026年10月31日

「ディスクロージャー・デイ」(10月1日公開)★★★★ 宇宙人の存在を知った人類は…  地球外生命体を巡る秘密と、その開示に迫るスティーブン・スピルバーグ監督のSFサスペンス。「未知との遭遇」から約50年。宇宙からの来訪者を描いてきた監督が … 続きを読む

柳楽優弥「川栄さんと真剣に作品に向き合ってきた」川栄李奈「柳楽さんを信頼しています」共演4度目の2人が伝説的作品に挑む『RYUJI 竜二』【インタビュー】

映画2026年10月30日

 1983年に公開されるや否や観客の熱狂的な支持を集めた『竜二』。直後に主演・脚本の金子正次が急逝したことも重なり、伝説的作品として時代を超えて語り継がれてきた。その伝説が、新たに『RYUJI 竜二』として令和の現代によみがえる(10/30 … 続きを読む

page top