【インタビュー】映画『望み』堤幸彦監督 コメディーサスペンスからシフトし、深い人間ドラマの製作に使命感

2020年10月8日 / 12:00

-監督の代表作と言えば、「ケイゾク」や「TRICK」といったコメディーミステリーが挙げられますが、これらの人間描写も丁寧に描かれていて、ある意味“人間ドラマ”だと感じながら見ていました。

 そうですね。犯人が一番人間的であったり、逆にキャラクターとして存在している主人公が、たまに人間的なところを見せると、それが効果的に映ったりしますよね。そうやって、今までは僕が作った箱庭の世界でうごめく人間たちのドラマを作ってきましたが、今後は、戦争や事件、事故など、実際のエピソードにフォーカスを当てた人間ドラマを作っていきたいです。

-そのように監督を突き動かしているものは何でしょうか。

 学生の頃、世の中に矛盾が多いことに気付く瞬間が何度もあり、青春独特の潔白さというか、世の中を正すべきではないか…という思いで、学生運動に参加したこともありました。その頃のフィルターで見た社会の構造は、50年たった今も変わらない気がします。そんな、世の中の不条理や、みんなが見過ごしているものに対して、今ならもっとシニカルに、うまく世に訴えることができるんじゃないかと思っています。

-今後の作品も楽しみにしています。最後に読者にメッセージをお願いします。

 映画『望み』のどこかに、皆さんがいらっしゃると思います。それぐらい、どなたさまの心にも刺さってほしいという気持ちで作りました。ぜひご覧ください。

(取材・文・写真/錦玲那)

(C)2020「望み」製作委員会

  • 1
  • 2
 

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

前田旺志郎「世の中に関心を持つ大切さに気付いた」窪塚愛流「止まっていた時間が動き出した」初共演の2人が福島原発事故を題材にした映画で感じたこと『こんな事があった』【インタビュー】

映画2025年9月16日

-お芝居に悩んだり、難しさを感じたりすることはありませんでしたか。 前田 たくさんあります。でもその都度、松井監督と相談しながら進めていきました。迷ったときは、松井監督を信じればいい、という信頼関係が出来上がっていたので。 窪塚 松井監督は … 続きを読む

グイ・ルンメイ、真利子哲也監督「お互いが思い合うからこそすれ違う。でもそこには愛があるという家族の形を描きたかった」『Dear Stranger/ディア・ストレンジャー』【インタビュー】

映画2025年9月12日

-ルンメイさん、夫・賢治役の西島秀俊さんの印象はいかがでしたか。 ルンメイ 今回西島さんと一緒にお仕事ができたことはとても光栄でした。西島さんは経験豊かな方なので、私は現場でとても安心して演技をすることができました。西島さんがいろんなエネル … 続きを読む

【物語りの遺伝子 “忍者”を広めた講談・玉田家ストーリー】(3)無鉄砲小僧、恐れを知らぬ行動力

舞台・ミュージカル2025年9月12日

 YouTubeもNetflixもない時代、人々を夢中にさせた“物語り”の芸があった——。“たまたま”講談界に入った四代目・玉田玉秀斎(たまだ・ぎょくしゅうさい)が、知られざる一門の歴史物語をたどります。 ▼無鉄砲小僧、恐れを知らぬ行動力 … 続きを読む

北村匠海 連続テレビ小説「あんぱん」は「とても大きな財産になりました」【インタビュー】

ドラマ2025年9月12日

-小学生の頃、絵画教室に通われていたそうですが、演じる上で役立った部分はありますか。  僕は子どもの頃から、絵画教室に通ったり、自宅では粘土で架空のモンスターを作ったりしていました。そういう創作を楽しむ部分は、嵩に通じるものがありました。前 … 続きを読む

中山優馬「僕にとっての“希望”」 舞台「大誘拐」~四人で大スペクタクル~の再始動で見せるきらめき【インタビュー】

舞台・ミュージカル2025年9月11日

-なるほど。そうして前に進んだ先に、どんな未来をイメージしていますか。  先のことはあまり考えていないです。友達たちが家を建てたり、子どもが生まれたりしているのを見ると、そうした未来を自分が持ったらどうなるんだろうなと考えることはありますが … 続きを読む

Willfriends

page top